イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/08/26

・ アルドノア・ゼロ
比較的平穏に受け入れられた姫様、逆転の秘策を手に入れたイナホくん、拷問拷問また拷問なスレインくん。
相変わらずグッピーくらいなら死ぬレベルで、主人公間の温度差が酷いアニメだった。
スレインくんほんとハードモードやな……クルーテオ卿、味方になってくれた瞬間に死んだし。
姫様よりよっぽど姫キャラだよね。

一方姫様は、あんま反発もなく素直に正体を受け入れられていた。
此処でグダグダと、地球人と軋轢起こしてもよくないということだろうか。
ぐだぐだ抜かす仕事は、工作員の赤毛がやってくれるしな!

お話を俯瞰で見ると、地球サイドにはデウカリオンという強大な駒が渡り、火星サイドは一波乱あったけどザーツバルム卿の一人勝ち。
初期状態でダメージの大きい地球サイドはゆっくりと傷を直し、勝ち組ムードの火星はスレ員くんを生贄に激しい動きを、って感じかなぁ。
拷問されたり略奪されたり大忙しなスレインくんが、この状況をひっくり返すジョーカーになるとは思うのですが、それはまだ先っぽいな。
がんばれ負けるなスレインくん!!
姫様はお前が拷問されてる間に、すごい勢いでイナホとラブポイント稼いでるけどな!!

 

・ ハナヤマタ
"超絶スーパーこじらせ系女子中学生"ことややちゃんをクリアし、順風満帆なよさこい部……とは行かないのがこのアニメ。
ラスボスたる生徒会長攻略がはじまって色々面倒臭そうだったり、ナルーのトラウマが爆発したり、相変わらず凸凹した道を歩く回でした。
そういうアニメなのでまったくもって問題無いですけどね!!

このアニメは非常にコンパクトで個人的な問題を、あたかも世界すべての課題であるかのように演出するギャップが面白いアニメなわけですが、それは思春期の自意識がすべからく持っている"過大さ"を考えると上手く行ってる落差だなぁ、と今回思いました。
なるのトラウマにしても「よくあること」ではあるのですが、同時に色々手段を講じて乗り越えないとどこにも行けない面倒で重要な問題でもあり、そういう「端から見てると過小だけど、当人とその周囲にとって過大」というスケールのズレこそが、青春期の悩みの特長だと思うわけです。
そういう悩みはみんなに在って、それぞれ面倒くさい手順を踏んで乗り越えたり、乗り越えられずすり潰されたり、すり潰された後でどうにか整えて生きていたり、結果は様々ですが、くだらなく見てて大事なもの。
ハナヤマタは青春期の悩みの小ささと大きさ、その矛盾したスケールを、色々と工夫して捕まえているアニメだなと思います。

一方、どうやら家庭の事情が拗れて面倒くさくなってるっぽい生徒会長の問題は、解決にちょっと手順が必要そう。
でもハナヤマタガールズらしいチョロさが既に垣間見えてるので、お姉ちゃんに謝られたらソッコーでコロンと行っちゃう感じも有りや無しや。
今回の失敗への対応も引っ括めて、次回が気になる展開だったと思います。

 

・ スペースダンディ
スペースダンディの煉獄旅行、もしくはダンディ・イン・ワンダーランド。
そんな感じの朦朧としたお話。
スタッフは脚本が渡辺総監督、演出・コンテ・キャラデザがまさかの名倉靖博
実在と幻想、生と死の間を行ったり来たりする不思議な背景美術が『ジョバンニの島』のサンティアゴ・モンティエルという座組。
スペダンは夢なのか現なのか分からない、スペキュラティブなお話が多いわけですが、そのたび素晴らしい背景が重要な仕事をしっかり果たしてくれていて、とても良いと思います。

茫漠としていい空気がただただ流れる"インテリな日常系アニメ"かと思いきや、巡礼の貝殻とかプシュケの蝶とかダンディの生死とか、考えれるフックが山と詰め込まれたかなり面倒くさい話でもあり、やっぱ一筋縄ではいかないアニメだなと。
いろいろ考えてもいいし、ただただ美麗で幽幻とした世界に浸ってもいい、リッチな回であったと思います。
自分は面倒くさい系アニメファンなのでいろいろ考えてしまうわけですが、答えは出ないように
作ってあるし、どの答えも正解であるように仕上げてくれていると思います。
そして、多様な解釈に耐えられる作品強度は(スペダンにおいては何時ものことですが)、美術を筆頭にしっかりと組み上げられている。
それは、相当優しく、豊かな制作姿勢だなと再確認出来て、僕はとても嬉しかったです。

今回のお話は邯鄲の故事に通じる、様々な"境"が曖昧なお話であり、夢と現実、生と死、天国と地獄、狂気と正気のスキマをダンディーが旅する、一種の冥府探検神話でもあったと思います。
それは例えば、狂気に満ちたデザインの亡霊たちの中ダンディーが一人人間の形を保っていたりしかし狂気の国で一人正気ならばそれは一人のほうが狂人となるという矛盾であったり、いい意味で眠気を誘う音楽の使い方であったり、24分の映像で使われたパーツで、しっかり表現されている。
この朦朧感、『なんだかヘンテコな所に迷い込んじゃったぞ』という感じが、作中に飛び込む窓たる主人公ダンディと共有できる構図が、実は今回の白眉であり中核だったとも感じますね。
ポーの説明シーンが有ったほうが良かったかどうかは悩ましいところですが、あのシーンないとマジで夢(もしくは悪夢)っぽ過ぎて超わからねぇ話になってたし、話を閉じる意味では重要なシーンだっったのではないでしょうか。

9話なんかもそうなんですが、ともすれば妄想の領域まで飛び込んでしまう圧倒的な幻想を映像にしてくれる所が、思弁的SFの正統を感じさせてくれて、シリーズアニメでこんなにSF食えていいのかしらという気持ちになります。
黙ってバクバク食ってりゃいいんですけどね、素晴らしい仕上がりなんだから。
メインジャンルとしては供給が薄くなったスペキュラティブ・フィクションですけれども、こうして完璧に仕上げてお出しされるとやっぱりとても好きなメニューであり、同時にアニメーションでしか出来ない表現もしっかりと盛り込んでおり、大満足としか言いようがねぇ。
いやー、やっぱ凄いなぁスペダン。

 


・ プリパラ
今週もまた、らぁらのプリズムボイスその他全部にズブズブになる同い年の女の子が生まれた!
生まれたっていうか、元々親友だったのがさらにディープになった!!
プリパラはどこまでもらぁらのあま~い匂いに引き寄せられた重レズたちが、重力崩壊発電できろうなくらい重さを振り回す展開過ぎて素晴らしいと思います。
いやー、重たかったなぁなおちゃん……。

前々から張っていた伏線を回収し、今回は親友・なおと仲違いして仲直りする回。
アイドルとしてのらぁらと、ただの小五としてのらぁらの間をスムーズに繋いで心に架け橋を作る展開は、女児アニメとしてスムーズかつよく出来ていました。
百合云々を横において、プリパラは古臭くて真っ直ぐなテーマを、最初から自分の言葉でしっかり語っている衒いの無さが一番強いところだと思っています。

アイドルアニメとしてみると、一度別れた後ステージから語りかける流れがやっぱりよく出来ていて、A子エピの変則展開といえばそうなんですが、良い展開は何度見ても良い。
アイドルが何かを伝えたければ、ステージからやるべきだ! というのは必要な徹底だと思うし。
自分でも言っていましたが、なおはアイドルとしても友達としてもらぁらのことが好き! という事実に再度気づく展開であり、あくまでファンとしてらぁらを見ているA子とは距離感も転がし方も違ってくるわけで。
そこら辺の差異と合同を楽しく見せつつ、「アイドルと小学生、どっちの立場も成功させる!」という初期モチベーションが丁寧に昇華されてる展開はやっぱとてもスムーズ。

そこら辺を徹底的にサポートしてたのが委員長であり、圧倒的に頼れるお姉ちゃん過ぎて素晴らしい。
ファッションチェックとかどーとか言ってたけど、どう考えてもらぁらが心配すぎてプール来てたよなぁ委員長……案の定ひと波乱あったし。
年下の女の子にズブズブになってる部分はあるけど、必要なタイミングで必要なことを、丁寧に自然にやってくれるキャラが居るってのは、やっぱ成長物語においては安心感が違いますね。
そして、みれぃのズブズブっぷりは短所ではない……。

地味にラストシーンで「校長に認められるアイドルになる」という今後の目標を見せており、ただの仲直り話ではなく、次に繋がる話の作りも堅実にこなしていて良かったです。
今回とても『いい話』であり、此処で盛り上がった視聴者のエモーションを目標に結びつけることで、お話の構図がすんなり届くというね。
全体的に技ありなエピソードで、長期的スパンで展開するアニメーションでは、こう言う回が入るか入らないかで、シリーズ全体の締りが決まってくる、そんな回だったと思います。

定番とも言える展開を、骨格の部分をしっかり組み上げ、ハイテンションなギャグやステージングなどの魅力的な装飾を施し、楽しく見せてくれる良い回でした。
来週はそふぃをズブズブにするみたいですが、予告でそふぃがお姉ちゃんに服全部着せてもらっててダメだった。
どんだけ……どんだけニッチなインモラルさを攻め続けるのこのアニメ!!
素晴らしいと思います。