楽しかった夏休みも終わり…魔法小学生はこっからが本番!
姉を知らず向こうに回した、壮絶な認識書き換えバトル…その果てにエモく揺らぐ夏景色を描く、ルルットリリィ第8話である。




あのですねぇ…ホントーに凄いよ、このアニメと野々山風ッ!
クラスメイトに比べて幼く成長に取り残されているところがあって、それがお姉ちゃんを飲み込んだ薄暗さを共有できない足かせになってるのは分かっていたが、こんなにやりたい放題ベイビーちゃんだったとは…。
結果として秩序の使徒・野々山流によって魔法綱引きは平穏に終わったが、スナック感覚で中規模認識変換くらいはブッパだ!
前回の魔界児童にも負けず劣らず、人間が定めたルールなんぞ堂々書き換え願いを引き寄せるやりたい放題にやや気圧されているが、そこら辺取り締まれそうなミーティさんは一切気にした様子もなく、地球観光を満喫。
身近に釘させる立ち位置なうぐあずは見た目相応の魔法ネコチャンだし、唯一対等な力を持ったお姉ちゃんは相手の正体知らないし、しばらくは幼き暴君が思いつきで、世界のあり方を書き換えまくる日々が続くのであろう…。
齟齬や矛盾点もオートで修正され、強靭な弾力を保って風ちゃんの日常は保たれていくようだけども、正気を捨てきれない面白くもねぇ大人視点だと、かなりヒヤヒヤするな…。
とはいえペナルティもルールもなしで、かなり強力な力をぶん回せる野放図感はこのアニメ独特でもあり、お姉ちゃんの生真面目な秩序志向と相まって、なかなか面白い綱引きにはなっていた。
しばらくは妹が超やべー力を欲望のままぶっ放し、ゴリッゴリに日常書き換えてる元凶だと分かんないまま話も転がるんだと思うが、そのカラクリが判明したときに身内として肉親として、かつて憧れだった女としてどう出るのかは、大変楽しみだ。
つーか尊敬するお姉ちゃんのお叱りでもなきゃ、あのイノセントモンスターに首輪付けれる気は全然しないので、どっかのタイミングで全ての事情に気づき、”理”を諭してくれないと困る。
とか言ってんだけども、風ちゃんが幼い感性をノーブレーキで暴走させ、大人から見りゃ浅はかな…しかし子どもとしては切実な願望をばんっばんぶっ放しているのは、元気で愉快で痛快でもある。
最終的には名曲”Calling”流せば大体エモで押し流せる感じもあり、後半戦は麦わら白ワンピで武装したフルアーマーリリィが超エモな夏を駆け抜けていく力押しも効いていて、一瞬「なんか叙情的でいい話だったかも…」と錯覚する空気感は、いい塩梅に作れていた。
冷たいリアルが追いついてくるまでは、常識で判断するためのネジを二三個外して、風ちゃんの魔法大暴れを一緒に楽しむくらいの心持ちのほうが、作品との歩調は合わせやすいか
風ちゃんがクラスメイトと比べてもちょっと幼く、無邪気に楽しいことだけ追いかけていきたい子なのは、第1話でも描写されていた。
そのノーブレーキな無邪気さが奇跡の出会いも生んだわけだが、その視界ではお姉ちゃんが見据え囚われているものは、どうしても見えない。
やらなきゃいけないこと・どうしようもないけど大事なものが世界に沢山ある事実を、病によって大人びさせられたお姉ちゃんはちゃんと見据えて、それを大事にしたい子だ。
…まぁ優等生って括りでまとめるには、いざって時の爆発力と、どっかぶっ飛んでる天然っぷりが飛び抜けてもいるんだが。
ここら辺、風ちゃんの姉ではある。
世界の形を都合よく書き換え、その結果普段とは別の不都合を引き寄せてしまう、魔法という大きすぎる力。
これが引き起こしてるヤバさと直面するには、現状風ちゃんの世界認識(自己認識であり、つまりはお姉ちゃんを筆頭とした他社認識でもある)は、狭くて真っ直ぐすぎる。
そういう危うさと純粋さが、あの子の個性であり良さなので、物わかりの良い正しさで矯正せず大暴れさせているのは、結構好きでもある。
ブン回される世界の方は大変だが、もう少し風ちゃんの長い夏休みに付き合ってあげて欲しい。
…いやでも今回あんだけ暴れて「テストを…もう一度消すッ!」にたどり着くの、生粋の”暴れ”過ぎて凄いよホント。
天性の傑物がナチュラルにぶっ放す威光にビビりつつも、翔ちゃんとの甘酸っぱい邂逅やら夏の終わり最後の夢やら、ちゃんとエモいところもあった。
それで風ちゃんの”暴れ”が無に帰すわけではないのだが、淡い慕情に体温上げてる翔ちゃんと、そういうの全然分かんねーまま構ってくれていい気分なリリィの対比が、風ちゃんという子がどういう世界で生きているのか、改めて教えてくれた感じがある。
世界改ざんに伴う軋みも認識できないガキンチョが、憧れの偶像眼の前にした中学生の甘酸っぱいときめき、察すること出来るわけ無いじゃんねぇ!!
魔法で作り上げた自分の外装が、どういう刺さり方するか分かってないの、無邪気な罪作りだぜ…。
風ちゃんのことは「忙しいから!」で流しつつ、リリィ相手にはめっちゃ親身にサポートする、翔ちゃん年相応の不公平。
眼の前五センチの欲望しか見えていないからこそ、ノーブレーキで元気に突っ走れている風ちゃんにとって、その対応の差を生み出すモノはお姉ちゃんの陰りと同じく、全然解んない謎だ。
今回できた縁を膨らませて、リリィとして甘酸っぱい恋物語なども展開していくのなら、そこが足場になってちょっとずつ風ちゃんの世界が広がる物語にも、なかなか期待が膨らむ。
いやまぁ天下のこんぺとリリィ、ごくごく普通の中学生男子が向き合える”器”ではないことは、今回ガッチリ示されたけどさ…。
俺は風ちゃんが世界の難しさも甘酸っぱい恋もぜーんぜん分かんない、ただひたすらにお姉ちゃんとの楽しかった思い出を追いかけてるガキな所が、本当に好きで。
散々世界を引っ掻き回した挙句、夏休み最後のやり残しとしてお姉ちゃんと一緒に歌った思い出の曲と、二人で食べて美味しかったアイスにたどり着くの、あの子の魂の真ん中に何があるのか、鮮明に描いたなと思う。
ホンマに純粋にお姉ちゃんがひたすら好きな子で、だからこそ色々見落としたり追いつかなかったりもするけど、魔法がある日々はハチャメチャで楽しい。
そういう風ちゃんの世界がどんな色か、あの向日葵が教えてくれている。
あと翔ちゃんに罪深い刻印を刻んだ後、急に世界のエモ度が爆上がりして、麦わら帽子白ワンピの青春の幻影に相応しい、高度に純化された”夏”に飛び込んでいったのは面白かった。
このアニメ、お話のトーンが切り替わる曲線がかなり急で、いきなりホラーになったりエモくなったりする(のが面白い)んだけども、風ちゃんが心残りに気づいてからの加速は”らしく”てとても良かった。
魔法を扱う話なので、こんくらい急アクセルでガンガン踏み込んでいっても良いのかなぁ、と感じている。
それにしたって私服リリィ、中学生男子の一生を狂わせる真夏の幻影過ぎて本当に凄かったな…アレが無自覚なんだから本当に凄い。
つーわけで、振り返るとなんだか色々起こっていた、真夏のロスタイムでした。
風ちゃんとお姉ちゃんの「魔法」に対する認識、それが及ぶ影響範囲(塔子たちに届いてない描写は、結構大事だったと思う)、リリィの恋への認識。
色んなモノが見えましたが、やはり野々山風という人間の”器”を肌で感じれたのが、一番の収穫でしょうか…あの子、こっちが考えてたより全然スゲーってマジ!
ニュータウンの少し寂れた風景とかも地味に良かったですが、さてこっから神の如き力を得たわんぱく☆ガールがどう暴れていくのか。
かーなり思いもしてなかった方向に元気なアニメで嬉しく、次回も大変楽しみです!