劇中作…やるなら”本気”だッ!
第2クール二話目にして相当力んだトボケをぶん回してくる、ウィッチウォッチ第14話である。
いやー…ホント色んな楽しませ方をしてくれる、サービス精神旺盛な作品でありがたいよ。




つうわけでAパートはまるまる”うろんミラージュ”、Bパートはうろミラオタクがワイワイ盛り上がるだけの、主役の存在感が薄いエピソードである。
こういうのがちゃんと面白いのは、ワキがしっかり育ってきている証拠でもあるので、大変いいなと思う。
まぁうろミラの方は徹底して、思わせぶりなだけの霞に包んで、中身はさっぱり見えないがな…。
徹底的に作り込まれていることで、それっぽい雰囲気だけが延々漂う中身の無さが逆に際立ち、そういう空っぽな作品だからこそ界隈が盛り上がり交流が熱を帯びる。
ある意味皮肉なオタクあるあるが、パンッパンに張り詰めた力こぶで作中作を描き切る”力み”によって、斜に構えた嫌味を追い出し独特な味を出しているのは、なかなか面白い体験だ。
マージでうろミラな~~~~~~んも言ってなくて、ひたすらにジャンルの定型を良い作画と声優陣が垂れ流しにし続け、意味深で中身のない引き伸ばしが異様な緊張感を貼り付けて展開し、だからこそオタクは自分に都合の良い夢を押し付け、勝手に盛り上がる。
そこにはムチャクチャ醒めた観察眼があって、ともすれば冷たすぎる書き味にもなってしまいそうな所だが、徹底してそれっぽさのガワを作り込み続ける姿勢と、クソオタク教師が異様に噴き上がる温度の高さで、シニカルな冷淡を遠ざけていた。
「こんな古典的な温度感でブチ上がり続ける、アドレナリンエリートまだいんの…?」と思わなくもないが、古オタク仕草を上手くオープンリー・ナードな世代と対比し、それを乗り越えて明るくオチをつけることで、上手く着地もさせていた。
生徒と先生、古参と新世代。
そういう壁を越えて、うろミラLOVEで繋がるボケ二人の熱を、素直に「良かったね…」で見送れる話だったの、とても良かった。
114話もやっておいて、メイン敵の正体も能力も定かじゃないフワフワ加減で天下取ってるの、本当にスゲーなと思うが。
これがキャラ萌えだけで突っ走ってるハイミ先生&電撃メロンの特徴なのか、中身がないからこそ永遠に実りのない考察こすり続けてる層も元気なのか…多分後者だろうな。
意味深なヒキで創作消費活動を牽引し続け、実体のないまま加速していくジャンプ仕草を、その本丸が堂々皮肉るシニカルな姿勢はかなり好きだ。
皮肉ってる当人は、かなりどっしり腰を落としてSFラブコメディの本道を着実に歩み、バトル要素もスパイスとして的確に活かしているの含めてな…。
どんだけうろミラに中身がなかろーが、それに燃え上がるオタクの熱は本物であり、それが絡み合って生まれる人の絆も嘘にはならない。
そうやって人間にいちばん大事なものを作れている時点で、あの何もかもが霧の中のテキトーなお話は、しっかりフィクションに必要な仕事を果たしているのだ。
シニカルな割に力入りまくってるメタなAパートから、別の意味で力みまくってる(主にみかこしの声帯が)現実のBパートへと繋ぐことで、空っぽな器に確かな中身が入っていく流れを、見ている側も実感できる構成だったのはとても良かった。
クソボケオタクたちがあんなに楽しく過ごせてるなら、まぁそれは功徳なことじゃないの…。
同時にうろミラの徹底した中身の無さは本当に凄くて、「ガハハやりすぎ」力みすぎ!」と笑った後に、そういうのをぶっ刺す篠原先生の”牙”を感じたりもした。
1クールラストに見せたように、色々伝奇的な設定を抱える”ウィッチウォッチ”はいつでも、日常コメディ投げ捨てて延々能力バトルする路線に切り替えれる。
しかしカンちゃん達…がカメラに映らずとも面白い、小さな幸せを丁寧に積み上げて、愉快で楽しい手触りで作品世界を満たしていくことを、このお話は簡単に手放さない。
ふんわり中身なく作り上げたシリアスな気配より、ぎっちり多彩で濃厚な騒々しい日常を描くことを、この物語は意識して選んでいるのだ。
その一環として、教師で読者で大人という三重の鎖で己の中の”獣”を縛り、控えめ気取ってた電撃メロン先生が、共に同じ景色を見て同じ温度の炎を上げてくれる、創作の相棒に出逢う物語もある。
早口クソオタクのオモシロ燃焼芸で終わらず、小さな葛藤とその克服…何かが始まってしまいそうな確かな予感が、うろミラマニアの出会いにしっかり燃えていた。
俺はどんな形であり、人が抱えた”好き!”が解き放たれていく瞬間を見るのが好きなので、クックと真桑先生が心の壁を乗り越えて”同人”となり、自分たちなりの創作に挑むようになった姿に、結構真面目に心を打たれてしまった。
イラストレーターとしての腕はあっても漫画を紡ぐセンスに欠けているクックが、その弱みを自覚して補える相棒として、真桑先生を選ぶ流れが好きだ。
ファン同士最高神絵師を崇め奉り合い、承認欲求と所属願望を満たし合う心地よいぬるま湯から、あの子は出ることを選んだ。
別にどっちが上とか下とかもないのだけど、より”善い”ものを作っていくというシビアな道を選び取り、そこで勝つために必要な人材として、自分に足りないものを確かに持っている電撃メロン先生を選んだのだ。
その選択がどんな変化を生むかは、今後二人のまんが道がどう転がっていくか次第ではあるのだが。
でもきっと、モイちゃんたちの青春に負けず劣らず、騒々しくて楽しい道になるだろう。
あんだけ血圧高く神絵師崇拝していた真桑先生が、クックの原稿目の当たりにしてかーなり”読め”てしまえるのも、面白い描写だった。
こういう冷静な審美眼があればこそ、本気で好きになれるなにかに異様に燃え上がる熱も生まれるとは思うんだが。
気づいてしまった欠点を”正しく”指摘して、ようやく出会えたオタ友傷つけるより、嘘じゃないけど本当でもない優しい言葉を選んで関係を守ろうとする心遣いが、結局勝つところも好きだ。
真桑先生は本当にわきまえてるオタクで、一線を引いたうえで存分に狂える理性は、間違いなく彼女の美質だ。
でもそれは、そろそろ解き放っちゃって良い。
あるいは公衆の面前で裸踊りをブチかますような、自分の”好き!”を世に問う戦いの中で狂い切ることで、逆に持ち前の理性が武器になっていきそうな気配もあるけど。
今回クックと真桑先生の関係性が、”秘密を抱えたファン同士”から”同じ志を追う相棒”に変化したことで、面白い軸がまた生まれたなー、と思った。
本筋とはぜーんぜん関係ないけども、二人の創作道がどんなモノになっていくかは、オタクあるあるをシニカルにコスる手つきの奥、確かに見えてる真摯な視線に支えられて、今後がとても楽しみなストーリーラインである。
それはフワッと中身のない霧じゃなく、魂の汗が宿る本気の夢なのだ。
つーわけで、フワ~~~っとした原作に本気の”好き!”を捧げ、自分たちだけのまんが道へと飛び込んでいく、女二人の一歩を描くエピソードでした。
わきまえた古式のオタクである真桑先生と、もうオタクであることを隠さなくてもいい世代のクックは、色んなところが間逆なわけですが、そういう壁を超えて手を取り合い、創作の修羅場へ身を投げていく展開は関係構築の物語として、かなりアツかった。
観客席でキャーキャー言ってれば幸せだった時代から、己を激しい嵐に晒す厳しさに踏み出した”後”を、ぜひ見たくなります。
でもうろミラ、あんま未来感じないジャンルではあるよね…アンチスレ元気そう。
次回も楽しみッ!