・プリパラ:第51話『プリンス様と不幸せの青い鳥』
押し込めるタイミングで可能なだけ押しこむのが、女児アニルールストロングスタイル。
というわけで、ふわりとプリンスの関係を説明し、マスコットとの出会いを果たすお話。
まだステージを踏んでないことも含めて、1期でらぁらが担当してた『プリパラ初心者』っていう立場を再演してんだな、ふわりは。
王子パートは全てが狂いきっており、いかにもプリパラという感じの投げっぱなし空間が、ずっと続いていた。
適当に王子っぽいことをし続けると女子がキャーキャー言う転校といい、しらけてる男子の中に一人ときめいてるのが混じってるところといい、いきなりクワで穴ほってる新ヒロインといい、鯛と鰤といい、『プリパラって、ホントキチ』って感じだ。(唐突なさやかちゃん)
溢れかえるキチ汁に逆らわず、流れに同化してお話を進めていくふわりちゃんは、ほんとプリパラの寵児だと思います。
鳥パートに関してはキチ抑え目いい話成分多めで展開し、ふわりがプリパラに馴染んでいく足場が組み上げられていった。
ふわりは『不幸になんて、ならないよ』と言っていたが、落雷・落たらいは不幸じゃないのか……パルプスの価値観は良く分かんねぇ。
今まで色んなマスコットが出てきたけど、ネガティブなハグレモノっていそうでいなかったキャラなので、巧く膨らましてお話に使って欲しいキャラやね、トリ子さん。
プリパラ(つーか文明)のことを一切知らないふわりが、トモチケ交換しマスコットと絆を結び、ブランドを手に入れて初ステージを踏む。
ふわりが歩むお話の見取り図が、少し見えた気がするエピソードでした。
『ド素人が何も知らないところから、競技に飛び込んでいく』いうのはオーソドックスかつ強靭な物語類型だと思うので、手堅くキチって進めていって欲しい所です。
……いや、想定してたより強く、そしてナチュラルに狂っててさふわりちゃん……そこが好きだけど。
・シドニアの騎士 第九惑星戦役:第12話『決戦』
シドニアの騎士セカンドシーズン完ッッ!! というわけで、第九惑星戦役の始末も、谷風長道物語のキリの良い終わりも、非常にしっかりやった最終回でした。
アクションとサスペンス満載のAパートも、まだ回収してない伏線とノスタルジー、未来への希望に満ちたBパートも、両方大満足ですよ。
おまけにエナ白も増えてサードシーズンに稀代が高まるな!!
……とりあえず、『亜人』の映画三つが終わるまではねぇな、三期……。
ピンチの上にピンチを重ねてきた長道無双ですが、最後の最後でイザナ君が逆転の秘策をブチ込む展開がナイス。
ああいう動きできるあたり、やっぱヒロイン力高いなぁイザナ君。
あ、隊長絶対死ぬと思っていたので、生き残ってくれて嬉しいです。
ピンチにピンチを重ねてそれを乗り越えた上でさらにピンチがやって来るのが、シドニアの戦争。
紅天蛾を退けてクリアとせず、さらなる増援包囲と騎兵隊の到着で天井超えの盛り上がりを作って終わったのは、控えめに言って最高でした。
やっぱ弦打やサマリたちと戦ってきた戦争なので、最後の見せ場がちゃんとあるとスカッとするね。
これまでは真っ赤に染まるのが仕事だった味方モニターが、頼もしい青さに染まっている対比とか好きよ。
建前を破壊寸前まで駆使して、長道を何としても助けるユハタのデキる女っぷりもな!
セカンドシーズンのタイトルにもなっている第九惑星の確保を終え、Bパートはまったりムード。
完璧に英雄騎士となった長道を軸に、修羅としての道を進む艦長、不穏なオーラを漂わせるのりお、牽制しあう長道ハーレム要因など、まだ未解決の物語要素をテンポ良く見せていました。
エナ白弐号機もヒロインレースに参加するかとおもいきや、思いっきり資材扱いされてて、やっぱシドニアを取り巻く環境は厳しいなぁと通関したりした。
圧倒的な実績で英雄に祭り上げられた長道だけど、素顔はあくまで朴訥な食いしん坊の正義漢。
コバヤシが求めララァが危惧するような『空疎な旗印』には、なかなか為らないぞ! と視聴者に伝えてくれる、英雄故郷に帰るパートはとても良かったです。
コメ泥棒として世界に登場した長道が、同じ場所でコメをもらう側になるっていう対比がね、綺麗で好き。
これまでのお話の対外的成果である勲章を、捨てるのではなく一番信頼できる所に預ける描写とかも、長道がもっている人格的強さを強調していて、いい見せ方だなぁとウットリしました。
そして名曲『シドニア』フルコーラスに乗せて流れる、これまでのシドニアダイジェスト版。
小気味良い編集で綴られる映像で、『あんなこともあった』『こんなこともあった』と感慨にふけることが出来る終わり方は、グッと胸に迫る造りでとても良い。
ベタな演出といえばそうだが、ベタでも何でも、キッチリ刺さるように作ってあるからええんじゃ。
こうして見返すと、やっぱ二期はラブコメ成分多めであり、楽しいシーズンだったなぁと思います。
どう見ても恥部な人殺しの化け物を、圧倒的ヒロインに押し上げた演出力はやっぱ素敵だ。
形式的ラブコメディに甘えることなく、3D作画も活かして、ロマンチックなシーンをたくさん用意したのが良かったんだな。
終わってみると、とてもバランス感覚に優れたアニメでした。
3Dの違和感を巧く殺し、キャラクターに接近することの出来る絵作りと、3Dの強みを活かした広大な空間の描写。
ハードでソリッドなSF絶滅戦争をよどみなく描き、かつ親しみやすい人間主義を、嫌味なく主人公に背負わせる手腕。
あっという間に人命が飛び散る苛烈な戦場と、戦う意味としてのドタバタな日常の対比。
ともすればお互い食い合ってしまうような要素を的確に操って、両方魅力的に見せることができていた、良いアニメだった。
真っ向勝負の正義感長道、かわいいイザナ君、かわいいチンポことつむぎ、負け犬ユハタ。
死の戦場に立ち向かいつつも、生きることの楽しみを諦めないキャラクターたちも、通り一遍ではない魅力に満ちていて、とても好きになれました。
彼らとは違った価値観を持つコバヤシ艦長や海苔男もまた魅力的だったのは、光を担当する主人公たちと響きあう意味でも、とても良かったですね。
シドニアがおかれている広大な宇宙も、長道たちが体験するかけがえの無い日常も、映像的スペクタクル満載で描かれていた。
『こことは違う何処か』を舞台とするアニメなので、物語が展開する場所が説得力を持っいたことが、作品の魅力を高めていました。
ここら辺の臨場感に関しては、SEをはじめとした音響も、凄く助けになっていました。
つむぎの可愛さの2割位は、確実にあのトンチキなSEが担っていると思う。
何者でもない青年が人間として、英雄として成長していくお話としても、絶滅戦争を生き抜くハードコアサバイバルとしても、宇宙舞台のまったり日常SFとしても、色んな角度から楽しめる、とてもリッチなお話でした。
まだまだ芽を出していないお話の種が沢山あるので、是非に続きが見たいわけですが、何はともあれ、今は感謝の気持でいっぱいです。
シドニアの騎士セカンドシーズン、凄くいいアニメでした。
・Go! プリンセスプリキュア:第21話『想いよ届け! プリンセスvsプリンセス!』
一週間のお預けを経て、VSトワイライトラストバトル回。
決戦直前でせき止められた期待を裏切らず、トワがトワイライトには変わった背景を説明し、絶望を蹴り飛ばし希望を導く限界バトルがしっかり描かれました。
カナタ王子は取引停止レベルに株を上げまくりましたが、代償としてしばらく退場。
まぁあのまま画面に映ってると、確実に主役たちを食っていたのでフェイドアウトは打倒か。
今回のお話はトワ=トワイライトを真ん中において、偽りの母にして国王であるデュスピア様と、夢と希望の戦士プリキュアが綱引きをする構図。
トワが闇のプリンセスとなる過程を説明することで、今までラスボスとしての貫禄はたっぷり持っていたが、いまいち細かい人格説明のなかったディスピアさまも掘り下げるという欲張りなお話です。
まぁフタを開けてみたら、『他人の家の純真なガキを家族と夢をダシに拐かし、娘を失った失意につけ込んで乗っ取り。攫ったガキは人相変わるほど洗脳して、実家の連中が敵に回ったので自爆テロさせる』という、マジ洒落にならない邪悪さだったわけですが。
ディスピア様にも偽物なりの母娘の情とかあるのかなー、とか半分期待してたら、情状酌量の一切ないストロングスタイルのクズが飛び出てきて、おじさんビックリだよ。
悪霊形態でトワを誘った時の猫撫で声といい、絶望顔を堪能するときの愉悦声といい、榊原さんの声が持ってる『格』みたいなもんが、凄くいい演出になってますね。
こんだけの邪悪さを見せつけられると、カナタ王子の退場も相まって、『ディスピア倒す!!』というモチベーションが上がります。
同時に『今は勝てない』ということもカナタ王子が退場することで強調されたので、今後はトワをケアしつつ、パワーアップの説得力を積む話が続くのかね。
破綻した偽の母娘関係をどう扱っていくかも含めて、気になるところ。
もう一方の綱を握っていたはるか&カナタですが、こっちは濃い闇に立ち向かうことで光が強く描写される展開。
主人公として諦めない心を発揮し、勝利を掴んだはるかはもちろんですが、要所要所で防御を担当しつつ、トワの心を取り戻す最後の一発をブチ込んだカナタも、見事に株を上げる展開。
逆転のヴァイオリンを持ってくるのがパフたちだったり、弱いなりに状況を前進させる力になってる造りが良かったですね。
トワ帰還という奇跡を引き込むために、冷たく完璧なプリンセスに憧れたはるかが最初の一歩を踏み出す流れは、あまりに主人公していて素晴らしかった。
前回のカナタから見たはるかとの出会いにしてもそうなんですが、一方通行の憧れではなく、相互にリスペクトしあい支えあうプリプリのスタイル、凄く好き。
魔女が奪った夢と希望を、ヴァイオリンの調べから感じ取っていたという描写からは、前向きで諦めない姿勢だけではなく、直感的に真実に辿りつく鋭さこそ、はるかの強みだと読み取れるしね。
こういう風に『主人公が主人公である理由』をちゃんと描写(説明ではなく)するのは、お話にのめり込む上ではやはり、すごく大事だと思います。
合体必殺技パナして終了ではなく、説得の主役をカナタに譲って、あくまで心の問題としてトワを帰還させる流れもグッドでした。
パワーにパワーで対抗し続けてると、どっちが悪役か分からなくなるインフレが起きるからな。
ここでも言葉以上の気持ちを伝える媒介として、共通してヴァイオリンが使われているのが、綺麗なイメージが継続していて好きな所です。
そしてカナタの退場。
死んで花実を咲かせるのではなく、あくまで帰るつもり満々のまま、希望を繋ぐために体を張るカナタの姿は、強く優しく美しかった。
こんだけ完成してしまうと中々メインでは出せないので、退場に関してはしょうがないと思います。
……闇堕ちして敵の将軍として登場かなぁ……『ガチ死んでます』というアン女王ルートは勘弁な!!
他にも最初から完璧だったわけではない幼トワの姿を、庶民出身プリンセス候補かなたと重ねる演出だとか、愛の戦士シャットのオモシロ劇場だとか、見どころはたくさんありました。
バブルリップルに囚われたトワの視界が歪んでたり、殺陣も凝ってたしね。
必要なタイミングで必要な興奮を出せるあたり、プリプリのカロリーコントロールはやっぱし上手い。
新たな仲間を救出するだけではなく、現在の戦力比を明らかにしたり、メンター役の株を上げた上で退場させたり、今後にも繋がる第二幕終演でした。
トワの現世復帰第一回となる次回も、この勢いを巧く活かしてくれると思います。
次回予告段階で、既に気合が感じられるもんなぁ……楽しみ楽しみ。