山本賢治、メディアファクトリー。学園学園ラブコメラブコメナオンナオン、なコミックアライブの中で、いろいろと異彩を放つヤマケン先生のロボット漫画。コーヒーの中に醤油というか、自販機から灯油というか。目ん玉ぐるぐるした正義の味方と、ろくでもない人殺しが骨肉相食み血飛び散り内蔵はみ出す大立ち回り、つうお話。
ヤマケン先生は漫画が巧いので、お話の運びは非常に巧い。のですが根本的な味付けがノースウィート、ビタービターモアビターといった感じであり、主人公は正義の味方でもなんでもなく、死ぬ人に罪はなく、殺される人にはもっと罪はありません。救いもありません。特に3話からの独自のドライブ間の加速は異常で、好きな人はとんでもなく高速になれます。だめな人は振り落とされておしまいです。
モツ作家モツ作家といわれているヤマケン先生ですが、自分は結構真っ向な漫画家なのだと思います。興味本位でこんなに人がろくでもなくたくさん死んで、そのくせ味の苦さったらありゃしない漫画は描けんと思うわけです。まぁ初期設定ラフスケッチのとてつもない下らなさにヤマケン先生のもう一枚の真実が見えますが、そのキューブリック的な苦さと笑いのごた混ぜもまた、ヤマケン先生の味だと思うわけです。
あとはまぁ、ロボット大好きヤマケン先生、ガイスターバーン(通称ガバーン)のデザインはかっこいいですね。主人公が、ヤマケン作品で絶対にデッドエンド直行の行為をやったので、この作品が奈落に落ちることも見えた一巻目。雑誌の空気を徹底的に読んだ上で逆行する、三巻出ればいいなぁというこの作品、きっちりたたむ構えを見せているところがヤマケン先生の漫画の巧さだとも思いました。