イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/07/11

 

・ ろこどる
アイドルアニメ地獄となった14年7月期アニメの中で、競争原理の外側で悠然と歩むタイプのアイドルアニメ、その二話。
ローカルなお仕事を地道にやって、完璧超人なお姉さまの残念なところを見せて、二人の距離感を丁寧に描写。
このアニメらしい、ゆったりとした時間の使い方でした。

……それにしちゃー、ゆかりさんのレズ力高すぎると思いますがね。
ゆにこ先生がニトロぶっ込んでるのか、原作からしてそうなのかは分かりませんが。
『初めて出来た友達が特殊な趣味だったら受け入れるだけで、私は別に同性愛者じゃない』ってのは、論理矛盾が過ぎると思います。

"ろこどる"の"ろこ"の部分、つまり片田舎のヌッるい描写と、"どる"の部分、つまり木っ端アイドルとして薄給でゆるゆると芸能活動しつづける描写、両方が程よく入っていて、テーマの扱いが巧いなと感じます。
大都会の大手事務所で光浴びてきらきら、毎日ステップアップ! というお話も僕は好きですが、地域密着で木っ端仕事を腐らず楽しみながらやるという、派手ではないが確かな幸せを丁寧に描写しているこのアニメ、アイドルアニメの可能性を感じられてとても好きです。
競争原理を排除したせいか、キャラの扱いも焦っていないしね。
田舎というほど田舎でもない、一地方都市のペーソスと相まって、かなりいい時間を作れていると思います。

適度にゆったりして、適度に人間関係が前進し、登場人物の適度な頑張りに適度な成果がついてくる。
全てが過剰ではなく、良いバランスで組み立てられているアニメだなぁ。
キャラクターも現実味がないほど善人ではなく、空気を壊すほど我執まみれなわけではないという、いいところに落ち着いていて。
二話にして相当な安定感を醸し出しており、「俺このアニメ好きだな……」などとしみじみ思うのでした。

 

・ アイカツ
販促の荒波の合間に、ほっと一息つける小島のような個別回、二回目はあおい姐さん。
アイカツ社会見学(今までの訪問場所はツイッターやらアクションクラブやら)との合わせ技で、今回はPV制作でした。
アイカツ社会見学の類にもれず、取材を徹底的に行い、説明も丁寧なお話でしたね。
ももクロのPV監督である河谷英夫さんに取材したらしくて、そういう部分ホント怠けないアニメだなと。

今回はアイカツらしいぶっ飛んだアレンジやキャラの絡みは控えめで、徹底して『PVのメイキングを、アニメでやってみました』という作り。
事前準備から現場入り、実際に出来上がったPVまで、「現実の制作現場をたっぷり取材したんだろうなぁ」と思わせる懇切丁寧な展開でした。
大人に混じって、企画段階からバンバン意見を出し、実際のアクティングも現場での修正もしっかりやる。
あおい姐さんのスーパーアイドルっぷりが、巧く描写された回だったと思います。

アイカツ社会見学回は、毎回しっかり取材した成果を、キャラクターのドラマに無理なく落としこんで見せてくれるので、なんというか"実り"見たいのを感じられて好きです。
今回で言えばPV撮影の手順もそうだけど、スタッフあってのアイドルという部分を、キグルミサプライズという楽しい事件でで好意的に描写できていて、"製作者の言いたいこと"と"視聴者の見たいもの"を巧いことすりあわせているな、と。
こういう語り口の滑らかさ、志の高さが、女児にも女児アニおじさんにも人気の理由かなぁ。

キャラの絡み少なめと言いつつ、いちごちゃんのきぐるみ大作戦だとか、ジョニーとのマンツーマンレッスンWith美しき刃だとか、友達の支えで困難を乗り越えていくアイカツスタイルは健在。
ああいうサプライズを計画してくれる、人間力の高い友達いるのは、ホント素晴らしいと思いますね。
ただ青いウサギのキグルミ、あおい姐さんが着てたやつなんだよなぁ……いちごちゃんが着てたのは、ピンクのパンダ。
あの子、奥さんにしか気づかれない方法でラブラブサイン出すの好きすぎ&巧すぎだと思います。

あおい姐さん&スタッフの努力の成果は、ワイヤーフレームレトロフューチャーなスタジオ、三種類の衣装を高速でスウィッチする映像作りで、本格的に"PVっぽい"仕上がりにまとめた素晴らしい仕上がり。
ステージングという制約から外れ、別角度からCGキャラクターを使いこなす意欲的な演出が、新鮮かつ興奮、感心。
こういう冒険が出来るのも、メイン回から外れたお話の魅力ですね。
……そういや今回、ドリアカ出てねぇな。

丁寧な取材となめらかな語り口、あおい姐さんの魅力が随所に見られる構成と、非常に良い仕上がりのお話でした。
アイカツは個別回の仕上がりが毎回凄いので、キャラクターの魅力が上がり、愛着が湧き、思い入れを持ってキャラクターを見るようになるという良い循環があるように思えます。
そして来週はゲーム連動のアイカツ8回……一体どうなってしまうんだ……(主に美月さん)。

 

・ 幕末ROCK
雷舞小屋”池田屋”(ライブハウス”イケダヤ”)に"維新志士"(ロックンローラー)襲来!
愛奪集団(アイドルグループ)"新選組"との雷舞闘争(ライブバトル)にて、鮮烈なるデビュー!!
そんな感じの、ライバル紹介回でした。
文字に起こすとホント頭弱いな、このアニメのジャーゴン
素晴らしい。

幕末サーフェスを引剥がしてみると、仕事としてヌルい音楽垂れ流しているトップアイドルどもに、アツく燃えるロックキッズたちが殴り込みをかけ、観客もアイドルたちもアツくさせるバンドバトルを行った、というオーソドックスなロック話でした。
やっぱロッカー少年は舞台ジャックして、反発を歌一本で味方に変え、敵から「良いステージだった……」って言われないとな!!
キチガイサーフェスを貼り付けておいて、話のほうは堅牢に勧めるのが僕は好き。

元メンバー現プロデューサーという、EXILEのHIROさんみたいな立場の近藤勇の、老練な動きも好き。
「頂点取ってヌルくなっちゃったグループに風を通すために、あえて外敵を引っ張り込む」という立ち回りには、アイドルグループ新選組とそのステージに対する、冷たい炎が垣間見えた。
ああいう風に場をまとめてくれるキャラクターがいると、見てて安心できますね。


新選組のステージがちゃんとヌルく描写されていたのはなかなか良くて、ボコーダーかかった最初の曲とか、マジ聞いてらんない。
そこからガッとアガる演出を入れて、主人公たちの正当性に説得力つけていたのは、なかなか良い流れだったんじゃないでしょうか。
寒色一本だったサイリウムが、ステージの盛り上がりに従って赤混じりになって行くのは、視覚的にも盛り上がる演出だった。

キャラ紹介も手際よくやっていて、ファンを大事にしてない沖田とか、組織のことしか考えてない土方とか、元ネタ拾いつつステージものとして必要なキャラにしている印象。
龍馬が乱入した後、即座にステージにまとめちゃう所とか、なんだかんだ熱くなってライムバトルしちゃう所とか、プロっぽさもあっていいなぁ。
ぶっちゃけお歌はきーやんがパワーあり過ぎなので、ライバルとしての説得力が出るいい曲が、新選組にも欲しいやね。
個人的には「ロックンロールサイッコー! アイドルソングとかゴミだよな!!」とならず、今回龍馬たちが見せたアツさをアイドルジャンルに取り入れ、新しい形で漕ぎだす形に決着してほしいなぁ。

キャラ紹介といえば、バンド内ライバルである青担当・高杉晋作くん(B)の回でもありまして。
技巧派故のハートのなさを気にしていたベーシストが、主人公の暴走で理屈を超えたパッションを手に入れる展開、とまとめてみるとこれもロックものの定番。
これも個人的には、技巧派という個性を捨てずに、パッション一本押しの龍馬に技術という武器を与える展開が見たいぜ。

今週も唐突に全裸になってたし、開国してないのに(B)(D)(G)というパート表記がしてあるし、フックになる馬鹿っぽさは今週もフル回転。
アホさをニトロにしてでた速度を、徹底的にオーソドックスでアツい展開で安定させる、いい回でした。
来週はバックステージをテーマにするみたいですが、此処を愛情持って描けているかどうかで、作品全体の仕上がりも見えてきそうだな。
楽しみに待とうと思います。

 

 


・ ハナヤマタ
湘南でガールがガールとよさこいにミーツ!! というわけで、変則部活モノっぽく走りだした第一話でした。
話の牽引役であり、異世界への門でもあるハナのインパクトが凄くて、「て……天狗じゃ!! 金髪の女天狗が宵闇を疾走しとるんじゃ!!!」という感じだった。
あと色彩と演出が独特で、”少年ハリウッド”とはまた別の形でクセの強い画面だなぁと思いました。

話の構造的には一般的な青春モノであり、「何のとりえもない主人公が、運命と出会うことでその青春を輝かせていく」という話……なんだと思う。
今後よさこいレンジャーに加入しそうなメンバーもチラホラ写ってましたが、まずは主人公&ヒロインの描写を深めていくところから開始。
運命と出会う話なので、桜吹雪は過剰に舞い散り、花火がドドーンと上がり、女天狗は人類を超越したジャンプを見せる。
ココらへんの「心情的・物語的盛り上がりを、過剰にゴージャスな画面を脈絡なく挿入することで演出する」つー手法は大林宣彦的だと思った。
認識で世界が変わるというのは神話的世界でありまして、それを引き起こす中心軸たるポジティブお化けハナはまさに、英雄的存在というにふさわしいキャラクターなのでしょう(迷いのない暴論)

そんなド派手な英雄的世界を受け取る主人公は、ネガネガウジウジ系自称特にとりえないガール。
話の基軸たるよさこいがまだ始まっていないので、本当になんのとりえもないのかは判んない。
彼女が鳴子を手にしよさこい衣装に身を包んだ瞬間、海は割れ天は叫び地は鳴動、龍が降臨し鳳凰が翔ぶ。
そんな才能が眠ってるかも……ねぇな、結構地道に競技として、よさこい扱うっぽいし。
そういう神話的事象は、やっぱハナが担当するんだろう。

この後チラホラ画面に写っってたキャラクターを一人ひとり、”七人の侍”よろしくよさこいレンジャーに引き入れていく展開になると期待しておる。
となると、今回みたいに人格のめんどくさ~い部分をハナが風穴開けていく展開になると思うわけです。
そういう時に、今回のピカピカしてヴィヴィッドで、ドハデで神話的な演出は「んー……花火上がっちゃったんならしょうがねぇな。人生変えなきゃな」と強引に思えるパワーを宿していて、グダグダ面倒くさい青春を正面突破していくお話との相性は、なかなか良いと思います。
無論、これは映像のパワー一本勝負になるわけで、画面のフレッシュさやリッチさが消えた瞬間、うわっ滑りする両刃の剣でもあります。

まぁ、これはあくまで予測であって、今後今回見せた英雄的演出は減るかもしれないし、そもそもあんま青春のモヤモヤとは戦わず、ゆるーくよさこいするのかもしれませんが。
でも、一話を見た時点では、結構真っ直ぐな青春物語の気配と、それを独特の演出哲学で魅せようという気概を感じました。
さて、二話以降どう変わるのか、はたまた変わらないのか。
楽しみですね。