男一発六尺玉、死んで咲かせる花実もあるさ!
路上に炸裂するタイガードライバー91、東島ライダー第7話である。
ほーんと、「受け身を捕れない投げ」にアツく執着するアニメだな…。
つうわけでライダーワナビの話は一旦横において、人生の荒波に揉まれたげくショッカーに憧れた男、涙涙の一代記であった。
ユカリスにしても中尾にしても、衣装着てるだけのコスプレ軍団に比べて後戻りできない”改造”の悲哀が宿って、戦闘員サイドの方がライダー味が濃い気もしている。
いや、親父が借金のカタにマゾ雄として人生売り飛ばした過去持ってるライダーが、正伝にいるのかは知らないけどさ…。
ともあれ過剰な暴力を持て余し、御駄賃のように銭恵んでもらっていた親分よりも、舎弟の方を先に庇ってしまう、”悪”に全く向いていない男。
ハラワタ串刺しにされながら吠えた”悪”への憧れに、蜘蛛男さんが何考えて報いる形になったかはサッパリ解らないが、彼もまた異形の装束を身にまとうことで、真実の自分へとアツく近づける中年男の一人だ。
結果として年老いた父を良くない因縁から守る、フィクションの中にしかいない「正義のヤクザ」になってしまっているのも、流れ着いた人生のゴール(であり、スタートでもある場所)として良かった。
ボケナス三人抱えて、こっからどうなっていくのか…中尾の今後が楽しみだ。




中尾のショッカー羨望は、ライダーへの反転アンチというか、フィクションが救ってくれない現実に押しつぶされた結果、”悪”と同化することでなんとか生き延びてきた悲哀を帯びている。
この陰りはライダーにマジだったからこそ人生歪み、ショッカーが現実化したからこそ生き生き輝いているライダーワナビたちでは描けない、作品を成り立たせる大事なピースだろう。
ヤクザとして生きていく中、不器用ながらも己を慕う家族を手に入れ、今更カタギには戻れない。
…いやまぁ、カタギになったほうが絶対合ってるけどさ中尾さん、他の社会不適合者より全然。
父と別れ、ライダー愛を反転させてヤクザに転がり落ちていった人生は、中尾にとって趣味の悪いフィクションのような、現実感を伴わない日々だったと思う。
バックボーンが死に際に明かされることで、命がけの殴り合いにもひどく湿気った態度取っていた理由が暴かれ、色々納得するものがあった。
御駄賃もらえる遊びの殴り合いではなく、ガチで人が死に職場が潰れる暴力の嵐に出会った時、中年ヤクザが感じたのは崩壊への絶望ではなく、解放への期待だった。
ここにも嘘っぱちがリアルに溢れ出したことで、人生に熱が入っちまった男の姿がある。
そらーライダーの話ししつつ、異様なプロレスLOVEが背景に滲んでもいるわなぁ…。
あり得るはずのない都合の良い夢は、手作りの仮面と一緒に潰れて消えた。
親父が夢見た美味しい鯛焼きも、家族二人で笑って生きていく未来も、世知辛い悲しさに飲み込まれていくのなら、そういうロクでもなさを押し付ける側に…ヤクザになって生き延びるしかない。
そう思っているはずなのに、中尾がやってるのはショボいショッカー強盗であり、親分どもが麻薬だの札束だの流通させる、シリアスで大人な犯罪経済ではない。
東島たちが本気のライダーごっこで描いていた社会との不適合が、中尾においては「使い道のない、盲腸みたいなヤクザ」へ繋がっている。
世間の裏側にすら、馴染めない煤けた異物。
そういう男が再び魂を燃やし、ライダーに憧れた子どもに戻り父に再開するためには、死と再生、ショッカーへの改造を経る必要があったのかもしれない。
組の崩壊という社会的な死ひっくるめて、死んで終わることで父と引き裂かれた傷が癒えぬままオッサンになってしまった中尾に、今必要なイニシエーションを蜘蛛男さんは手渡したわけだ。
公園でのワナビ軍団との死闘もそうだが、フツーに話転がってったら常識知らずの負け犬にしかならねぇヤバ人間どもが、生き生き己の物語を生きるための爆薬みてぇな仕事しとるな、あの怪人。
現実化したフィクションには、やっぱそういう起爆性があるのだろう。
死に瀕して己の原典を思い出し、組と自分をぶっ壊して再生してもらった中尾は、親分よりも優先して守ってしまった舎弟に引っ張られる形で、たった四人のヤクザを続けることになる。
それはチャカ持ち出して命を奪い、難癖つけて他人の夢を蹴り飛ばす”悪”を、かつて憧れた夢を蘇らせて倒す未来へと繋がっていく。
生来燃え盛る志を持ちつつ、夢が自分を救ってくれなかった結果”悪”になってしまった男は、死んで蘇ってようやく、帰るべき場所へと戻ってこれたのだ。
…やっぱ東島たちのトンチキワイワイコスプレ騒動より、起点と決着が鮮明で真剣味もあって、話としてのまとまりが良くない!!?
それはまぁ、まだまだ語るべき物語が、ライダーサイドには全然残っている…という話でもあるんだろうけど。
このまま正義のショッカーヤクザとして”悪”を制裁していくのか、また一揺れあって中尾の人生もネジ曲がっていくのか、全然先が読めないのが面白い。
かなりいい感じにまとまったので、個性強すぎライダー軍団の話を進めていく時に、別角度から切り込んでいく足場にもなってくれると思う。
相矛盾する正義と悪が、黒い装束の中で同居している中尾の存在は、クソボケ共の正義妄想を磨き上げていく時に、かなりいい仕事してくれそうなんだよなぁ…。
そういう意味でも、今後のショッカーヤクザ再登場に期待だ。
んで本物の怪人には遠く及ばないことを思い知らされた逸般人どもは、どうやら古式に則って特訓とかするらしい。
銃弾ぶちかまされようが死なないインチキっぷりを、今回も披露していた蜘蛛男さんに対し、常軌を逸した特訓どんだけやったら追いつけるのか…。
フィクションとリアルがせめぎ合うメタ英雄譚の顔も持つこの話の、リアリティラインを改めて問う展開にはなりそうだ。
暑苦しく騒々しい展開の中で、ガッツリ人も死んでいるわけで、そこら辺の洒落になんなさと、人生全部シャレにしちゃってる連中のバランスをどう取っていくのか。
そこら辺も次回特訓編で見えてきそうで、とても楽しみです!