※訂正
本文中にルイーズとルゥ、サラとミアを不注意に混同した記述が見られます。Twitterの仕様上、記述後の訂正が困難なため続けて掲載させていただきますが、本来は異なったペアと描写です。申し訳ありません。
シャドーハウスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
”お披露目”が迫る中、五組のペアはそれぞれの夜を過ごしていた。
何も考えず、主の道具として務めを果たす。それこそが生き人形のあるべき姿。
そんな価値観でペアを選別する、特別な生き人形・エドワードの前でも、エミリコは誰かを助け、笑う。
その輝きを前に、ケイトは…。
つう感じの怪しさ炸裂! お前らは顔を写す道具だ!! ”お披露目”開始のシャドーハウス第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
5組それぞれの関係性とエゴ、底しれぬ屋敷の社会構造と価値観、絡み合う意思と尊厳。
舞台で踊る役者が増え、舞台事態も広がった感じで、見えるものがグッと数を増した。
今回はお披露目に挑むそれぞれのペアが描かれ、採点されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
点数に為るのは館が押し付ける価値観に合致した行動であり、生き人形の個性と人間性を無視し、シャドーの顔を照らす鏡として活動することが求められる。
そこにエミリコが求める、個人の尊厳と笑顔はない。
エミリコは道具と定められた自分も他人も、道具として扱われると悲しくなることをよく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
ケイトのコピーであることを止め、不安そうなルゥを励ますのはそういう、人間大事の価値観からだ。ほんっっっっまええ子や…人間試験、ニ億兆点で飛び級合格やろ。(モンペの贔屓目)
屋敷のスタンダードでは、生き人形はシャドーのエゴの反射板であり、名前もまたその延長線上にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
”エミリコ”という名前は、そこからはみ出す。
ルイーズが揶揄するように”普通”ではないが、屋敷のスタンダードはその外側においては、人権無視の超ヤバ価値観である…ことを、子供は誰も知らない。
そもそもこの世界に館の”外”があるのか分からないが、とまれエミリコはもっと広く明るい場所のスタンダードを自然と内面化しており、ケイトもまたそれに同意している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
時折屋敷内部のスタンダードにも寄り道するが、根本的には生き人形の個性を認め、個別の命として敬意を持って接している。
対してルイーズはエゴイズムとナルシシズムの反射としてルウを見ていて、他人と触れ合い自分を出すと部屋を煤で汚すし、『成長する機会』として棒で殴る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
寄宿舎やガヴァネスでよく見る光景で、『ヴィクトリア朝の歪み、変態量産機キター!』って興奮しちゃった、棒叩き。
パトリックとリッキーも高慢と偏見をお互い増幅させるエコーチャンバーって感じだし、ラムとシャーリーは対話自体がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
沈黙に耐えかねて、指を対話可能な”他者”とすることでしか自分を保てなかったと考えると、やっぱラムちゃん可愛そうで、ジジイは涙が出てくる…。
ダンスで顕になるように、完全に同質化しているように思えるペアにも個性のズレがあり、それぞれの向き合い方は異なる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
それは若木が天に向かって伸びるようなもので、抑え込んで求められない人間の根源である。
だが、屋敷のスタンダードはそれを抑え込もうとする。
ショーンのために眼鏡を掛けてくれるジョン様は、ケイトと似た雰囲気で生き人形を思い、大事にしてくれてる感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
溌剌と卑屈なところがなく、過剰にエゴを振り回すことも、シャーリーのように自閉もしていない。バランスがいい印象だ。
しかしこの中庸も、館の中では評価されない。
シャドーの顔であること。道具的存在として、意思を抹消すること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
それに適応できなかったペアは”お披露目”に落第し…どうなるのだろうか?
名前も言葉も奪われた”顔のない生き人形”は、その末路なのだろうか?
館でうごめく権力装置は、多分生き血を射して動いているのだろう。悍ましいな…。
今回気づいたのだが、シャドー達は一人称を使わない。皆、名前で自分を呼称する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
ケイトはこう思う、ルイーズはそうする。こういう言い回しになる。子供の言い回しだ。
時に肥大化したエゴを見せる彼らは、生き人形に反射しなければ自己を確立できない、かなり幼い存在なのかもしれない。
同時にこの歪な自己認識は生き人形にも伸延し、ルウは”ルイーズの顔”と呼ばれ、扱われることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
顔という生体の一部、けして取り外せない尊厳ある所有物が、外部に存在する誰かによって所有権を主張され、存在しない表情、体面の代用品となる世界。
シャドーが”わたし”を言葉で縁取る振る舞いの中には、そういうアンバランス…と、僕らが足を置く”常識”からは感じられ、しかし館の中ではそれが当然になってるルールが染み出している気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
シャドー、根源的に自我が薄い種族で、それを補佐するギプスとして生き人形使ってるのか?
とすれば、種族的な欠落を他者の尊厳食い潰して補う慣習が、”お披露目”によって評価され内面化されていく構造が既に常態化してることになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
”偉大なるお祖父様”の顔は全く見えないが、隙間から漏れるものを拾っていくとこの館、見た目よりもさらに深く悍ましい気がする。
他の生き人形に構うエミリコを見て、煤をシュッシュシュッシュ出してるケイト様は愛おしく、思わず笑ってしまったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
ケイトは『そうでなければならない』と押し付けられる他者性蹂躙に接近しつつも、エミリコのあり方を率直に見つめ、異質性を肯定していく道に踏み出す。
自分と似通った名前をつけず、自分と違う顔を自分の所有物とは考えない、ケイトのアンチ・スタンダード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
多分その反抗こそが、閉塞した館に真実の光を呼び込み、子どもたちを救っていく柱なのだろう。
ジョン様の振る舞いも、こっちに近い感じはするな…自然そういう人か、誰かから学んだか。
エミリコは”お披露目”に合格し星付きになる目的を、『もっとたくさんのことを知るため』と定める。屋敷の権力構造を、自分の願いのために活用しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
ルイーズは『そうならなければいけないため』星付きになろうとする。手段自体が目的化している。
心の奥底から湧き出る正しさに従うか、屋敷に充満した答えを取り込んでいくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
今後”お披露目”が進んでいくに従って、二つの道はより鮮明になっていくだろう。
ケイト様はエミリコという鏡に自分を照らし、前者を選んだ。ダンスパートナーとして、エミリコを尊重した。
一人では手足の運び方すらわからなくても、ケイト様の導きに従えば踊れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
それはエミリコが余計な仕事(屋敷のスタンダードに巻き込まれた結果)に時間を使う間、ケイト様が部屋の中で研鑽した結果だろう。
そんな風に、人と人はお互いに足りない部分を補い合える。
ラムを励ました後、ショーン・ボーイが『お前は間違ってない』とばかりにエミリコに微笑むのが、あまりに”人間”過ぎて泣いてしまった…(ジジイはよく泣く)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
エゴと自惚れが反射し合う、影と鏡の歪んだ関係以外にも、お互いを照らし合う道はある。
しかし館の影は、けしてそれを認めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
主なき生き人形、エドワードはどんなカラクリで監督官としての特権を手に入れ、自分の意志で顔を作れているのだろうか?
半人前を愚弄し、屋敷の中枢に媚びへつらう権力構造に居座る彼は、多分見た目ほど自由ではない。
全てのペアにそれぞれの形で軋み、現れている意志の力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
消すことの出来ない魂の尊厳を真実自由にするのは、揺らぎつつもエミリコを尊重する道を選び取った、ケイト様の決断なのだと思う。
その光が、ペアを越えて広がる気配もある。同じくらい、屋敷に押しつぶされる予兆も。
人間の価値を厳しく図る”お披露目”は続いていくが、その奥にある屋敷の秘密と権力の構造が、より知りたくなるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
漏れ聞こえる要素を繋ぎ合わせて推察していくと、相当に人間性を踏みつけにして成立してる、腐った”家”だなシャドーハウス…風通しが悪いから煤だらけなんだよッ!
ケイトとエミリコは愛と尊厳で心の窓を明け、風と光をもたらす革命者となるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月11日
歪な合わせ鏡にお互いを照らすペアたちは、この”お披露目”から何を得るのか。
謎の輪郭が少しずつ見えてきて、より深まる。
”シャドーハウス”、大変面白い。次回も楽しみです。