往くぞ青春総決算、食文化研大学祭へ挑む!
そんな感じの、ひびめし第9話である。
まこくれの関係性が大きな変化を見せた、内面的爆発の第7話に対し、今回は大学祭という開けた大勝負を通じて、対外的な変化がしっかりと伝わってきた。
キャラクターへのフォーカスも凄く横幅広くて、嘘っぱちの居場所だったはずの食文研に、みんなが熱意込めて本気なのが良く伝わる出店となった。
ここまで関わった人たちもたくさん出てきて、それぞれ出来ることとか苦手なことに挑んで、みんなで作ったジビエカレーがしっかり売り切れ、少しの寂しさを感じる。
物語が9話かけてたどり着いた到達点として、大変良かったです。
濃い口なキャラ付けされてるななが、一番わかり易いけども。
それ以外のみんなも事務手続きや人脈形成、出店のデザインに接客にメニュー開発と、出店を成功させるためにやるべきことをちょっとずつ分け合っていた。
これが過剰に力みすぎず、あくまで楽しく手応えのある成功が描かれているのが、凄くこのアニメっぽくて良かったです。
何かをやりたいと願ったのなら、フツーにやるべきことはたくさんあるのだが、みんなで力を合わせ、助け合って苦手なことにも挑んでみれば、結構上手くいく。
課題の設定もその乗り越え方もコンパクトながら、だからこその充実感が身近に伝わってきて、凄く良かった。
やっぱお互いあんま見知ってない、”食”の善さを体験してない「はじめまして」な距離感を、物語の始まりにしっかり描けていたのが効いてるなぁ、と感じる。
あんだけ凸凹噛み合わず、ヌルくテキトーに大学生活を使い潰そうとしていた連中が、出会って笑って一緒に過ごして、自分たちだけの特別を作り上げてきた。
その総決算として、モコ太郎のレシピを丸写しするのではなく、培った人脈や高尾の特産を活かし、自分だけの工夫を交えて一品しっかり作りきるの、大変良かった。
それが「売り切れる」という形で、食文化研の外側に認められる場としても、大学祭は良い舞台だったと思う。




ここまでユルいお話をビシッと締めてくれていた、事務員さんが食文化研の変化を認めてくれたり、内気なまこのカミサマだったモコ太郎との邂逅があったり、さくら先輩との縁が道を示してくれたり。
ゲストキャラ総出演で、ここまで食文化研が何を積み上げてきたか、ちゃんと確認させてくれる回だったのも良かった。
事務員さんとしのんの間にあった、ある種の緊張状態は凄く良いスパイスとして効いてきたわけだが、それが今回和平に導かれて…つうかフツーに頑張りを評価してくれただけだが…、心地よいカタルシスがあった。
まぁそうやって認められるくらい、食文研は生真面目にサークル活動ヤッとるよな…。
この手応えって、「自分は”食”が好きだ!」となかなか言い出せなかったまこが、意を決して前に踏み出し、見知らぬ人たちと友だちになったからこそ掴み取れた変化だと思う。
そういう小さな決意と出会いが、確かな手応えで何かを生み出してくれるお話は、やっぱり凄く好きだ。
ジビエの臭みを薬味と香辛料でしっかり殺して、強みに変えたカレーの作り方も、このお話らしい地道な美味そう感がしっかりあって、大変良かった。
まこの料理は毎回、奇をてらわない安定感に独自のシャレオツ感覚をしっかり混ぜ込んで、トビ過ぎないオリジナリティがあるところが良いな、と思う。




そういう外側に開けていく善さと並走して、食文化研内部の関係性…ありていにいえばカプ描写も、大勝負を前に濃厚で素晴らしかった。
凄いキョドりかたするななの濃い味を見てると、「やっぱ深夜アニメ特有の、コッテリ二次元美少女は良いな…」と感じさせられる。
このやり過ぎ感ある人見知りにひつじちゃんがしっかり寄り添い、どうにかイカレ人間なりの他人との繋がり方を見つけていく足取りには、ヒドさと同じくらいの尊さがあった。
ダウナーな態度を崩さないまま、真摯に幼馴染に寄り添うひつじちゃんの温度感、やっぱ好きだな…。
あと今回は第7話の”答え合わせ”感もあって、あの夜空に絆を紡いだ二人がすっげー自然に、すっげー近く寄り添っていて素晴らしかった。
レシピ開発に悩むまこに、けして力むことなく当たり前に、しかし極めてありがたく隣り合ってるくれあの”間合い”が、あの押し出しの強い第七話を経たからこその脈動に満ちてて、大変良かった。
小さく何かを積み上げ、確かに何かが変わっていく変化のダイナミズムって、このアニメ一番の善さだと思ってるけど。
女と女が隣に立った時、生まれる呼吸とリズムの変化でもってそういう善さを味あわせてくれるの、大変ありがたい。
あと久々にモコ太郎がフォーカスされて、あの珍妙生物が好きな視聴者としては嬉しかった。
内気なまこを支え得てくれたモコ太郎が目立たないってことは、つまり食文研で作り上げられていくリアルが充実してるってことで、まぁ良いことだ。
でもあの奇妙な声の妖精が、まこの”食”への憧れを支えてくれていたのも、そういうイイハナシ要素全部抜いて単独でおもしれぇ生物なのも、また嘘ではなくて。
なので全面的に頼る距離感から、レシピ見た上で「これはちょっと…」となる間合いの変化も含めて、ここまで九話まこが何を手に入れてきたのか、良く分かる再登場で良かったです。
あのCパートは、このエピソードの〆としてベスト。
かくして自分たちが物語の中で積み上げてきた全てを活かして、大学祭の夕べは美しい。
ここで終わってしまう寂しさに縛られるのではなく、もっと楽しい明日を見上げてみんなで進んでいくの、食文化研の”今”を素直に活写できてる感じがして、とても良かった。
昨日までも凄く楽しかったからこそ、みんなが各々の仕事をやり遂げ、素晴らしい結果を掴み取り、それを越えて明日へ進み出せる。
そういう当たり前なんだけども大事な手応えを、ほんわか青春日記にしっかり宿せているのは、やっぱ良いアニメだなぁと感じました。
ここまでの物語の総決算という感じで、大変良かったです。
ここからの物語も、また楽しみですね!