イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dance with Devils:第8話『仮初のワルツ』感想

キャラ紹介も終わったしルート確定させていくぜ!! な、八回目のダンデビ。
あっという間に三馬鹿にまとめられた生徒会メンバーを置いてけぼりに、ネタ方向でも恋愛方向でもレムがぶっちぎるお話でした。
賑やかで楽しいコメディで腹筋を緩ませておいて、『わりーな、このアニメ一応現代伝奇なんだ!』とばかりに全力で殴ってくる後半も素晴らしい。
ショッキングな方向転換は、短く鋭くやるのがベストよね。

設定説明もキャラ紹介も終わったので、前半戦は賑やかなコメディ。
キャラの数が多く粒も立っているので、みんなで集まってガヤガヤする展開は見ていて楽しい。
七話使ってキャラの畑を掘り返したことが、『コイツはこういうことして欲しい』『アイツはそういう絡みで楽しませて欲しい』という欲望を、視聴者に抱かせる土壌になってるんだな。
そして、それをしっかり拾って外さない広げ方をする。
やっぱダンデビはキャラを好きにさせる努力を欠かさないし、狙い通りのところに当てるのが巧いね。

多人数がワイワイし続けてるだけだとお話が拡散していくので、主役と脇役をはっきり分けて描写し、舞台の構図を確定させるのも今回の仕事。
王冠を手にヒロインと踊るレムと、三人まとめて登場しネタを披露し帰る三馬鹿との扱いの差を見れば、誰ルートなのかは一目瞭然ですな。
『可愛いボーイズと個別にロマンスしたい人は、ゲーム買ってねマジ!!』ってことなんだろうけど、キャラの魅力を引き出すエピソードに尺を使い、大事に育てたおかげで噛ませ犬という感じはしない。
正体バレたらソッコー消えた犬含めて、ここらへんの処理は非常に巧いと思う。

ネタ方向でひとしきり笑わせたら、おもいっきりベタなロマンスに頭から突っ込むのがダンデビ流。
恋心をむっつりで覆い隠してワルツに興じるレムくんの、『やったー! 勝った、勝ったんだ!! 主役レースに勝ってルートを確定させたぞー!!!』という心の声を、俺は確かに聞いた(多分幻聴)。
リツカのポエジーな内面告白多めにして、レムだけに高鳴る胸の内を分かりやすく説明してたのはグッドやね。
感情とムードを高めて高めてから、パステルな空間に入るデュエットの使い方も素晴らしい。
ギャグ方面だけではなく、ロマンス方面もしっかりやり切る抜かりのなさこそ、ダンデビの強みだと思います。

それにしたって、男どもの奇抜なファッションショーのネタ力は強かったがな。
レムとウリエの『エヴァンゲリオン初号機かよ!!』と突っ込みたくなる肩パッドが一番目立つけど、ニーサンの中世風衣装とかも相当なもんだった。
モブたちは普通にタキシード着てるところ見るだに、兄さんわざわざ選んであの服……イタリア貴族風の胴衣……ジュリエット気取りでウキウキで準備していた可能性が……?


ネタとロマンス。
ダンデビを支える二本柱をたっぷり楽しませて、『こういう楽しいお話が、ずっと続けばいいのになぁ……』と思わせたところで、手早く戦闘に入る終盤。
この流れは非常に落差のある展開で、アズナ死亡というショッキングな事態を飲み込ませるパワーがありました。
日常が楽しければ楽しいほど、それを奪う非日常は鮮烈で残酷になるというね。

あまりにおバカ男子との日常が楽しすぎて忘れてましたが、このアニメは魔界と吸血鬼が世界の命運を賭けて争う過酷な戦場。
魔界ジャイアンのツンバカとか、キモい堕天使のキモさとか、エクソシスコンとか、クリスタル将棋とか、長野とか、しいたけとか、ネタ要素が強力過ぎるので、忘れるのもしょうがないけどね。
キャラの魅力を存分に引き出し、メインルートを確定させる前半は、そういう部分ひっくるめたこれまでのお話しの総括であり、『このアニメの何が楽しかったのか』を視聴者に思い出させる展開だといえます。

そこからさっと話の流れを転換し、後半怒涛のシリアス展開に視聴者を飛び込まさせるために、アズナという生け贄をしっかり殺すのは、必要だし大事。
キャラの配置を見た時、薄情な話だけど第一被害者はアズナになるだろうしね。
そういう納得感は与えつつも、『どーでもいい奴が、どーでもよく死んだ』という感じにならないよう、これまで体を張ってリツカを守らせていたわけですな。
パンツ仮面に貫通された時に血が飛沫き、髪が肌蹴るのはダンデビらしい、わかりやすい性のメタファーだったな。
これが異世界に関係ないただの友達だと、そこまでショック受けない気もするし、アズナの生と死の描写は、凄く効果的にカードを使ったと思う

手早く効果的にアズナを殺したことで、『これから始まるグリモワール争奪戦で、もしかしたら死人が出るかも』というサスペンスが生まれたのも、なかなか面白い。
今回レムルートが確定したので、三馬鹿やニーサン、犬にも死亡の可能性が出て来たと思うのよね。
恋愛関係で勝ち馬が決まり、緊張感が抜けそうなタイミングで、ちゃんと別のテンションを用意する手際は素晴らしい。
……レム死亡で悲恋ルート、リツカも死亡で世界リセットルートもあり得るか。
あんま死んで欲しくないんだけどなぁ、僕あのバカたち好きなので。

そんなわけで、間抜けで楽しいこれまでの世界と、真面目で厳しいこれからの世界をしっかり見せる、潮目の回となりました。
抜けた空気にブッたるんでいた視聴者を最高のタイミングで殴りつけ、このアニメがどういうふうにまとまるのかを肌で分からせる、良いエピソードだったと思います。
残り4話か5話、アズナの死体の上にどういうお話を咲かせるのか、哀しみつつも期待が高まる後半開始でしたね。