多元世界をオマタにかけて、貪る快楽アドレナリン!
そこのけそこのけ、超次元ビッチがまかり通る…最終決戦開幕!の、陰陽廻天 Re:バース第11話である。




というわけで、兎にも角にもツキミヤさんが凄い回だった。
まさかヒロイン面してたときのキレの悪さが、こうやってラスボス張る時に後腐れなく最悪だと思えるよう、意図して薄味に仕上げた結果だとは…。
まぁそんなこたぁなく、フツーに展開マズった結果だとは思うけども、超級アドレナリンジャンキーな素顔をさらけ出したツキミヤさんは間違いなく、過去一輝いている!
月での殺戮から始まって世界の理を捻じ曲げ単独過去遡行、永遠の快楽を貪るべく多重世界を思うがまま維持しようとするドクズな性根が顕になってみると、あざとい可愛さアピールも大変キモく、本当に素晴らしいと思う。
この後業平くんと心を通い合わせて、なんかキラキラしたいい感じ空間で解かり合うこととか全く無く、最悪なまんま死に絶えツキミヤさんを”完成”させて欲しいが…さてどうなるか。
ここまでやったんだから、ひたすら己の望むままに邪悪であった暗黒の太陽として、燦然と輝き燃え尽きてほしいもんだ。
いやー…マジ死んでほしいね!
ツキミヤさんの異様な存在感に比べると、主役サイドはイマイチキレに欠けるフツーな感じ(つまりはここまでのこのお話らしい歯ざわり)で、最終決戦でどう転ぶやら…という感じではある。
この期に及んで記憶リセットでダルい衝突とかにはならず、もう一つの世界の記憶取り戻して全員協力体制作れたのは悪くなかったが、もうちょい劇的な仕掛けがそこにあってくれると、なお良かったかなとは思う。
まぁここで業平&晴明&ツキミヤ以外のヒト置いてけぼりでフィナーレだと、「マジでアイツラ、なんだったんスカ…」になるので、みんな揃ってのクライマックスになったのは良かったね。
ぶっちゃけこのアニメのアクションにもうあんまトキメキを感じないので、殴り合い頑張るより、もうちょいキャラの交流と掘り下げに力使って欲しい気持ちもあったが。
すーごい勢いで全部口で説明するツキミヤさんの真相パートも含め、アクションとどんでん返しという2枚看板で、ショックショックまたショックで引っ張ろうとする欲張りな構成が、腰を据えてキャラを削り出していくフツーの話作りの邪魔をしてたかなぁ…という印象はある。
ことここに及んでも、やっぱ業平くんの行動理念はしっくり腹に落ちてこないし、彼がツキミヤさんに敵対し晴明と肩を並べる逆転を、お話が論を尽くして描ききった手応えは自分には薄い。
こんだけ最悪を尽くしてなお、ツキミヤさんが語る一分の理に結構な説得力が出ちゃってるのは、まぁまぁ困ったもんだなと思う。
別に月面の最悪環境に同情するわけでもないし、行動理念もやってきたことも許されざる最悪だとは思うが、「晴明も大概アタシとおんなじだろーが!」つうツッコミには、「まぁそうだよね…」と頷きはしてしまうのだ。
真実ゲロって部下が許してくれたから、多元世界殺戮の業が消えてなくなるわけでもなし、タイマン張って身内認定したから棚上げしたヤバさを棚上げしたまま話が終わるのか、しっかりおろしてケジメつけて終わるのか…全然読めない。
というか、ケジメつけてくれるという信頼が作品にない。
それは業平くんがブン回し、多分最後世界の命運を救うだろうヤンキーイズムがどういうロジックで回っていて、何を大事にし何を諦めるのか、僕が全然掴めていないのと繋がってるのだろう。
ハラハラドキドキのどんでん返しを機能させるべく、ちょうどいい感じに狭い視野とちいちゃな了見で、謎に深く踏み込まず過酷な運命に翻弄され、ちょうどいい感じに真実を一枚一枚めくってくれた、流され型多次元探偵。
「そらーツキミヤさんの良いように転がされるわなぁ…」という納得もありつつ、1000年の大望を超時空クソビッチに踏みにじられてヘニャヘニャになった晴明に、根性入れて大逆転カマせるのか…いやカマスんだろうけど、主人公だし。
そういう都合のいい大逆転を、待ってましたと受け止められる共鳴が結局僕はこのお話、その主人公である業平くんと、上手く作れなかった。
ここにレセプターがないとどんな展開(あるいはその不出来)も感情も飲めないわけで、もともと相性悪かったなぁ…と思っている。
ツキミヤさんのヒロインとしての描写の薄さが、彼女に焦がれる業平くんへのノリきれなさに繋がり、結果根性ドブゲロな最悪ビッチの素顔を見せてくれた今のラスボスのほうが、全然ノレてるってのは、まぁあんま良くない味方だなと思う。
マジでキモくて最悪でおもしれーからな、今のツキミヤさん…。
大義と理想のための晴明の大量殺戮はしょうがなくて、我欲と悦楽のためのツキミヤさんの虐殺はNGとなると、随分体制に協力的なヤンキーだな…って感じもあるしね。
結局何が許せなくて業平くんが抗ってんのか、行動の芯になるものが自分的にあんま鮮明に届かなかった感覚が、このクライマックスにおいても健在だと感じる。
繰り返されるバトルの中で、そういう絶対に譲れないものを問いただし、顕にする熱が燃え盛ってくれてたら良かったんだろうけど、自分としてはあんまそういう強さを、このお話のアクションからは感じなかったんだよな…。
ここは自分が、アクション分解酵素薄い人間なのもあるけど。
そういう自分の中のグジグジしたノレなさは横において、ツキミヤさんと晴明、二人の次元操作者の因果関係がかなり捻れてて、厄介であり面白くもあり。
晴明が百の世界を作って理を突破しようとしたのは、現世の平安で運命を変えようとして大時鳥に阻まれ、友を救えなかったから。
その大時鳥は晴明が運命を捻じ曲げた結果生まれた、最悪月面世界で魂すり減らしたツキミヤさんが生み出して、過去に戻って確定未来への線を引いた。
晴明の多元世界創造が先か、大時鳥の運命確定が先か、鶏と卵のパラドックスが既に生まれてね? とは思う。
ここらへんを解き大時鳥の介入を跳ね除けて、晴明が未来を変えて大団円…かなぁ?
次元のイレギュラーである業平くんが大時鳥に一発入れて、確定した未来を揺るがせ書き換えると、晴明が電祇平安京を生み出す理由が消えて、過去が書き換えられる。
となると世界蠱毒やってた事実自体が消えて、無罪放免大団円、おまけに最悪月面世界もツキミヤさんも生まれず元通り…になんのかな?
ここら辺の展開は、タイムパラドックスと因果の相互作用をこのお話がどう解釈してるか次第なので、実際描かれるまでなんとも言えないけども。
最悪次元ビッチが生まれる因果自体を消し飛ばし、綺麗なヒロイン・ツキミヤさんが突如ポップアップしてキレイに収まる感じだったら、間違いなく爆笑してしまうとは思う。
まーしかしこの最悪のアドレナリンジャンキー、晴明の独善と不信の犠牲者ではあって、どんだけゴミカスだろうがアイツの業が生み出した、確かな意思を持った一存在ではあろう。
そういうのをキレイに漂白できてしまうのが、捻じくれた因果を扱う物語だとは思うが、個人的にはこんなに素敵なアクとコクが出たツキミヤさんを、なかったことにして終わっちゃうのもったいないなぁ…と感じる。
こういうゴミを生み出しちゃった晴明のヤバさを消さない意味でも、許されざる快楽主義者を貫き、大暴れして終わって欲しい。
1クール続いたこのお話の結晶は、間違いなくツキミヤさんでしょ!(最悪の見解)
というわけで、因果をたぐるカミサマ気取りの快楽バカが、思う存分好き勝手絶頂ブッ込む回でした。
ツキミヤさんが楽しそうで何よりですが、こっからどういうまき取り方して話が終わっていくのか、全然読めないのは中々ハラハラします。
ツキミヤさんの存在質量がグッと上がったことで、あの人殴り飛ばせばとりあえず形にはなりそうなんですが、そこを超えた納得を最後に描き切るには、結構難しい宙返りがいるかなぁ…。
間違いなく大量殺戮者ではある晴明に、どういう収まりどころ用意するかも含めて、このお話が自分を描く余白も少なくなってきました。
ちゃんと見届けたいと思います。
次回も楽しみ!