イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

K RETURN OF KINGS:第9話『Kids Room』感想

人類の革新を巡るクランバトルアニメ、緑のクランが玉を獲った後の第9話。
一ヶ月の間に緑チームは色々ぶっこみ、異能者はポコポコ生まれるわ、権力者たちは切り崩されるわ、やりたい放題し放題。
どうやらガチ裏切りだったっぽい猿比古は名塚声の忍者と協力プレイで中枢に滑り込み、シロは逆転の秘策を練り上げ、八田ちゃんはいつもの様にキレる。
そして宗像さんはツダケンを副官に引っ張りあげるだけあげて、反省の色なしであった。

今回はどっちかって言うと緑回でして、JUNGLEクランの組織構造とか、Jランカーのほんわかホームが何処にあったとか、色々見えました。
『人類に石版由来の超能力をとにかく与えて、グッチャグッチャの修羅界にしようぜー! ソッチのほうが面白いし!!』というのが、緑クランのモチベーション。
まぁわざわざポイント制のゲームなんていう、悪趣味なモティーフ選ぶくらいだからろくでもなかろうとは思っていたが、想像以上の思想性のなさだ。
それでも現世利益と権益をバラまいてやれば、権力者は食いついてくると考え実際に布石も打つ辺り、緑クラン優秀だなぁほんと……聞いてんの宗像さん?

共同溝の中のキッズルームはなかなか衝撃的な絵だったけど、嘘くさいあの部屋と同じように、緑(+灰色)クランの関係も嘘っぱちなのだろうか。
そこら辺は話の圧力が高まらないと見えてこない地金だが、あいつらのアットホームな空気は好きなので、嘘であってほしくないなぁ。
世界を道連れにチキンレースしているくせに、妙に呑気というか家族ごっこを大事にしている彼らの姿は、憎みきれない敵役してて、二期が好きになる立派な足場なのよね。
それが歪なものだってのもわかるけど、それ言ったら青も赤も白銀も、みんな胡散臭いわけだし。
猿比古という異分子を迎え入れたことが破滅の第一歩になるんだろうけど、緑一家が好きな視聴者としては、優しく踏んでほしいなぁ。

猿比古は自棄のやんぱちになって、数字稼ぎだけやってれば偉くなれる緑クランで一気に出世してました。
彼が中に入ることで緑の心臓が見えてくるからありがたい動きなんだが、どう考えても拗ねてるだけってのがこのアニメらしい。
本格的に絶望したというよりは、八田ちゃんを挑発できるから腰掛けにしてた青が想像以上に居心地よくて、ちょっとは信頼してもいいかなーって思ってたところに宗像さんのキレ芸がドーン!! と来た反動ってのが、最高に面倒くさいです。
あまりにもクリティカルなところに切り込んだし、紫ちゃんも『チート上等裏切りOK、それが緑のやり方DEATH』みたいなこと吹いてるので、まだ伏兵という線を捨て切ってはいないけどね。
これで赤・青・緑のクランズマンを経由した、唯一の三色能力者か、猿比古。カッコいいな。

赤・青・白銀連合ってあまりにも強力なので、敵役の緑が増強された今回は良い話だと思います。
勢力が拮抗していないと緊迫感は生まれないし、適切な手段でズンズン切り込んで目的へ着実に近づく描写があるのは、やっぱり有り難い。
忍者の保釈も猿比古の裏切りも、ここらへんの勢力均衡策の一環だろう。
とは言うものの、緑が強まると平行して他がアホになりつつあるので、味方サイドもそろそろ妙手を刺して欲しいもんだ。


とか思ってたら、シロが学者キャラを活かして秘策を練り始めた。
まぁ過去の逃亡だの第一発見者だの、石版自体にモチベーションあるのキミくらいしかいないからね。
ドレスデン石版ってこのお話しの中心にある割に、キャラクターのモチベーションはクランやライバルキャラに向いているわけで、設定的にも感情的にもシロくらいしか直接対抗するキャラがいないんだなぁ。
クリスマス攻防戦でボーッとしてた結果株が下がったけど、自分にしか出来ないことを積極的に頑張る姿は、かなり好感度高い。
個人的にはもうちょっと焦ってもいいとは思うが、いつでも余裕の白銀クランというのが、彼らの売りなのだろう。

そして宗像さんは社会的立場もクランの存在目的も大ピンチなのに、ふんぞり返って余裕ヅラだった。
副官は『一人監獄学園』としてオッパイ揺らしまくって頑張っているのに、お前の仕事はニヤけづらで嫌味を言うことか!! と言いたくなる。
猿比古が露骨な伏線なので、ここでのイライラは後々株を上げるためのタメなんだろうけどね。
メガネが抜けたのでメガネを足す動きは、意味ありげにウロウロしてた善条さんを表舞台に引っ張り上げるグッドムーブだしね。
あのメガネの『押忍、宗像さん殺す役やります。猿比古にも淡島さんにも汚れ役はやらせません』オーラは、キャラの役割がはっきりしている二期追加メンバーらしい見せ方よね。

アンナは今回描写がなかったので、赤のクランは八田ちゃんがイライラしてるのと草薙さんが色々仕事しているのが分かっただけであり、これはいつもの通りである。
公式は淡島×草薙を推したいんだろうが、お互いクランのことを第一に考えているのがよく分かる分、いまいち絡みの温度が上がり切らない印象を受ける。
暴走しがちなメンバーをそれぞれ抑える立場なので、良い意味でも悪い意味でも大人なのが影響してるかな。
赤青連合(特に青)が崩壊しないですんでいるのは、九割くらい副官コンビの仕事なので、そろそろ飴上げてくださいって感じだ。

そんなわけで、石版を奪った緑が好き勝手絶頂しつつ、主役サイドは反撃の準備を整えるエピソードでした。
僕は緑クランがキャラ的にも物語役割的にも好きなので、たっぷり掘り下げてくれたのは嬉しかったなぁ。
面倒くさい拗らせホモをさらに拗らせた結果、すっかり裏切り者となってしまった猿比古はどうなるのか。
日本っつーか世界全体が変質しようとする中、主役たちはどういう手を打つのか。
取引停止レベルまで落ち込んでいる宗像株は、なんか逆転ホームランでバク上げするのか。
いろいろ今後が気になる、一ヶ月後の世界でした。