イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/06/10

・ ハチャプリ

いおなちゃん強化月間ということで、中山さんを招いてサッカーしつつキャラクター掘り下げ。
ヒメ以外には人当たり良く素直ないい子だけに、ヒメへのキツさがよく目立つ。
いやー、あの徹底した無視といざぶつかるときの刺々しさ、生々しいですわ。
こうして思い返してみると、ゆりさんはスパルタンながら、誰も恨まない出来た人物だったなぁ……出来過ぎていたとも言えるが。。

なんでそんなことしとん? という疑問はヒメの事情を開示してくれんと、いまいち見えない部分。
なので、そこら辺のネタばらしは次回に持ち越しか。
今回アバンのカラテやサッカーシーンの要所要所が良かった分、来週は凄そうだな良くない意味で……東映、今期シリーズ回し過ぎやねん。

 

・ シドニアの騎士
のりおが操縦士辞めて仕事も順調、女の子たち(一名性別未定)にもモテモテで、長道のモテライフも前回絶好調!!
と思わせておいて、エナ白の危険な視線と、虎視眈々とシドニアを狙う紅天雀のカットで終わった。
冷たい展開の後は温かい話を、ヌルいストーリーを進めたらシャープなエンディングを。
ココらへんの緩急が巧いアニメだというのがよく分かる、ピリッとした回でした。

落合の人格移転とか、実験動物エナ白とか、シドニアが倫理の極北であることを思い出させる描写が多めだったのは、なかなか良かった。
白痴美溢れるエナ白・ザ・谷崎歓喜との交流(?)とか、健気にグイグイ来てくれるユハタ&イザナとか、温かい日常描写の切れ味があるからこそ、そればっかじゃねぇぞと腹パン入れてくるタイミングは大事。
今回は両方切れ味が良く、操縦士長道の出世街道をいい塩梅にかっ飛ばしたのも相まって、小気味良い流れだったなぁ。

いわゆるタメ回に当たるわけですが、今回くらい押し引きがはっきりしていると、お話のかくがぼんやりせず、楽しく待てますね。
さて、意味深なヒキで終わった今回ですが、そろそろ長道の人生に砂が巻かれるタイミングか……。
エナ白かわいいけど、どうせ酷い目に合うのであんま好きに並んでおこう……。(創作護身術開眼)

 

・ 悪魔のリドル
回転寿司のごとく、各キャラのメイン&退場回がグルグル回り、〆はお歌を歌って終わりというリドル構造。
その最後をキメるのは、いかにも社会戦しそうな外見した英お嬢様。
……無論、そういう僕らの期待や想像を斜め上にかっ飛んでいくのが悪魔のリドルでしたが!!

傀儡の食卓から始まって、片腕マシンお嬢、折角脱獄したのにワンパンされる武智くん、前回覚醒っぽいしたことを完全忘却して気絶する兎角さん、「100%中の100%」と言いたげなハイレグ脱衣、漆黒の殺意を全開にして最適効率で殺しに行く女王蜂などなど、手加減一切なしの濃厚なリドル粒子。
お前……なんでサイボーグやねん……コンテ林宏樹(エルハザード、BPSの監督)だし……。
いい作画で展開されるパワーバトルはなかなかグッドでしたが、「え、注力すんのそこなの? おハルの過去とかもうちょい突っつかないの?」と思わざるをえない。
つーかやっぱサイボーグはちょっと……オモシロすぎる……。

まぁ兎角のお話としては「ハルを守る」決意をした時点でかなり要素を使っていて、前回「過去を受け入れる」要素も使ったので、ぶっちゃけ仕事が無い状態ではありましたけどね。
それにしたって、他人を操って自分を守らせる能力者が、「RPGで限界まで追い詰められた瞬間ロールプレイをピタリと止め、ルールブックを高速で捲りながら呪文を唱えて最適行動で生き残りに行く」みたいなムーブするのは、さすがのリドルだ。
ゲーマーとしては、メイン盾が二回ファンブルして序盤で気絶した瞬間の真顔とか、共感できるシーンが多かった。
"洋ゲー二大奇っ怪なダメージ量が出る行動"である、"コーン状に広がる爆発を反射させて複数回ヒット"と"高所からの落下"、両方使ってたしな。

絶大なインパクトを残して退場した英お嬢の後を引き継ぐのは、可愛い可愛い鳰ちゃん。
奇っ怪な呪術紋といい、彼女が西のクズノハ代表なのかねぇ。
今回お嬢が情け容赦なく退場したので、ますます話の落とし所がわからなくなったぜ。
どんな状況でも気の抜けないアニメ、それが悪魔のリドル

 

・ Selector
話全体からいうと大反攻のためのタメ回。
なのだが、切なさの描写とサスペンスの演出が相変わらずうまく、緊張感が途切れることなく続くいい回。
群像劇の中で巨大な軸になっている「るぅ子の望み」を掘り下げる回でもあり、ルリグ制度への疑問点を説明する回でもあり、こういうふうに24分に複数の機能を盛り込めるアニメは、やっぱしっかりしていると思う。

ルリグ遊月は早々に"正しい"選択をしてリスクを背負ったわけだが、これが報われる日は来るのか。
正直者が馬鹿を見る悪魔の詐欺システムを描写しているので、結果的には倫理的なオチを付けるとは思っているのだが、親の総取りエンドだとあそこで人生棒に振って友人を助ける選択をした遊月が報われなさすぎるだろ……。
この「痛いほど真っ直ぐな願い」つーのはそれこそ物理的に一衣を苛んでいて、反動描写がすげー痛そうなのも相まって、「あんなに痛そうなのに、それでも初期衝動に従う」という一貫性を生んでいる。
青春期の話なので、「痛みを伴う願い」を書いているという意味ではピンポンとか(ていうか、全てのジュブナイル)と同じなんだが、代償と痛みがえげつなさすぎるのがこのアニメの強み、か。

無論ただただ酷いだけなら「ヒドいなぁ」で終わりなわけで、酷い目にあってる子に共感し、一番起きて欲しくないことを起こすからこそ、視聴者の心に波風が立つ。
そういう意味では花代・ジ・アンフォーギヴェンのインモラル描写(そしてその「別にやりたくてやってるわけじゃないけどなぁ」描写)もよく機能していて、「ウッヒョー美少女の近親相姦描写だヒャッハー!!」となるのに十分なセットなのに、痛々しくて醜くて、とても見ていられないシーンになっていた。
そういう生理的嫌悪をしっかり取り込んで、見せたいものを画面に写せている演出力の軸が、このアニメ一番の強さだろうか。

「願いがない」「対価に似合うだけの、強烈な夢がない」という空白、このアニメでのるぅ子の存在特性であり、その空白が埋まることでドラマが完成する以上、空白の周辺―つまり願いの結果、真剣さ、痛みなどなど―を描くことはとても重要。
選択し決断し前進(もしくは後退)しているようにみえる他のセレクターにくらべ、流されているだけのように見えて、るぅ子は思春期らしい足取りで人生に迷いつつ、世界の(そして自分たちの)真実に近づきつつある。
地固めをしっかりすればするほど、最後の選択と決断は大きなカタルシスを伴うと思うので、そこら辺の期待値が更にパンパンになる回であった。
その膨らんだ期待の風船を、イオナさんがどういうふうにぶち割る(もしくはさらに膨らませる。それを同時にこなせるのがこのアニメ)のか。
いやー、ほんと良く出来てるアニメだねこれ。