イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/03/04

・幸腹グラフィティ:第8話『ほくほく、はぷっ。』
『最近椎名絡めた話ばっかだったし、久しぶりにきりんとリョウで閉じた関係性でも描写するか!』と言わんばかりの、二人が幸せならそれでイイんじゃないのという回。
あばたもえくぼというか、愛情が最高のスパイスというか、そう言う感じのいい話……にしたいんだろうが、飯の描写も女の描写もいつもの様にネットリし過ぎで、飾った表面の奥を勘ぐりたくなる。
最後きりんが謝りに来た後のゼロ距離コンタクトが、異常な粘度で描かれていて、『これメシのことはあくまで燃料に過ぎねぇな……』とか感じた。

お話全体で見ると、ただただ食べる人だったきりんが作る人に変化したつー結構重要な結節点なんですが、首までずっぷりな相互依存は一話からずっとで、それは弱まるどころか強化されてるし。
一応食事を題材にとった話なのに、『きりんが作りゃ何でもいいや』という結論に至る辺り、リョウも相当なもんだと思います。
まぁ健全な青春絵巻より、この乖離して不穏当な日々を窃視してるほうが俺はドキドキ出来るので、今後もこの間合いでお願いします。

 

蒼穹のファフナーEXODUS:第8話『平和を夢見て』
敵の親玉はとっとと消えたので、本来の目的である増派を達成するべく、大陸間弾道弾でロボットを射出する回。
大掛かりな準備はワンダバ感溢れててテンション上がるし、偽乙姫ちゃん改め織姫ちゃんのヒロインポイントは相変わらず高まるし、新兵たちの戦後の表情もしっかり捉えてくれたしで、相変わらず色んな事をしっかり写すアニメだった。
世界樹は超あっさり折れたしエメリーは死んだっぽいけど、弾丸ボーイズの狙いはそこじゃねぇしな。

織姫ちゃんは燦然と登場して以来、芹ちゃんに司令にお兄ちゃんにと、ヒロイン業務だけではなくトス上げもしっかり上げて他の人の物語を引き出してるのが、好感度高い秘密。
いや単純に可愛いけどね……名前つけて欲しくてウキウキしてるのを隠してる所とかね。
エメリーが死んだ……かどうかは確言出来ないけど、しばらく退場するのは間違いないので、話ができるフェストゥムサイドは、織姫ちゃんがしばらく担当かなぁ。

島の問題は一時落ち着いたとはいえ、インド班は目の前に敵、身内に爆弾という状況。
特に遠見親子は話のコアに近い場所にいるだけに、インドを切り抜けてもすんごい破裂の仕方しそうでなぁ……。
破裂までの導火線をどう敷設するかも引っ括めて、見逃せない展開が続きますね。

 

・アルドノアゼロ:第20話『名誉の対価』
火星も地球も、みんなが後ろめたさに瞳をそらす中、マズゥールカ卿がまさかのタッチダウンを決める回。
いやー、好きなキャラだけどこんなに的確な動きができる男だとは、正直思ってなかったよ。
W姫様も一気に崩れたし、スレイン王国崩壊の音が聞こえる……最初から聞こえてたな、ウン。

火星軍団悪魔の襲来というピンチも、デウカリオンの横殴りでダメージ少なく切り抜けたイナホマン。
さすがに万能過ぎると面白くもなんともないので、目の代償であるHPダメージをチラホラ見せてくる。
こっちが目を逸らしてるのは、最悪個人の死だから優遇されてるよなぁ。

一方溜まりに溜まった因業と怨念、あと積み上げた嘘とその場しのぎから目を背け、エデルリッゾとすら目を向けてお喋りできないマンことスレインくん。
帝国の足場たる偽姫さまを限界まで追い込んだ結果、マズゥールカ卿の工作を許し、姫様の記憶も戻るというカルナジェンガ総崩しを、華麗に決めてました。
紅茶に入れた角砂糖のように、手に入れたかったものも手に入れたものもあっけなく崩壊していく姿に、宜しからぬカタルシスを感じたのは事実。

姫様はイナホマン側の『間違えない』人間だからいいとして、スレイン専用ヒロインとして最適だった偽姫さまは、おもっくそ『間違える』人間。
疑念と寂しさが高まっていったところに、ガラスの檻に綺麗なものを閉じ込めて愛でたい系男子だった証拠を握ってしまった今回、破滅へのトリガーが決定的に引かれた感じがあります。
ハークライトの前で露骨なよろめきを見せてたけど、これを切っ掛けにハークライトも崩れてくのかねぇ。
ほんとに何もかんも巧く行かねぇなぁ、スレインくんよ。

程度の差はあれ破滅の予感が表に出てきて、いよいよ終盤戦だなぁという感じのお話でした。
スレインくんの砂上の楼閣をさせていた要素が、一話で全部抜けたので、来週ヒドいことになりそうですね。
楽しみです。(最悪の期待)

 

ミルキィホームズTD:第8話『謎解きは それがやっぱりお約束!の前後に』
ヴァラエティ豊かに色んなジャンルを横断してるTD、今回は推理モノ。
複数容疑者から始まって、車椅子の男に無能なワトスン役(主役)に変装探偵と、タイトル通りお約束を縦横無尽に駆け巡りました。
過去放送回に目配せが効いた小ネタも生きていて、油乗ってるなぁと感じます。

今回のパロディは過去のラオウネタとかガンダムネタとか拾いつつ、ベルサイユのばらメイン……と言いたい所だけど、一番軸になっていたのはホームズ。
ロンドン舞台なのにフランスネタが多くて、ツッコミ待ちなんだろうなぁとか思いながら見てた。
あとアニメでヴェルレーヌの詩のパロディ、初めて見た。

ミルホがドタバタしつつ、シナリオゲストと交流することでマリネちゃんが何かを掴む流れも、いつもの様にキッチリ機能。
今回はマリエちゃん以外のエレメント能力者を出したことで、世界観的な広がりも出たし、悩みが綺麗に重なる相手なので、成長も素直な展開だった。
過去話の要素を丁寧に摘んでいたのも、成長が積み重なってる感じが出てた理由かな?

ミルホもただのバカという訳ではなく、デリアさん筆頭に探偵っぽいことをして話を先に進めつつ、要所要所で失敗して真の名探偵の出番を作る仕事をしっかりやってました。
デリアさんの推理、使い方は間違ってたけど分析それ自体は的外れじゃないわけで、ちょうどいい所で負けさせてる。
小林先生という後見人が登場したことで、コメディ担当の看板を外すことなく、可愛らしく探偵ごっこ出来る。ミルホにとって、幸せな回だったなぁと思います。

 

・Go!プリンセスプリキュア:第5話『3人でGO! 私たちプリンセスプリキュア!』
三人目のプリンセス、天ノ川きららがプリキュアになるまでのお話でした。
プリキュアやらない」という衝撃的なヒキに説得力を付ける一日付き人、そこでのはるかとの交流と生まれた変化、モヤモヤを駆け抜けて生まれた決意。
少女の心の揺れを丁寧に追いかけて、きららという少女と、彼女が下した決断を説得力満載で届けてくれるエピソードであり、素晴らしい仕上がりでした。

今回は、感情表現の細やかさが凄かった。
はるかの百面相はいつもの事として、前回は不敵な表情を崩さなかったきららがはるかと出会い、一緒に夢の道を歩んでいくうちにかけがえない仲間になっていく心の襞を、凄く丁寧に拾っていました。
モデル仕事のハードさ、それに賭けるきららの本気、高いプロ意識をしっかり描写することで、「プリキュアやらない」というインパクトの有る答えに、しっかり説得力をつけてたのは、本当に良かった。
そして一日付き人を体験することできららの夢に納得したはるかが、きららを最大限尊重して一旦引く流れ、そこからきららに生まれるモヤモヤの描写も、二人の人格を輝かせる描き方で、凄く良かったです。
はるかに出会うと顔を輝かせ、彼女がみなみと去って行くと曇る表情変化は、振り子のように揺れる若い心を綺麗に切り取ってて、凄く瑞々しかった。


モヤモヤを抱えたきららをみなみに気付かせるシーンを入れることで、今後の解決策を示唆し、みなみの包容力を描写するだけではなく、はるかときららの物語にみなみをスムーズに参加させていたのも、良い構成でした。
今回の話ははるきらの流れなんだけど、みなみパイセンをのけ者にして
ラストのアダ名呼びが最後の呼び名変更と握手に繋がってるわけで、序章全体を纏める演出を生み出す出色のシーンですね。
今回の終わり方も変化した関係、生まれでた絆をすごく的確に切り取って、控えめに言って最高としか言いようがねぇ。

『迸る再起と群れに埋没しない強い意志が、周囲の人を遠ざけて孤独を生む』という構図は、じつはみなみときらり両方に共通するポイントであります。
夢に向かって闊歩し、己を強く頼む自信家だからこそ、戦闘が終わった後の「褒めてくれないの?」が超効果的に刺さるっつーね。
プリプリはほんと、表と裏の見せ方が巧いと思います。
真っ直ぐに素直に、心の距離を飛び越えてくる主人公はるかはこの孤独を埋めてくるからこそ、二人にとってかけがえのない存在になる。
作中の人物だけではなく、視聴者にも『はるかちゃんは素直で優しくて、気後れしない強さのある子だな』と感じられる描写を積み上げているから、今回のきららの変化は素直に受け止め、心動かされる描写に為っています。


クローズアップで表情を描くするだけではなく、ロングに引いて風景を捉え、彼女たちが青春を過ごす世界をカメラに捕まえることで、叙情性を上げるカットが多用されていたのは印象的でした。
きららを諦めた一日目の終わりと、三人の関係が始まる二日目の終わりが同じ風景のりフレインが、世界に奥行きを与えてて凄く良い。
風景によるリリシズムの強化つーとドキドキ26話『ホントの気持ちは? 六花またまた悩む!』思い出しますが、あれの演出はプリプリSDの田中裕太さんでしたね。

習っているバレエがはるかの中で身になってきている描写の蓄積だとか、アロマが頑なな態度をとることできららの気持ちが引き出される流れだとか、主題以外の描き方も細かったです。
主役の良さを引き出す受けという意味では相変わらずクローズさんが黒帯レベルなんですが、負けが込みすぎて死相が漂ってきてるのが不安ですね。
敵BOSSのディスペア様は声が榊原さんで、すんごい貫禄を感じました。

きららという個性の強い女の子が、新しい夢、新しい仲間を見つけるまでを、凄く丁寧に描写してくれたエピソードでした。
プリプリは古臭くも思えるオーソドックスな筋書き、舞台設定に、細やかな描写で命を吹き込んでいる感じが凄くあって、見ていて安心できます。
一つの山場を超えた今年のプリキュア、今後どう転がしていくのかも楽しみですね。