イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/12/29

・プリパラ:第26話『いよいよあの子がデビューでちゅ』
クールと年の折り返しなので、2クール目の精算をして3クール目の準備をする回。
具体的には校長先生のその後を描写し、ファルルにステージデビューさせ、ソラミドレッシングを解散させる回。
盛り沢山に詰め込みつつ、細かい笑いとキャラ描写も入れていくのは如何にもプリパラ流でした。

らぁらちゃんが久々になおちゃんとキャフフしていて微笑ましかったですが、A子が同じ画面に映るなり緊張感が走るのはどうなの。
いつ「誰なのその女……」と言いながら刃物を持ちだしてもおかしくない気配が、あの女には漂ってるね。
なおらぁの関係性は清く正しく美しくて、見てるだけでホッコリ出来るのがとても良いす。
……思い返すと、なおちゃんも相当重かったな。

校長は溜め込んでいた思いを爆発させて、思う存分大暴れしてました。
30代でアイドルにリ・デビュー……んんん、あるッ!!
いきなり綺麗になるわけではなく、ガミガミおばさんなままなところが個人的には好き。
お話をかき回したり、コメディの前面を張ったりと、使い勝手の良いキャラなので、クエストを消化しても味付けそのままで動かしてくれるのは嬉しい。

ソラミドレッシングに関しては、一応の決着を付けてふたたびライバルに戻る描写をしっかりやってくれて嬉しかったです。
やっぱライバルとしてのシオンのキャラが立っているので、仲良くしつつもバチバチしてる関係の方が、見てて楽しいすね。
囲碁囲碁言ってるだけのように見えて、決めるところキッチリ決めるのでシオンは好きっす。


そして燦然とデビューを果たしたファルル。
コピー系技能の使い手という意味ではADのかなめ、ロール髪でシステムサイドに近い実力者という意味ではRLのジュネ様を思わせるキャラすね。
ミュージカル調の楽曲にマリオネットダンスという組み合わせはプリパラ的に新しく、いいインパクトが有りました。
それにしたってプリパラ世界の観客は新しいもの好きすぎ、手のひら返しすぎだがな!

RL32話の「nth color」と比べると正直圧倒感が足りませんが、すでに完成されていたジュネと未だ貪欲に成長を慾るファルルの違い、大映ドラマだったプリリズとコメディチックなプリパラの違いだなぁと受け取りました。
リブートしても偉大な先達と比べられるのは厄介だと思うけど、綺麗にずらしてプリパラなりのラスボスを見せて欲しいところ。

無垢ゆえの不気味さを持ってるファルルが、今後どう動くのか気になる回だったと思います。
来週もらぁらにグイグイ来るみたいですが、予告を見る限り小学五年生の顔を赤面させて棒状の物体を銜えさせ妹にお世話させるためだけに生まれた話っぽくて、最高に素晴らしいと思います。
こういう印象与えておいておもくそ横殴りしてくるから油断できんよなあ、このシリーズ。
楽しみです。

 

アイカツ!:第114話『ハッピーツリークリスマス☆』
『花も恥じらう乙女が、斧持って伐採』という狂気に満ちた年中行事、今年もやります回。
ぶっちゃけ第12話『WE WISH YOU A MERRY CHRISTMAS』のリブートというかなぞり回なのだが、あかりちゃんにとって伐採はオリジンだから、まぁ多少はね?
まさか珠璃ちゃんもそうだとは思わなかったがな……狂気の地雷がそこかしこに埋まってる世界、それがアイカツ

大筋は重ねあわせつつも、色々と違っている部分もございまして、そこら辺は主人公の違いかなと思う感じ。
連絡に事前準備、実際の行動などなど何でもそつなくこなしていたいちごちゃんに比べ、行き当たりばったりの猪突猛進主義でグイグイ行くあかりちゃんのスタイルが、良く見える回だった。
失敗ばかりしていた彼女がこうも前向きになっているのは、一つは自分の原点に関係してるからということと、もう一つは付いた実力が背筋を真っ直ぐにする効果かと思います。
ブートキャンプに比べると見事な斧さばきで、一瞬感心した後「アイドルってそういうんだっけ?」と首を捻ることしきり。

とは言うものの根本的なオマヌケ加減は直っていないわけで、やる事なす事結果オーライな所も、いちごちゃんと違うところ。
色んな人と偶然に助けられて、夢の伐採を成功させていました。
あの制御されていないツリー落下といい、偶然通りがかった輸送ヘリでの空輸といい、一つ間違えば大惨事だった気もする。

サブキャラの出番の多い回で、すっかり新しい女とキャフフするのが板についたユウちゃんを筆頭に、花京院声のドーナツ屋やら、またあかりちゃんに押しかけられてた翼くんとか、ワンポイントリリーフが光っていました。
唐突に差し込まれた鍋ラーメンの描写は、ふわふわ夢いっぱいなアイカツデザイナー勢の牙城を崩す生々しさであり、『あの世界でも、駆け出しデザイナーは大変』という事実を思い知らされた。
劇場版でも世話になってんだから、学園に呼ぶのは無理でもなんかこう、な、あかりちゃん。

ステージの方はメイン三人初の同時出演、ひなきのプレミアムドレスお披露目と、見せ場の多い舞台でした。
カメラワーク絡みの演出が全体的に凝っていて、アイカツ!の舞台演出は毎回どっか頑張ってんなぁと感じます。
来週は今回無茶ぶりを投げつけてきた珠璃ちゃんを実家に上げる話のようですが、どのくらいの濃度でレズレズしいのか、今から怖いです。(まんこわエンド)

 

Fate/UBW:第12話「最後の選択」
UFO版UBW、前半戦完ッ結!! というわけで、二話分の尺を一気に使って、過去最強のラブコメをしたりあれよあれよと状況が動いて主人公が全てを失ったりした。
キャスターさんが最強に調子に乗ってますが、この後足場を蹴りおられて転落する姿が容易に想像できる所も引っ括めて、素晴らしい中ボスだと思います。
リソースを一気にかっさらって調子に乗ったキャス子に、『肋骨を開いて心臓抜く』という超上に乗っかったロールを叩きつけられても、さらっと受け流してスタイルを貫く小次郎はPC5の鑑。

前半は『お前らの口からラブコメ汁が出るまで、俺はラブコメ描写をやめない』と言わんばかりのラブでコメったシーンでした。
強い意図を感じるレイアウトがビシバシと決まって、分かりやすいし面白いなぁと思ってたら演出がUFOのレイアウト番長・高橋タクロヲさんだった。
漫然と画面にモノを配置せず、与えるべき印象と果たすべき仕事を考えて絵面を仕上げているので、シーンごとのイメージがクリアだったなぁ。

一生飯食ってるセバ子とか、相変わらずあざとい凛ちゃんさんとか、ヒロインレースは甲乙つけがたい展開で進んだ。
『あなたさー、いい加減私がヒロインポイント稼いだ後に出てきて、総取りして帰っていくのマジやめな?』と説教されたのが効いたのか、今週は弓のインタラプトも控えめだったしね。
むしろヒロインとしては、士郎とアチャ男両方のモティベーションになってた虎のほうが抜きん出ていた。
アレは分かりやすいヒントだったなぁ……凛はもう、この段階で気づいてるっぽい感じかな?

後半はキャス子大暴れな我が世の春であり、気に食わねー正論ロボはぶっ刺すし、可愛い美少女は百合NTR決めるし、口うるさい門番の肋骨は露骨にするし、クソ神父のお家は襲うし、やりたい放題し放題。
いいさ……思う存分やんなよ……(避け得ざる破滅の運命を幻視し、優しい目になる)
実際の話し、士郎が全てを奪われる今回の折り返しは非常にグッドであり、それを持ってくるためには容赦の無い劫掠が必要なわけで。
キャス子はいい仕事をしていると思います。


これで前半終わりなわけですが、いや、非常によく出来た、素晴らしいリブートだったと思います。
ブコメパートと伝奇パートを綺麗に絵面として分けて、色彩や照明の当て方で日常と非日常を切り分けていたのは、『平穏な世界の裏側で人知れず繰り広げられる、魔術師と超人たちの限界バトル』という舞台設定を際立たせ、魅力的に見せていたと思います。
美術も美麗だったしね……学園シーンのぬくもりと綺麗さの両立が好き。

筋立ての再構築も、他ルートから必要な要素を取ってきたり、オリジナルシーンを足して補足したり、かゆいところに手が届く作り。
イリヤちゃんの活躍追加とか、マジ半端ない蛇の武術とか色々ありますが、一番うまく言ってたのはロボ人間・衛宮士郎の内面描写。
早め早めに彼の異常性を解りやすく描写しつつ、そこを気にかける凛を必ずセットで出すことで、彼女がヒロインである説得力も取るという一石二鳥。
『士郎は分かりやすい少年主人公"ではない"』というのは、原作で一番引っかかることの多いポイントだったと思うし。

キャラクターが上げるべきトスと、決めるべきスパイクを丁寧に回していて、お話の盛り上げどころが寸分のズレなく入っていたのも、見ていて気持ちのよいところでした。
必要な情報を必要なタイミングで出すことで、伝奇にしても日常にしても、必要なシーンを引っ張ってくる準備が丁寧に行われていた印象。
これも情報の再構築・取捨選択が巧く行っている証拠でしょうね。

あとま、セイバーさんが凛々しく、頼もしく、美しく、可愛く描かれていて大満足です。
あの子は歴史の教科書に載るくらい立派なのに、色々と扱いが酷いというか、ネタ呼ばわりというか、ちょっとな~と思っていた所にズバピタで欲しい球が来て、もう有難う御座いますとしか言えねぇ。
UBWの感想を書くたびに『セバ子のヒロイン力ガー』とか、『凛ちゃんさんはヒロインレース脱落カー』とかほざいていましたが、まぁ七割贔屓目というやつです。(バレバレ)

二期では日常成分少なめ、キャラクターの信念吐露多めで展開すると思うのですが、それはそれでとても楽しみです。
一期の仕上がりでハードルも上がるとは思いますが、ラクラクと超えてくるんじゃないかと思える、そんなアニメでした。
いやー面白かった、楽しみだ。

 

ヤマノススメ:第24話『さよなら、わたしたちの夏』
最終話なのでハナビノススメ! というわけで、ほのかちゃんがわざわざ高崎から出てきたら、痴話げんかとノロケのラッシュを食らったでござるという回。
山関係の話は前回綺麗に終わったので、レズ関係の話をしましょう! と言わんばかりの濃厚な向日葵回だった。
ふでやす先生はキチ系の第一人者という印象が強いけど、ストパニでもひめチェンでもプリパラでも女×女の依存度高い話をたくさん書いているわけだなぁ。

中身の方はいつものよーに、あおいとひたながお互いを一生思い続ける展開でした。
この子らはずーっと、心の大半をお互いの顔で埋め尽くしつつ、世の中を同健常に渡っていくのか学習しながら生きていくのだろうなぁ。
このネットリ感はマジで"判って"いて、心にしっくり来るネ。

"登山"というツールがないと閉じそうな関係性なのですが、絶妙な位置に絶妙な大きさで風穴開いてんだよね、このアニメ。
吹き溜まりそうな所で、山やら楓さんやらここなちゃん様やらが風を吹き込んでくれるという。
そういう安心感があるので、ねっとり濃厚な女の子×女の子パートも軽やかに楽しめるという。
谷川岳でコナかけられ、飯能でも痴話げんかのアテにされるほのかちゃんはご愁傷様でした。


終わってみてまず思うのは、とにかく美術と音響が仕事をしたアニメだったということです。
他のスタッフが仕事をしていないというわけではなく、というか全てを高水準に仕上げていたとは思うのですが、特に目立つ。
これは"山"という異界を成り立たせないと、『青春の蹉跌に人生を間違えそうになったら、山に行って解決する』という基本構造が成立しないこのアニメにおいて、とても大事だったと思います。
吹く風や山の風景に臨場感があるからこそ、そこで受け取ったキャラクターの感情にも乗っかることが出来、没入感が段違いという。

美術はキャラを引き立てるだけではなく、描かれている場所への憧れ、好感を引っ張りだし、作品を好きになる足場になってくれたと思います。
山に登りたくなる、飯能に行きたくなる。
そういう気持ちを素直に生み出す造りになっていたのは、青春季という時間軸との相性も良くて、いいシナジーだったなぁ。

15分アニメだからか、特徴のあるスーパーアニメーターの一人原画が何回かあったり、制作スタイルも独特の魅力を持っていました。
生物感のあるアニメートが要所要所で挟まっていたのは、ただ巧いというだけではなく、キャラを隣人として認識させ、親近感を生み出す原因になっていたと思います。
そういう意味では、美術だけではなく画面全体が仕事をしていたということだろうなぁ。
指示する側が画面に何を写して、それで何を手に入れるのか明確にイメージしていたってことだろうなぁ。


そして、クッソ面倒くさいひねくれ者の主人公と、その子をずーっと見つめて重たい決意を軽やかな態度に隠したヒロインの自己実現話として、ぶっとい軸があった。
これは五分しか尺のなかった一期の頃からそうで、あおいに出来る範囲の成功、もしくは耐えられる範囲の失敗を与えて、周囲の子達の支援を受けて成長していく堅実な話作りは、ゆるふわ系の外装に一本芯を通していました。
二期では話数も尺も増えたので、あおい以外の描写も分厚くなり、キャラへの愛着と理解も一段と強まった印象。
そしてそのことが、主人公の成長譚に対する没入を強めるという。
全体的に、粒の立った個別の要素が、他の要素をグイグイ押し上げるという、非常に良い相互作用を持った作品だったなぁ。

無論、キャラがいいつーのが軸が刺さる地面になってたのは当然。
萌え関係のクスグリが上品かつ的確で、みんな可愛いし、愛おしいし、健気だしと、キャラクターのことを好きになれる描写をてんこ盛りにしてくれてました。
山にも登らず、飯能でダラダラゆるふわしてる話の空気感、俺好きだったよ(唐突な告白)
二期はここなちゃん様の出番が多くて、彼女の妖精っぽさをたっぷり食えたのもグッドナイスでしたね。
俺あの子好きなのね、動物好きな所とか、夢っぽいところとかね。

ゆるっとふわっとした描写も巧かったですが、それだけじゃない試されるシーケンスもしっかり刺さるように作っていたのは、甘えがなくてよかったです。
富士登山編の不穏な空気、下山した時の重たい気持ちは、切れ味鋭い演出が的確に視聴者を抉っていた証拠であり、あそこでしっかり下げたからこそ、天覧山でのカタルシスが凄まじい。
怠け心だとか増長慢だとか油断だとか、悪意・敵意になるほどではないけど心を濁らせる心理の描写が巧いのは、実はゆるふわ系の描写が巧いことと背中合わせなんだろうなぁ。

美術から作画、音響に演出、声優、コラボレーション担当に至るまで、アニメーションを制作する沢山の人達が素晴らしい仕事をして、それが響きあったという、幸せなアニメーションだったと思います。
ただゆるい、可愛い、重いという単一の感想ではなく、重さがあることで軽さの価値が判るような、奥行きのある青春譚に仕上がってもいました。
豊かなアニメであったと思います。
ありがとうございました。