Dr.STONE STONE WARS 第9話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
司と氷月。
最強タッグの帰還により、戦況は一変した。
それでも過去からの再生者がもたらした理想と絆を信じ、石神村の戦士たちは時を稼ぐ。
千空の科学は、常に奇跡を引き寄せた。
その信頼に答えるべく、生み出される大いなる力。
その手に掴むは、神か悪魔か
そんな感じの、STONE WARS決着! なエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
武力解決はあくまで、交渉のテーブルに司を座らせるための材料。
圧倒的な暴力を手にしてなお、それを石化人類採掘用の発破に…人間と社会を回復するためのケアキットとして使う。
千空の決断は、ずっと変わらず生命のためにある。
そんな超甘ちゃんがやってきたことを信じ、戦士たちも必死に時間を稼ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
散々脳筋メスライオン扱いされてたコハクが、科学の理論ではなく理念をしっかり理解し、信頼を力に変えている様子が良かった。
あとここまで持ち込んだもの全てが組み合わさって、逆転の切り札出るところね。
チートの爽快感だけ追い求める話なら、作り出したダイナマイトで悪党をぶっ散らばして終わり…なのだが、この話の科学はあくまで理想のためにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
司の頑なな心を解し、彼もまた仲間にしてしまう。
そういう千空イズムの完全勝利を、生み出すための触媒。
それがダイナマイトである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
司がただの身勝手な狂人にならないよう、かなり時間を使って補足を入れていたのも良かった。
原作だと、ちょーっと引っかかるポイントではあったからね…選ぶものの傲慢と不安、ナイス補完でした。
というわけで、肉体組が時間を稼ぎ、頭脳組が逆転の手はずを整える最終決戦後半。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
今回は作画がやや濃い目で、それが傷だらけ泥まみれになりつつ奇跡を手繰り寄せる話運びに、よくあっている。
結構話数ごと作画にブレあるけど、僕はどれも好きよ。
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個人レベルの暴力で向き合っては、絶対に勝てない霊長類最強。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
そんな”個”の強さを、科学が支え、技術を生み出す社会集団は上回りうる。連帯こそが、群れる動物である人間の強さであり、また業の源泉でもある。
司は周囲の人に、自分の哲学を浸透しきれていない。理想の源を共有せず、むっつり支配する
千空は胸筋を開けて石神村に混じり、村長という立場になってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
生活を助け、汗を流して道具を作り、クールな表情の奥にどれだけの場をもっているか、老人たちも既に知っていた。
科学一直線でコミュニケーション不全と思いきや、自分を知ってもらう努力は怠らなかった。
というか、千空の科学は常に人命志向なので、科学一直線でいることがそのまま、誰かを助ける道に繋がってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
サルファ剤、ストーブ、救命の滑車。全部、誰かのためになるものだ。
ここら辺、百夜が与えてくれたものが基盤になってる感じもあり、司の荒れ果てた家庭環境と対比すると残酷でもある。
そんな彼は理想主義的なリアリストで、夢は常に行動で引き寄せるものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
夢想を口にするより早く、知恵を振り絞り体を動かして現実を変えていく。その有言実行っぷりが、コハクを筆頭に千空を信じる人々を引き付けてもいた。
そんな彼が、”たら、れば”を口にしてしまうほどのピンチ。
それをひっくり返す一手が、ガキの頃からモノに惹かれモノを見つける異才を宿したクロムから手渡されるのは、やはり良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
常に実地、バカにされても自分の目で探ってきた直観知性が、千空が見落としていた奇跡を掴む。
そう、千空にだって出来ないことは沢山あるのだ。
だから、誰かを頼る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
この石器時代に、シンプルに役に立つ個人的、身体的暴力に優れないからこそ、集団として理想を共有し、仮想の夢で心を支え合う人間の強さ。
千空の物語はそういう人類史を、個人レベルで歩み直すお話だったのかもしれない。
となれば司は時計の針を巻き戻し、科学と社会が構成される前の小さな社会、人間が動物的でいられる(いなければならない)時代を再生させようとしたのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
その決断が、何処から溢れたのか。
今回はそこのネタバラシでもある…が、それは決着の後に描かれることになる。
ニトログリセリンが合成されるのは幸運が生んだ軌跡だが、そのための存在と人材、生み出すための時間は千空必死の努力がかき集めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
物語が始まった場所で、最初の発明品を使って、全てを決着させる。
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ここで石鹸はダイナマイト製造のための触媒となっているが、かつては衛生用品であり、コハクを助ける滑車の潤滑剤でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
千空は常に、科学が人命を救うよう、奪わぬよう使いたがっている。彼が求める答えは助けること、与えることにしかない。
そんな彼の生き様を間近で感じていたからこそ、コハクは不退転の決意で氷月の武器を奪い、時間を稼ぐ。大樹も盾を持って立ちふさがる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
司の周囲にいた人たちは、ダイナマイトという圧倒的な暴力を示されて、武器を捨てて闘いをやめてしまう。戦意を支えるイデオロギーの、強度が違う。
最終的に科学レベル、社会構造の後ろにあるイデオロギーの確かさ、共有度合いで勝敗が決着する辺、石器時代の総力戦という気配もあるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
このシンプルな世界では唯一の正解に思えてしまう”暴力”が、万能の回答にならないことを示すように、この決戦は組まれている感じもある。
このお話は技術チートである以上に、千空が持つ未来のカタチ、他者への信頼が結果に直結する、倫理チートの側面が強いと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
誰かを信じ、必死にあがき、息を合わせる。
手に入れた力を正しく使えるなら、人間に出来ないことはない。
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そんな高邁さは戦場ですぐに理解されるものではなく、当たり前の日常で隣り合って初めて、共有されるものなのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
コーラ飲みたさに裏切ったコウモリ野郎が、差し出したペテンの種。それに乗っかった圧倒的暴力を前に、武器を取り落とすもの、狂熱を宿すもの。
それでも、作りたかったのは相対の時間。圧倒的な暴力でもって、暴力が優越できない状況を作り出す社会的抑止。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
ダイナマイトの紙飛行機で、千空は石器世界に法を生み出したわけだ。思えば、ずーっとそういう事をやってた気もする。
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司も脇が甘くて、千空のこと好きなもんだから一緒にいた時、自分が人間であるヒントは山盛り出しちゃってたからね…天才相手に、それは致命傷。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
つうか海藻の中の汚い金持ちが、あまりに絵に書いたような汚い金持ち過ぎて笑ってしまった。
あと未来ちゃん周辺の描写も補強されとるな。良い改変。
正しい行いを求めて何も与えられず、餓狼となって自分で掴んだ青年。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
貪欲に知恵を求め、父から優しく手渡され…それを超えてきた少年。
生まれがすべてを作るわけではないが、二人は対照的な人生を歩み、真逆な力を求めた。
孤独な暴力と、公平な科学。
世界をリセットし、個人の力ではどうにもならない社会と経済の歪みを正す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
司個人に襲いかかった理不尽が、危うい独善を生み出してきた。その足場には、妹への愛がある。
だから、沢山殺してよかったのか。答えは、なかなか出ない。
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『んじゃあ生き返らせりゃいいだろうがよー! せっかくおファンタジーなSF設定があんだからよー!』というのが、千空の答えである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
実は千空が見据えている理想と、司が欲しかった世界は近い。もし叶うなら、知恵を正しく使い、奇跡を起こしては欲しいのだ。
ダイナマイトが示したように、科学は個人の力や尊厳を圧倒的に超えた、強制的な力になりうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
それを千空のように、高邁な理想と過たない理性を維持し続けて使えるほど、人間種は賢くない…と、司は既に学習している。
だから、ゼロからひっくり返そうとした。
対して千空は、常に科学の理想形を見据えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
それは脆く弱い人間を支え、様々な夢を叶え命を守る、希望の種だ。
生きたいという願い、楽しいという気持ちを最大化してくれる、人間だけがつかめる大事な力、世の中を絶対に善く出来る技術である。
あるいは、そうでなければならない。
千空は科学への絶対の信頼を差し出して、休戦状態を飲ませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
その背後には、司が絶望した社会の可能性、間違えてなお正し進める可能性への、絶対的な希望がある。
千空は超がつくほどの理想主義者だからこそ、リアリストであることを自分に任じている、タフな科学少年なのだ。
その輝きは、司も知っていた。多分、身を預けても良いかもしれないと、思ったこともあったろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
だが道を違え、一度は殺した。
その決断の裏にあるものまで見透かされ、自分を支える個人的暴力も上回られ、彼は天を仰ぎ、もう一度理想に目を向ける。
戦車だったスチームゴリラ号が、ブレードを付けられ重機に生まれ変わっているのが、とても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
抑止力だったダイナマイトは、人間の力では発掘できない過去の遺産を掘り返す、特別な道具として使われていく。
ここでも、命を救うために科学はある。
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そう願っていても、ダイナマイトは沢山の人々を殺し、ノーベルは巨万の富を”より善い”科学を称える賞に使った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
そんな、幾度も繰り返されてきた人類史の矛盾を、千空も知らないわけじゃない。
それでも、誰が生き誰が死ぬべきか選べるほど、自分が偉いとは思えなかった。思わなかった。
司が堕ちてしまった傲慢の罠から、千空は徹底的に距離を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
自分にできないことを知り、スコップ片手に汗水たらして土を掘る。
謙虚という徳を手放さないために、千空は現場に身を置き続けているのかもしれない。聖人かコイツtんて(今更)
司は人類最強のフィジカルを持ち、それが全てのルールになってしまえる原始社会が目の前に広がったから、覇道に堕ちた感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
自分だけが圧倒的に強く、世界の形を定められる特権。しかし司の天分は、沢山の人を支えられない世界の残酷さを、全て書き換える類のものではなかった。
千空の科学は、『人は肺炎であっけなく死ぬ』とか、『暴力だけが全てを支配する』というルールを書き換える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
その可塑性と多様性こそが、理想的な科学であり科学の理想なのであろう。
無論、それが取りこぼすもので世界は満ちている。命の選択は、モニタの外の病棟で今まさに、否応なく行われている。
それでも、医術とか学を修めた人たちはその傲慢に苦しみつつ、より多くの人を助け、より善い人間であり続けるために、選別の手を奮っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
命の値段を決めれる、特別な神様であること。
それは人間の手に余る、重い荷物だ。
それを知っているから、千空は全てを救おうとしたのかもしれない。
そしてその手は、”未来”を掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
大地を揺るがす科学の力だけが、可能にした再会。
果たして奇跡は起こるのか。科学に何がなしうるのか。
”暴”に魅入られたモノが研ぎ澄ます槍は、いつ閃くのか。
戦いは終わり、まだ続く。次回も楽しみですね。