500年の因縁を込めた新宿血戦、遂に決着!
対等にバチバチやり合ういい感じの”互角の勝負(タメバトル)”は前回たっぷりたべただろ! とばかりに、先行必敗ないい気になりバトルを存分に暴れさせ、社長必然の結末へと一気に突き進む、魔王2099第7話である。
大変良かった。
「こうあってくれ…」と願っていた描写が全部やって来て、やっぱりFEARゲーダダ浸りな俺の脊髄にドンピシャでハマる気持ちよさを裏切らない、最高のアニメだと思いました。
やっぱヘイトアーツぶん回すクソ悪役は、最悪無様ぶっこいて思い上がりの頂点から叩き落されて死ぬべきなので、社長はその生き場死に場、全てがまばゆく輝く最高のクズでした!!
というわけでクソダサ魚の骨ブレード抜剣から俺達のテンションは最高潮、連続爆破で超悦に入った後、自分が積み上げてきたものを全部逆手に取られて逆転キメられ、クソダサ第二形態に思う存分獣神されての絶望フェイズで、社長が薪になるまでのエピソードである。
ここで幾重にもブラッシュアップを重ね、最新鋭のトレンドを掴み取った超洗練スタイリッシュ投げ込まれても”違う”わけで、魔王ブレードと本気魔王様ドラゴン形態への「クソダサ」は、心の底からの褒め言葉であります。
キメきらないからこそ、ズバッとハマるモノが世の中確かにあるのだ。
ひっくり返されること前提で超絶調子に乗りまくる社長のケヒャヒャーっぷりも本当に凄くて、ていうか概念としての「ケヒャー悪役」が世にありふれていたとしても、マジのマジで音に出して「ケヒャヒャー! 私こそが本当の魔王になるのだ!」とか、リアルにほざいてくれる希少種、めったにいないわけで。
ここら辺のベタ足を徹底的にやり切るのは、このアニメのとても良いところだと思う。
下手に正気になって、サイバーパンクファンタジーの美味しいトコロをベタベタに踏襲しまくり真っ直ぐ進む道がブレたら、こんなにカッコ悪いこともない。
かつて好きだったものが今も輝いているのだと、マジで信じ切る狂気こそが熱を生むのだ。
社長の悪行も最悪も、今回突き崩されるために積み上げたバベルの塔なわけで、砂上の楼閣が高く伸びるほどに、それがへし折られた時のカタルシスは大きいだろうと、見ながら期待する。
これに応えるべくどんだけ好き勝手絶頂にリベンジキメれるかが、魔王様の腕の見せ所…なわけだが、通常形態での一個負けをしっかり踏まえて、最期のいい気なりフェイズを今後の焚き火に積み上げた後、高橋のナイスアシストを受け取っての最強形態超蹂躙!
完璧でした。
魔王の魔王らしいトコロを散々暴れさせた後に、なんか毒色だった炉も綺麗な感じになり、ヒロインとの絆確かめてしっかりまとめ上げる所含めて、パーフェクトでしたよ魔王様…。
魔王様は500年死んでた、時代遅れのエンシェントであることに、キャラ立ての大きな部分を預けている。
マルキュスが作り上げたサイバーパンク世界、ファミリアに代表される魔導技術から遠い位置にありつつ、サバケた理解力で素早く適応し、自分なりのスタイルで”現代”を使いこなす所に、彼の面白さはあると思う。
ここら辺をライトに小気味よく描いた配信者描写を、逆転の鍵に使う(そのためのアシストを高橋に任せ、程よい見せ場を作る)のも良かったが、マルキュスの権威と悪行の象徴たる不死炉を、エーテル供給源に使っての本気モード開放も、とても彼らしい現代制圧だった。
マルキュスは魔王様が死んでる間に、シコシコ陰謀を企み現場に赴き、世界の形を変えて力を蓄えた。
ファミリア、魔力炉、新宿という街…今回の最終決戦は、彼を今の彼たらしめる全部をしっかり逆手に取って、自業自得の決着を悪党に叩きつける気持ちよさがある。
それは同時に、クレバーな魔王が500年のギャップを埋めて現代を乗りこなした証明にもなるし、負けるはずがない定命に敗れた経験から、勇者の強さを自分に取り込んで買ったという、変化の証にもなる。
恩讐と自己顕示欲に500年間呪われ、世界全部を書き換えてまで”魔王”になりたかったマルキュスは、時代の最先端を行っているようで過去に囚われていた。
対して魔王様は配信はやる魔導技術は盗んで活かす、時代の変化にしっかり適合し、悪辣なる魔王イズムを維持したまま、自分にとって何が大事なのかという根幹を、敗北を通じてしっかり書き換えている。
結果魔導科学ではたどり着けないと思われていた、無詠唱術式を完成させられて、社長は薪にされていく。
今回の最終決戦は、時代の先導者のようでいて何も変われなかった不死者と、古風な時代遅れに見えて一番大事なものを書き換えられた蘇生者の戦いだったのだろう。
社長のケヒャヒャーとざまぁでグツグツ温度上げつつ、こういうテーマ性をしっかりラストバトルに盛り込んで、時代遅れの蘇生者が自分なりの”現在”を見つけるまでの、芯のあるドラマをしっかりやりきってるのは偉いなと思う。
むせ返るようなノスタルジーとドライブ感が猛烈に脳に効く作品ではあるのだが、その素材として選んだ魔王勇者ファンタジーだとか、サイバーパンクだとか、ジャンルの背骨になにがあるのかを、しっかり見据えた上で気持ちいいことしてくれてるのが、やっぱ凄いね。
表層だけなぞったファッションに終わらず、サイバーパンクの源流たるハードボイルドの核となる「あまりに早く流れる都市の時間と、それに取り残されつつしがみつく時代遅れな生きざま」を、ポップながらしっかりと令和に適合させて描ききったのは、実に見事でした。
やっぱね、サイバーパンクは浪花節ですよ…。
というわけでラストカットは、魔王愛を知る! でフィニッシュ!!
完璧だ…マジで。
マキナは日常シーンでのほっこりポンコツ加減、魔王様を愛し抜く健気さ、攫われピンチで場を盛り上げるヒロイン力と、全てにおいてパワーがあったので、こういう場所で大事な仕事を任されても、キッチリやりきってくれるね…。
こういうヒロインがいるからこそ、どっかトボけた感じがある魔王様の感情がどういう色で温度か、見てるこっちにもしっかり伝わる。
つーか今後いくらでも広げられそうなヒロインレース要素、大胆に切り飛ばして勝つべきキャラに勝たせたの、潔くて好きなチョイスだ。
僕は第1話ラスト、惨めな四畳半でマキナの忠義にしっかり報いる魔王様のお姿に魅せられて、このアニメが好きになった。
だからそのリフレインを響かせつつ、忠義から愛へと自分の中の感情が変化した事実に、率直に向き合って抱きしめるべき相手を力強く抱きしめたこの終わり、大変良かったです。
変化していく時代と同じくらい、目の前にいる人間が突きつけてくる感情の波も率直に受け止められる魔王様が、なんで悪逆非道の圧制者やれてたか…って話にもなるが、やっぱ勇者に負けたことが決定的な理由なんだろうなぁ。
こういう形で、ライバルキャラの株を上げてるところとかも好きだよ。
勇者だけが知っている切り札の伏線も、「生涯一度きりの第二形態を目撃したのが、魔王殺しを果たした彼だけだから」つう形で回収してて、大変良かった。
サラッと地獄魔導アーマー軍団を撃退し、守るべき相手を守り切る週者イズムを貫いた姿を描写もしてて、絶頂から奈落へといい高低差で突き落とされた社長含めて、出てきたキャラ全員が最高の仕事を果たした、最高のアニメだったと思います。
いやー…面白かったな!
そんな最高の新宿編が終わり、次回からは電脳魔都秋葉原が舞台!
まさかまさかの魔王様学園編開始らしく、大変ワクワクしております。
社長が断末魔に貼ってた、世界レベルの伏線回収なんかにも期待しつつ、次回を楽しく待つ!!
いやー…マジ面白いこのアニメッ!