異世界失格 第3話を見る。
前回『こんくらいの温度感と強度で、この話やってきますんでヨロシク!』という例示を、見事にやり遂げたこのアニメ。
今回は新キャラ続々、世界観がグッと広がるエピソードとなった。
転移者絶対殺すガールとか魔王を殺した転移者とか、『アイツラ全員クズ!』とアネットの親友が吠えた瞬間降ってくるクズ転移者とか、今後芽を出しそうなネタがいっぱい顔見世してたなぁ…。
4つの神殿巡りという、話の大きな枠組みが提示されたのもデカいか。
無能力転移者であるセンセーが、何をもって主役を張るかも見えてきて、今後の広げ方が楽しみになる話数であった。
というわけで最初は、主人公PTを鎧袖一触壊滅させる実力者との邂逅。
ステータス比べやってたら絶対勝てない相手を、川端康成に3mの手紙送りつけた”実績”で気圧して、ギリギリピンチを乗り越えるのであった。
チートなし、戦闘能力なしのセンセーはあらゆる局面を覚悟と破天荒があいまった文豪力で乗り切る形になり、『根性入ってるやつが、誰より強い』という古き善きヤンキー漫画文法で窮地を乗り越えていくのが良く解った。
なによりかにより”凄み”が大事という、JOJOめいた文法で引っ掻き回してくるキャラなんだなぁ。
ここら辺、単純な強さ比べから話の軸をズラしてて、大変面白い。
太宰転生というネタに支えられたこのお話、ひ弱で勝手で破滅主義のクソ文豪のキャラ性を変えぬまま、異世界モノのお約束を乗りこなしていく結構な難題を、最初から背負っている。
『太宰が太宰らしくしていると、何故か状況が好転している』という、イカレ度合いの高い話運びをやんなきゃいけないわけだが、イカレエピソードには事欠かない大文豪、いい具合に”凄み”見せつけて危機を乗り越えていて、大変良かった。
身を焼く殺意を、出会ったばかりの仇敵に理解られてしまったウォーデリアちゃんは気の毒だが、太宰に行きあった不運を恨むがいい…。
数字に頼らず勝つセンセーの凄みを際立たせるためには、数字で可視化されたフツーの強さをお供の二人がちゃんと見せなきゃいけないわけだが、良い負けっぷりでそこら辺、なかなか頑張ってくれた。
『あー、他の女たちもこんなふうに絡め取られていったんだろうなぁ…』という、イヤな納得のある塩梅でセンセーに夢中になっていくアネットの狂いっぷりと、タマのいい奴常識人っぷりの対比も良い。
初期PTのキャラが程よく立っていて、いい具合に色分けできているのは、安定感あって良いよな。
アネットのベタ惚れにも、一応そうなるべき理由はあるし納得はできる。
まぁ確実に狂い過ぎなんだが、相手が太宰だからな…。
話の大ネタだろう魔王討伐とか、絶大すぎる力を持つその後継者とか、姿を見せない最強の転移者とか、ウォーデリアとの邂逅は今後話しを膨らませそうな要素が、沢山あって面白かった。
勇者 VS 魔王という定番構図より、転移者 VS 転移者でやってくんかなー、という感じはあるが、太宰という強烈な個性を面白く際立たせるためにも、異世界設定はしっかりしていたほうが面白くなりそうなので、チート野郎どもに負けず土着の魔物さん達にも、根性見せて欲しいところだ。
ここら辺は街での騒動を片付けた後、再開後に広がっていくネタだと思うので、二回目の遭遇が楽しみである。
んで街に付いたらアネットの昔馴染みがガーガー言ってきたり、道具屋の親父の前で毒薬飲み干して”凄み”見せたり、危惧してた通りのクズ転移者がクズ撒き散らしながらいい気になったりした。
センセーの異質性を際立たせるべく、さんざん『世の転移者は全部クズなのよ!』という言葉が飛び出した瞬間、即絵に書いたようなクズが飛び出してきたの、スピード感ある回収で良かったな…。
センセーはそんじょそこらを探しても生えてない、生粋のクズなわけで、他人をチートでいいようにして悦に入ってるようなスケールの小さなクズを、どう”凄み”で圧倒するのか、大変楽しみである。
クズ力で相手を凌駕する、ドクズバトルが始まるッ!
『烏は全て黒い』という命題を否定するためには、白い烏が一羽いればいいわけで、クズはクズだけども転移する前からドクズであり、既存の常識ぶち壊す破戒者でもあった太宰は、転移者にまつわる常識をひっくり返す、破天荒な例外である。
狼引き連れて王様ぶってるクズ相手に、センセーが”凄み”を見せつけることは、親友がクズに誑かされたんじゃないかと案じているイーシャの評価(≒作中の常識)を、上手くひっくり返しそうだなーと思う。
クズ転移者が支配系のチートでアネット縛りそうなヒキと、『彼女はカゴの中の鳥じゃない』と言い切ったセンセーの自由主義が、キッチリ対応してんのもいいよね。
いやまぁ太宰は自由恋愛の形を取りつつ、普通人ならブレーキかける崖っぷちまで一緒に転げ落ちていく、大変ヤバい関係性をかなり無責任にぶん回す、生粋の女たらし甘えんボーイなんだけども。
見てる側まで”凄み”で飲み込み、なんか大したことやっているようで頭冷やして見直してみると、好き勝手絶頂他人を便利に使い、自分の気持ちいいことしかしねぇクズでしかない。
ここら辺の落差も、心地よく洒落になる塩梅で語れている感じで、ぶっ飛んだネタに見えて土台が強いなぁ…と思う。
ぶっ飛んだ出落ちをそれで終わらせず、楽しいお話にまとめていくためには、かなりの物語的腕力がいる…という話か。
センセーの土俵である凄みバトルは、どんだけ相手の常識をぶち壊し思惑をぶっ飛ばすか、認識のフレームを巡る戦いになる。
そういう土俵だとあらゆるルールに縛られない、生粋のアウトローこそが強いわけで、『太宰を太宰のまま勝たせる』なら、ベストなルールなんだろうなぁ。
テンポ良くノリでやっているように見えて、描かれる描写全部に”理”がある作風、かなり好みで肌に合う。
オレ好きだなぁ…このアニメ。
優良種たる転移者様が、クソ土着を支配してやるぜ的な、面白くもなんともねぇ寝言をブッこくクソを相手に、センセーはどんな凄みを見せつけるのか。
つーかなんで街が燃えて、センセーは傑作の予感に震えているのか。
ヒキも大変いい感じで、次回が非常に楽しみです!