バクテン!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
何事も流されるばかりだった少年、双葉翔太郎は補欠のまま終わった中学最後の試合の後、運命に出会った。
男子新体操。
青く躍動する心と体に魅せられ、入ったアオ高で出会った仲間たち。
自分も翔びたい。
純粋な思いは翼となり、未来への一歩が春に、強く跳ねた。
そんな感じの青春ど真ん中男子新体操物語、超爽やかな喉越しで第一話到着である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
『やっぱな~~~~~~~黒柳監督なんだよな~~~~~』って感じ。
人間の心がどう弾んで、どんな時に人情が滲むのか。それを少し軽やかな歩調で画面に焼き付けて、ワクワクと、しみじみと楽しませてくれる。
”少年ハリウッド”で、”舟を編む”で惚れ込んだ筆先は男子新体操という新たな画材を得て、更に力強く踊っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
出てくる連中、みんな気持ちのいい奴らだと伝わる描き方。
テーマに選んだ競技の強み、キャラクターの個性と面白さが、ギュッと濃縮されて殴りつけてくる喜び。
濁りのないカラーリングで真っ直ぐ、男子新体操の何が面白いか、主人公の心がどう動いたのかを見せてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
そのピュアな青さに、寄り添う先輩たち、つっけんどんなライバルとマネージャーもまた、ド素人初めてのバクテンを心から喜んでくれる。
爽やかな風が、胸中を吹き抜ける第一話でした。
さて、とにかく青いアニメである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
芯になるカラーリングをビタッと定めて、それで画面のムード、作品の味わいを統一していく表現力が、第1話から元気だと感じた。
高く跳ぶから、青春の物語だから、濁りのない青。正しいチョイスだ。
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/hN7GRsHXZ2
空の色、花の色、鳥の色。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
自然の息遣いを豊かに画面に切り取りつつ、作品はとにかく青い。
それは未熟の色であり、高い高い天の色であり、何処までも澄み渡った心の色でもあるのだろう。
そういう場所を、これから物語は歩いていく。
この色彩統一には、そういうメッセージを強く感じた。
補欠のまま夏を終えて、流されるまま特に感動もなし。そんな主人公・翔太郎の世界もまた、青に塗り上げられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
迷い込んだ体育館で偶然見かけた、男子新体操競技。それは彼に、舞い上がる翼をくれた。
奇をてらわない、真っ直ぐなボーイ・ミーツ・スポーツ
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/dc00phANJU
足がニョキニョキと映える奇妙な絵面とか、ぼんやりと感動なく帰るのに応援席にお辞儀をする翔太郎の律儀さとか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
物語はスポーツ青春モノの王道をひた走っているのだが、ところどころ気の行き届いたキャラクター表現、絵としてのセンスと面白さが光る。
黒柳監督作品は骨の太い話運びと同時に、凄く奇妙な、それでいて力強いアングルをスルッと差し込んでくる”絵”の強さ、面白さが武器だと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
滅茶苦茶目立ちそうな強い絵面を、サラサラーっと使ってしかし、確かに印象が焼き付いている塩梅の巧さは、今作でも元気だ。
主人公が話のテーマ、ドラマのエンジンと出会う競技シーンは、まさに勝負の超長尺。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
『男子新体操は凄い! 心が揺さぶられるッ!!』というメッセージが、画面の隅々、音響の端々に宿ったいい表現である。
躍動する身体、弾み軋む床。引き締まった表情と流れる汗
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/0h8Z6HEMol
競技の持つフィジカルな迫力と美麗が、ある時はズームアップされ、ある時は引いた画角で切り取られていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
動きが揃う群舞の面白さ、個人個人がキメる靭やかな強さ。大胆に繊細に編み上げられていく演技表現は、翔太郎と同じく見ているものを、グッと”男子新体操”に引き込む。
これから話の真ん中で描くものを、ゴロンと細工なく描ききるこのスタートは、相当大胆な仕掛けである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
しかしこれ以上ないほどダイレクトに、作品と題材の凄みが伝わる。心が揺れて、主人公が感じた震えと見ている側がシンクロする。
これ以上ないほど効果的な、第一話の挨拶だった。伝わったよ、心に
しかしアオ高の演技は低い位置に落ち着き、翔太郎と僕らは『なんで!?』という気持ちでシンクロする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
ここの運び方も、また良い。後に話に絡んでくるだろうライバルたちを、サラリと見せる筆もいいし、真摯に挑んだからこその悔しさを見せるアオ高もグッドだ。
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/MGvEF0dcUt
四人だから、勝ち残れなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
その実情を見せることで、新入生の価値がグッと上がる。六人で勝ち上がっていくだろう未来の物語にも、期待が膨らむ。
未だ知らぬ青年たちが体育館に燃やす感情の輪郭が、この先描かれる物語への期待を高めもする。尺の端っこの、活かし方が巧い。
流されるまま何も選んでこなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
『やりたいこと』を求められても、流動する心を茶碗に反射して翔太郎は、答えが出ない。
しかし確かに、胸に青く突き刺さるモノがあった。それに導かれて、彼は未来を初めて選ぶ。
つーかあるやんけ”大渡海”がッ!!!
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/gXSFv2r0nE
机に並んだ沢山の辞書。ぴっちりと合わされた前ボタン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
こういう描写で、翔太郎の生真面目で素直な気質がしっかり判るのが良い。
説明を押し付けられるのではなく、よく煮込まれた表現を噛み砕いて、キャラと物語を解っていく気持ちよさが表現に宿っている。静かで、親切な描画だ。
このわかり易さはアオ高の先輩たちにも及んでいて、戦隊モノのようなカラーリングとキャラ付け、凸凹のハマり方が序盤から元気に動いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
雑然とした倉庫を部室と使ってる、恵まれない立場もスッと入ってくる。
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/K9jkyBdpuH
つーかパイセン達、陽気で風通し良く、大変元気な青年たちでソッコー”好感”なんスよね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
それぞれ影なく湿気なく、ヤンキー絡みにも心地よくツッコミを入れ、眉魔に寄せていたシワがすぐに謝る。
”部”という集団として、気持ちのいい連中だということがよく伝わる。
この第一印象は後の練習で更に裏打ちされていくわけだが、同期の桜となる美里クンもムッツリ顔に鋭い観察眼、新体操への静かな情熱を燃やし、面白い男である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
経験アリの実力者と、情熱と才能を秘めた初心者。新入生コンビの仕上げも、定番ながらトルクが強い。
かくして初の見学、初の練習となるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
最初は縮こまっていた翔太郎の心が、間近に憧れに触れ、美里クンの演技に触発されてどんどん弾みだして、元気に動き出す描写が良い。
先輩たちも、後輩がどんな資質を持つか、非常にしっかり見てる…描写がある。
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/3OKfekv9oX
アクションを起こすキャラクターだけでなく、それを受け取るリアクション側を細かく、丁寧に描写することで、彼らの人となり、それが集って生まれる”部”の空気が、より精妙に伝わっても来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
こういう”反射”を活かして多角的にキャラを見せてく描画が、やっぱ良いなと思う。
赤担当の七ヶ浜パイセンが、脳筋理論をぶん回しつつも面倒見よく、ド素人に親身に教えてくれる姿も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
部長として集団を引っ張り、ガンガン進んでいく力強さ、それで他人を踏みつけにしない気配りをこの段階で受け取れる。
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/U8BbNLeOt1
胸を張る身体感覚を掴めない翔太郎に向かって、美里クンは無言で演技を見せ、ヒントを出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
この不器用で、しかし確かに新しい仲間の方を向いた視線が良い。
クール顔の奥に”仁”を持ってる少年ってことでしょ。”お子様ランチ(『好きなものしか乗ってない』の意味)じゃん。
それを受けてやる気に火を付け、『もっとお願いします!』と魂燃やす翔太郎も、そのガッツを受けて微笑む七ヶ浜パイセンも、しっかり切り取られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
誰かの思いが誰かに反射し、それが心を、世界を動かしていく。そういうコミュニケーションが、元気な一話である。
この物語を作っていく者たちが、誰かの頑張りを、それを生み出す思いを無下にはしないということ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
そんな真心の受け掛かりで、作品が編まれていくということ。
それを、翔太郎最初のバクテンは教えてくれる。あと、開花されるべき才能のデカさも。
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/oI6oeYTme5
やっぱねー…『パイセン達に憧れて、新体操始めたくなりました!』って言ってくる熱血青春ボーイのファースト・フライトに、握りこぶししちまう男達を嫌いにはなれねぇ訳よ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
天然系と思われたマネジもひっそり握りこぶし、ムッツリ同級生もちゃんと見守る。美里クン優しい…好きになっちゃうヤバイ。
県大会は敗北、部活は始まったばっか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
翔太郎とアオ高の挑戦はあんまり高くないところからのスタートだが、他人の挑戦と成功を我が子とのように受け止めてくれる仲間がいれば…澄んだ”青”を見せてくれた新体操という競技があれば、とてもいい景色が見られる。
そういう期待感が、高く飛翔するラスト。
凄く良いグリップで作品と握手しながら、翔太郎の物語が本格始動して、第1話は終了である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
良い…すっごく良い…。
青と翼をライトモチーフに、統一感と透明感のある力強い挨拶を作品が投げかけてくる、極めて爽やかなスタートだった。
(画像は"バクテン!!"第1話より引用) pic.twitter.com/Z09JaqZaKs
出てくるキャラの書き方に濁りがなく、しかし人間味と体温はしっかりと宿っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
人間だから心が動いて、誰かが頑張る姿を見落とせない。挑戦に思わず手を添え、一緒に頑張ろうと思える。
そういう前向きさは、この作品が置かれたプロジェクトの立ち位置とも関わるかも知れない。
この作品はフジテレビの被災地応援プロジェクト
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
”ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…”の一環として作成されている。
アニメツーリズムを活性化することで、地域に活力を還元するアニメを作り上げ、放送するプロジェクトの一つだ。https://t.co/m9a8I5vmxv
キャラクターに宮城の地名がついているところとか、誰かを見つめ誰かを支える動きが丁寧に切り取らているところとかは、そんな自作の足場を意識した書き方なのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
それはただ応援では終わらず、人間の輝きを青く、真っすぐ切り取る強い筆先にも繋がってくる。
大上段にきれいなモットーを掲げるのではなく、手応えのある面白い物語を造り、その仕上がりをもって声援とする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
とにかくムチャクチャ力強いお話を作って、問答無用に楽しませて、爽やかな風が心に吹いた先に、なにか見えるものがある。
そういう作品になりそうな気配が、上手く滲んだ。
しかし語り口はあくまで自然で、大上段に構えた力みがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
スルッと気持ちよく食わせるスムーズさ、人間が人間をしっかり見てる風通しの良さと温もりが、随所で躍動して心地いい。
凄く巧いんだけど、巧さに威圧されない気持ちよさ。肩の力は抜けてるのに、描くものに誠実に向き合う本気の熱量。
そういうモノがグッと、青く迫るスタートでした。いやー…”黒柳トシマサ”なんだよな~~~~~。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月9日
たっぷり期待し見初めて、更に期待が高まり大変ありがたいです。良いもん見れるな、多分…。
最高のバクテンを成し遂げて、翔太郎の未来は青く青く高い。次回も大変楽しみです。