イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

New PANTY&STOCKING with GARTERBELT:第22話『遊星からの物体SEX』&第23話『ロード・オブ・ザ・コカン・ザ・グレート』感想ツイートまとめ

 New PANTY&STOCKING with GARTERBELT 第10回を見る。
 「そろそろ最終回も見えてきたし、天使兄弟絡めて話を収束していく感じかぁ~~?」と思ってたら、前半ボディスナッチホラー、後半超古代ダークファンタジーと、キャラ借りてやりたいことやりまくるエピソードがボゴっと飛び出してきて、大変良かった。

 両方ともダテンシティで一応形を為してる「現実」なるものから遠く離れた、キャラだけ借りてきた超☆外伝って感じであるが、それぞれ独自のエグ味と旨味にぎっちり満ちていて、とても面白かったです。
 エッジの効いた実験作がビョコッと飛び出してくるのも、オムニバスの面白さよね。

 

 姉と合体して暗黒のヴァギナを備えたエイリアン・クイーンになったり、超古代の暗黒復讐劇でシマシマの騎龍になったり、特にストッキングの弄りっぷりがまー凄いが。
 第9話に引き続き、分厚い顎で山盛りの苦悩を噛みしめる影の濃いマッチョにパンティが変貌したり、ブリーフはコナン名物健気な奴隷に性転換したり、本筋置き去りにしたやりたい放題が大暴れて、元気で良かった。
 こんだけキャライメージグチャグチャにしようが、本筋の方で泥まみれ血まみれ精液まみれなおかげで、「まぁパンストだしな…」で飲めるのは、度量のデカい話運びをしてきて良かったね! って感じである。

 特に第23話は字幕も音声も全部独自言語で、日本じゃあんま馴染みがないだろうキンメリアテイストモリモリの超古代を、ザラツイたビデオ画質で駆け抜けてくれた。
 こういうボークスレスレの魔球がしっかり刺さるのは、やっぱなんでもありのハチャメチャ物語だからこその強みで、どんだけぶっ壊れても一話すぎれば元通りな、オムニバス形式が効いてる所でもある。
 同時に話数をまたいで蓄積されたり、共鳴が生まれたりする部分もあるので、パンスト二期は形式が生み出す面白さを、ホント色んな角度から味あわせてくれてるなぁと感じる。
 時代遅れのフォルマリストとしては、大変嬉しい限りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

画像は”New PANTY&STOCKING with GARTERBELT”第22話より引用

 というわけで”郵政からの物体X”と”エイリアン”と”スペースヴァンパイア”と”スピーシーズ”と…まぁとにかく色んなボディスナッチ・エイリアンホラーをごたまぜリスペクトした、第22話である。
 色んな元ネタがパッチワークされているのだが、異質で不気味な美女が男たちを(色んな意味で)食いまくり、むせ返るような暴力が凄まじい暴れ方をする物語として、独自の魅力がたっぷりあったと思う。
 15分のオリジナル短編として、独特の切れ味で殴りつけられたのが、とにかく気持ちが良かった。

 虚ろな目をしたまま裸身を惜しげもなく晒し、死すべき肉体を取り替えながらエロスとタナトスを撒き散らしていく、パンティ&ストッキングの妖艶。
 美少女の皮が破れ、混ざりあって生まれた黒い怪物に、セックスと暴力が混じり合った原始的な戦いを挑むヒーロー…というより、もう一つの怪物の異常な勇姿。
 世界の全てを吸い込むスーパー女性器という、お下劣でありながら神話的スケールも感じさせるオチも含めて、悪趣味の向こう側に妙な崇高さを感じるお話で、大変良かった。
 やっぱこの気持ちよさは、出てくる絵が軒並み最高に仕上がってるからこそだと思うので、色んなアート浴びれるのはマジありがたいね。

 

 第22話はとにかく”人間”の匂いがしない話で、宇宙より飛来したサキュバス・クイーンと闘う戦士も、ボディスナッチを繰り返す怪物でしかない。
 底なしのヴァギナに精気を吸いつくされた男たちは、人間が成り果ててはいけない異様な屍を街中に晒し、もともとあったかも怪しいヒトのルールは、暴れまわるエロスとバイオレンスの前にみるみる痩せ細っていく。
 それを脳みそ投げ捨てた拳と性器の正面衝突でもって、ZOOOMと暴れる作画に爆裂させる時、感じたのは不思議な爽やかさだった。

 

 徹頭徹尾人間業じゃないからこそ、不思議と血も愛液もべとつかず、異常なスケールに拡大したブラックホール・ヴァギナに飲み込まれていく。
 ここら辺のスペクタクルは後半、最高のアクションで暴れ狂う大怪獣バトルと同じくらい、瞬きをしない美麗なる怪物として描かれた、パンティ&ストッキングがデカい仕事してたと思う。

 いつもの騒々しい二人も好きだが、ああやって人間らしさを全部擲って、優しさのかけらもなく男を食らいつくし世界を飲み込むあの子達は、邪悪な天使のようで綺麗だった。
 …もしかしたらあの氷の美貌こそが、あの子達の本来の姿であり、いつものクソビッチっぷりは親しみやすく”人間”に寄せてくれた、あの子たちなりのサービスなんじゃないか…と思うのは、ちょっとロマンティックが過ぎるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像は”New PANTY&STOCKING with GARTERBELT”第22話より引用

 そして後半戦もエロスとタナトスたっぷり! 歴史の闇に沈んだ超古代を舞台とする、復讐の挑戦師の物語を独自言語でたっぷりお届けだ!
 ザラツイた画質で描かれる全てが「ハイ! コナンとかマジで大好きです!!」と吠えていて、大変気持の良いエピソードだった。

 ”指輪物語”とか”ハリー・ポッター”に押されて、むせ返るような男汁と蛮性に満ちたキンメリアの後継は中々オタクカルチャーの中に躍り出てこないが、ここでズドンと最高の一発が飛び出してきたのは、大変素晴らしかった。
 やっぱカッケーわこの世界…。

 

 なぞるべき元ネタが神話的シンプルさで構成されているので、まーったく解読できない謎言語で展開してもなんとーなく話が分かるし、むしろ未知の文化を解読していくワクワク感が、荒い画質にブーストされて際立ち、大変良かったと思う。
 本編ではすーっかり最高かわい子ちゃんに収まったデイモン姉妹が、相当の赤魔竜として悪役頑張ってくれて、大変いい感じに邪悪だったのも素晴らしい。
 あとドラゴンになっても姉貴と魂で繋がっている、ストッキングちゃんの”在り方”もね…。
 ここら辺の絶妙な味付けが、トンチキ外伝やってもしっくり来る理由なのかもしれない。

 殺し愛し殺され殺し返し、とにかく殺伐と燃え盛る蛮人の復讐行。
 パンティがただの売女ではなく、一本筋が通ったモノホンのビッチだからこそ、こういうテストステロン濃度の濃い役柄もハマる。
 つーかオッパイついてる時も二丁拳銃で暴力撒き散らし、ファックしまくりの超蛮族だから、むしろ正当なTS外伝とすら言える。
 その癖我欲だけで暴力を振り回さない不思議な高潔と、乙女ブリーフの鎖を解いて死地に挑むダンディズムがしっかり伝わって、こんだけ訳分かんねーのにちゃんとカッコいいのが、大変良かった。
 ストッキング・ドラゴンの遺骸を武器に変えて、凶悪なる仇を討ち果たす狂暴なる不屈とか、見てて震えたからね…。

 

 セリフで説明されるのを聞いて知るのではなく、溢れかえる血しぶきと盛り上がる筋肉でもって直感的に判る。
 相当手間がかかってるだろう謎言語演出は、遥かなる古代の蛮族の世界を、視聴者に肌で感じさせるための工夫だったのかな、とも感じた。

 H・E・ハワードの元ネタに触れていなくても、そのエッセンスを脳髄の原始的な部分で受け取り、これを入口にキンメリアへの旅を始めれるような、問答無用のパワーがあったのはとても良かった。
 同じく手間がかかってるVHS画質も、荒々しい物語とがっちり噛み合って、メディアが持つ味わいを最大限伝えていたと思う。
 正しくオタクが作るアニメすぎて、最高だったわね…。

 

 

 というわけで、まーた力強く「僕らはこういうのが大好きです!」をぶん回すエピソードでした。
 パンスト借りてパロディやるだけで終わらず、好きだからこそ全力でやりきって独自の熱が生まれ、役を演じるパンティ達の新たな魅力が勝手にあぶり出していくような映像になっていたのは、素晴らしかったと思います。

 実はセックス要素すらも暴力の一部としてまくりこまれ、24分どす黒いバイオレンスを浴びる作りでもあったので、その血腥い手触りが良かったな…とも思う。
 暴力を裏打ちするシリアスな味は、ダテンシティだとちょっと薄まり気味なので、外伝だからこそのコクであった…。
 次回は何が味わえるか、楽しみです!