イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

艦これPRG/出撃の書 使命レビューその1

出撃の書で追加されたデータ、使命のレビューを個別にやっていこうと思います。
使命は付随する設定・前提条件・指名アビリティ・弱点・使命の解消条件が一つにパックされたデータであり、ロールプレイとデータを両方補助してくれる優秀な追加要素です。
今回のレビューは主に追加アビリティを取り扱い、全体的な強さやシナジー出来る艦むすなどを書いていこうかと思います。
今回はP172・173掲載の使命についてレビューします。

 

・実験艦/試作型
実験艦船として、零(ブーメラン部隊所属でシルフ萌えの方)だの綾波(髪の毛が青くて声が林原の方)だのが出来るようになる使命。
使命アビリティは命中強化であり、殴る系艦船であれば問題なく運用できる、汎用性の高いアビリティ。
大型艦船ほど火力が高くなり命中が抑えられる傾向が生まれてくるので、どちらかと言えば戦艦・正規空母などに向いた使命か。
弱点に関してはそこまで刺さるペナルティではなく、感情を横幅広く取るように動く立ち回りで補える範囲。
なのだが、感情カンストで個別アビリティのコピーが行えるルールを導入してるとこれを封じられるため、ロングキャンペーン時は注意が必要かも。


・笑顔の天使/みんなで応援!
艦隊のアイドルになれる使命であり、まぁ那珂でやれという使命。
使命アビリティは声援の効果上昇で、ダイスを振った後の達成値上昇/後出しの火力向上という超強いリソースをさらに強化できる。
シナジーとしては「声援欄のチェックを消す」系の個別アビリティを持っているキャラか、声援に付随効果を与える個別アビリティと噛みあわせたい感じ。
おそらくベストは龍鳳であり、狙えゆいかおり
効果としては横幅広く感情を取って、使命アビリティの横幅を広く取りたいが、弱点により資源にダメージが入るようになるため、そこを補わなければいけない。
大型艦船の数を減らしてエコノミーに運用するか、朧・168あたりの資源補強できる艦むすで運用するのが良いか。


・記憶の牢獄/古疵
前世に縛られ悪夢にうなされるキャラを遊べる使命。
使命アビリティは再挑戦コストを損傷でまかなえるようになるというもので、2つのアプローチがある。
一つは行動力コストが重たい大型艦が使用するもので、この場合は入渠コストもかかるため、PTにヒーラーが欲しくなる。

もう一つは「損傷を受けた時」発動する効果を自前で呼びこむ自傷コンボに組み込むもの。
「損傷を受けた時」「中破・大破になった時」が条件の個別アビリティを持つ艦むすは結構多く、榛名・赤城・龍田・妙高・如月・潮・若葉などがある。
特に若葉は「再挑戦コストを損傷で代返→1D行動値が浮く→個別アビリティで行動値1D回復→トータル行動値2D浮き」というドMコンが発動するのだが、その有り余る行動力をなんに使うかは悩ましい。

ターゲットをランダムで取る雷撃/航空戦にしろ、プロットの噛合で攻撃対象が決まる砲撃戦にしろ、艦これRPGでのダメージターゲットはかなり狙い通りにならない。
結果、ダメージを受けた時に発動する系の特技の発動率は見た目より少ないのだが、自前で損傷を受けることが出来るこの特技は、発動タイミングを自前で握れるようになりかなり強い。
とは言うものの、行動力が最低でも上限6に対し損傷は最大4であり、"お値段の高い"リソースでもある。
そういう意味でも、ヒーラー艦(千歳甲、明石)が欲しくなる使命ではある。

意外なところでは、足柄さんに積んで「攻撃を再挑戦して自傷→相手に損傷→個別で損傷をヒール」という永久コンボが発生する。
過去の記憶に苛まれ眠れぬ夜を過ごす、文字通り"飢えた狼"になってしまうが……ある!!(ロールプレイシナジー審議委員会突破)


・ 仇敵/不敗の誓い
仇が出来る使命であり、アビリティと合わせて汎用性は高い。
アビリティはダメージが1点(1Dではない)上昇と地味なものだが、弱点も地味なので釣り合いは取れているか。
常時タイミングであらゆる攻撃のダメージが増えるため、手数の多い空母水上機母艦などが取ると最適効率か。
とは言うものの結局1点ではあり、過渡の信頼を置くにはスペックが足らない。


・ 大海のグルメ/大食艦
『はいはい、赤城に積んで腹ペコ赤城ネタやりゃいいんだろ!!』と、見えない敵に対し見えないナイフを振り回す系使命。
いや、五連釘魚雷とかでもいいと思うけどさ。
アビリティは任意タイミングでの補給であり、行動値枯れが懸念される艦むすに搭載するのが良い。
これも大型艦の隙間を埋めるのにグッドなアビリティであり、そういう意味では赤城都の相性も良い……のか?
行動値を消費して状況を有利に持っていける船(雷、比叡、白雪、明石など)が取るとPT全体の安定性が跳ねる使命でもあり、リプレイでの明石はこれを狙っての取得と思われる。

発動タイミングに戦闘中が加わるだけで、扱いとしては通常の補給と同じ。
なので補助行動扱いでシーン1回、資源消費アリということには注意。
弱点の結果最低資源消費が5になるが、ここら辺は細かく補給するのではなく、ドカッと補給できるよう立ち回りを考えながら動くことで補える部分。
同時に"5"に拘っていると『行動値4消費で補給せず→再挑戦で出目6、行動値枯れて補給できず』みたいなことになるため、ある程度行動値上限に余裕のある中~小型艦が取得するほうが安定はしそう。


・ 提督への思い/恋心
提督LOVE! したい艦むすが取得する使命であり、NPCとの掛け合いにロールの軸足を乗せることになるので、実プレイでの孤立が怖い。
そこら辺は周囲を見たプレイングで補えるが、ロイールプレイが閉じないよう目配り気配りをする必要があるだろう。
アビリティとしては自前で感情を伸ばして自分に補助を飛ばすことが出来る、自己強化型サポートアビリティになる。
自前の攻撃性能と個別の相性から、最もしっくり来るのは金剛。
行動力の消費があるので、大型艦で運用するのであれば何らかの補助は欲しいところか。

弱点は暴走判定を無視して、強制的に暴走を入れてくるため、ランダム表の結果次第では致命打になりかねない。
発動条件が任意なため、シナリオ内部でのトラップとして使用するのが無難か。
『提督の命令か、他の大事な何か(民間人や仲間の命、思い出の品、約束等など)か』という両天秤は、思いの外ドラマチックな状況を作れそうではある。


・ 心配性/親愛
特定艦むすと閉じたサークルを作り、鎮守府少女小説みて~な世界に塗り替えることが出来る使命。
アビリティは特定の相手限定で雷お母さんになれるというもので、ぶっちゃけ失神するくらい強い。
基本運用は雷と同じになるが、駆逐以外で運用する場合は行動値上限に目配せする必要がある。

運用の難しい大型艦艇、特に一発行動不能がある大和型の世話を焼きまくることで、正面戦力の拡充を図ることが可能。
何よりもあまりの性能ゆえに『一鎮守府に一人』『困ったときの雷頼み』などと言われ、実プレイで目にすることが多い≒キャラバリエーションを付けることが難しい雷意外でも行動値フォローアップが可能になることが最強すぎる。
いや、雷お母さんが悪いわけじゃないんだけどね……強すぎるってのも考えものやね。


・ 華/可憐
嫋やか華やかお淑やか、三拍子揃った深窓の令嬢にお前の艦むすがジョブチェンジする使命。
アビリティは弱点効果を踏み倒して判定可能になるという効果であり、弱点の装甲低下もそこまではしんどくない。
弱点個性を有効活用できるのは天龍、五月雨、利根あたりで、特に天龍は『メイン武器の指定が弱点個性』という凄まじくピーキーな仕上がり。
今までは阿武隈にフォローしてもらっていた領域であるが、この使命の追加でようやく、PTに迷惑をかけず立ち回れるようになった。
何かというと目線をそらし、銃砲を恐れ楚々と振る舞う天龍ちゃん……んんんん!! ある!!!!(ロールプレイシナジー審議委員会、二度目の突破)


・ 水底の記憶/女神の寵愛
一度死んだ結果、聞こえるはずのない声を聞けるようになるリバースリボーン使命。
アビリティとしてはダメコンの効果が上昇する、つーか応急修理要因が応急修理女神にランクアップする効果。
これを有効活用するためには『ダメージを引き受けて損壊状態になる』『応急修理要因を持っている』の2STEPを踏破する必要がある。
ダメージ引受に関しては【護衛艦】やら翔鶴・皐月・文月・初霜などの個別で他人のダメージをかぶれるようにするのが良い。
特に翔鶴は序列も感情も敵攻撃種別も関係なくダメージを引っ張れるため、ダメコン艦としては非常に優秀。

アイテム取得に関してはかなり厳しいところで、熊野改・酒匂の個別で引っ張ってくるのが一番安い。
のだが、1D6で5ツモんないと必要なアイテム引けないランダム性を考えると、確実に取る手段は薄い。
遊びイベントで12ツモってもいいが、こちらもランダムであり、欲しいタイミングでダメコンを所持できているとは、考えない方がいい。
あくまで緊急回避手段の効果を跳ね上げるという、補助的な仕事メインで考えたほうがいいだろう。

弱点は入渠などでシーンに登場しないと、行動値が減少していくというもの。
ダメージ引受とセットになっているのが嫌らしいが、「変な声がするので、一人になりたくない」というロールと合わせて運用すると、常時シーンに出ていても無駄な登場という印象を与えないですむかも。
初雪の個別アビリティとの相性は最悪で、引きこもっていると変な声が聞こえてきて行動値が減り行動値が回復、引きこもらず他の人と一緒にいると個別が発動しないという、出ても出なくてもネガティブな状況を背負わされる。
上手く舵をとってロールすると凄く面白いと思うのだが……初雪、守勢アビリティとれるし。


・ 戦史の欠落/無垢
WW2時代の記憶を失い、ただのギャルゲー生命体として動くことの出来る使命。
記憶のギャップは立場の違いを産み、行動理念のすれ違いが発生するわけで、ロールプレイ支援として優れた使命だと思う。
逆説的に、使命の達成をシナリオに組み込むことで史実に絡めたシナリオになるという使い方も出来、ロールプレイ方面で面白い。

使命アビリティは行動値上限+2という地味、かつ強すぎる効果。
大和型が何故専用PTで運用しないといけないかというと、再挑戦/発見で1D6行動値を消費する仕様と、行動値上限6ががっちり噛みあい、1/6の確率で一発行動不能にぶっこむからである。
この指名により行動値上限が8になると6+1=7行動値を消費したとしても一発行動不能がなくなり、その後の補給なりなんなりで行動値補充が可能になる。
可能性を消せるというのはとにかく大きいので、正面戦闘において作中最強である大和型が所得するのは、一番わかり易いシナジーであろう。
ロールプレイ的に見ると"世界最強最後の戦艦"として色々濃い艦生を送ってきた大和型が記憶を欠落するのは、なかなか面白い取り回しになりそうではある。

逆に小型艦艇に搭載すると、弱点による行動値消費上昇がじわじわ効いてくるので、あまりおすすめは出来ない。
基本的には大型艦船に搭載し、足らないところを埋めていく運用がいいアビリティだろう。

 

・ 数奇な運命/人の心
『普通の人間がある日、艦船の記憶と能力を手に入れることがある』という艦むす誕生の謎、その一端を紐解く使命。
ブラゲの方もRPGの方も、艦むすが如何にして生まれるのかは謎のままであり、個別の判断に委ねられている。
艦むす畑で取れるのかコウノトリさんが連れてきてくれるのか、はたまたマッド・サイエンティストが人体改造しているのかさっぱり判んねぇわけであるが、この使命の誕生でルートの一つが確定した感じがある。
ダブルクロスにおける『OPでぶっ殺されてキュマイラシンドロームに目覚める』、エンゼルギアにおける『シェルターに避難してたら天使兵が突っ込んできて、機体に乗って戦うハメになる』という定番導入と同じように、『艦これも艦むすも全然知らんです』という立場のPLに向いている使命だとも思う。

アビリティの方は感情の天井を外せる効果を持つが、このゲーム案外感情単伸ばしが難しいゲームで、個別アビリティで感情をいじらないと6にはなかなか届かない。
金剛・暁あたりの個別を活用し、ガンガン縦に感情を積んでいきたい所。
6まで行くと相手の個別をコピー出来るだけではなく、後出し達成値+6もしくはダメージ+6Dという壊れた効果になる。
弱点の効果を考えると、初期個性が多い大型艦艇のほうが有効活用できる使命だろうか。


・ 和平への願い/対話
電ちゃんを筆頭にした『闘争以外の解決手段』を求める艦むすを遊べるようになる使命。
ブラゲの構造上、艦これPRGにはエンディングがなく、無限に続く闘争という修羅界から抜けお話を終わらるためには、こういう使命がデータ化されているのは嬉しい。
他の艦むすから「ケッ、甘ちゃんがヨォ……あたしラ殺し合いしてんだぜ?」とか言われたいPLにとってもオススメ。

指名アビリティは敵が特技判定をする場合、その妨害を行えるようになるアビリティ。
艦これPRGは戦闘処理が高速化されているため、実は敵が判定を行う局面はそう多くない。
とは言うものの、わざわざダイスを降ってくる場合は効果がヤバイことも多いので、それを潰せるこのアビリティはなかなか強い。
アビリティは切り札程度に考えておいて、設定が生み出す独自性を活かしたロールプレイ補助をメインで運用するのが良いか。

敵を潰せば潰すほど行動値にダメージが入る、というか設定的に敵を潰したくなくなる指名なので、逆に殴らない系艦むす(ヒーラーである千代田甲、明石。装備スロットのないまるゆ)で取って、殺したくても殺せないキャラを補強するのが面白いと思う。
バンバンぶっ潰して「本当は殺したくないのにー!」と種ったロールプレイしまくるのも悪くはないが、設定のジレンマは素直に受け取ったほうが、魂へのダメージは少ないと僕は思います。