神と人と神器が織りなす縁の物語、第9話目はヤトとエビスの地獄旅行、もしくはひより毒蛇に噛まれるの巻。
悪の黒幕かと思ったえっべさんは思いの外面白いニーチャンであり、ヤトとは野良を通じた神器兄弟であったという。
野良が釘宮声のビッチで独占欲強い病み属性という、俺を殺すためだけに生まれてきたキャラ過ぎて最高です。
水使いの能力もカッコいいしなぁ……。
クソみたいな愛情監禁生活から抜け出すため、ヤトに課せられたミッションは冥府下り。
地獄門の前でビビりまくっているヤトの小物っぷりが愛おしいが、命惜しさはそれだけ今の生活を愛おしく思っているということ。
ここらへんの執着が、代替わりを当然と思っている恵比寿との対比になっているのは面白い。
えっべさんはなんであんなに、自分の痛みや死を軽く扱うんだろうね。
イザナミが食堂のおばちゃんに見えた辺り、現世で大事な人がそんなにいないってのは解るが。
『冥府の言の葉を盗み出す』という恵比寿のミッションは判るんだけど、自分の命をボーボー燃やしてまで妖を使役する動機自体は、未だ判んない。
今回見せたコミカルな感じ、神器との関係を見るだに悪人というわけではなさそうだが、では一体なぜ仮面の術に拘るのか。
『What』や『Who』は今回すっきりと見えたけど、『Why』が未だ残ってる感じだな。
ここら辺は高天原の強制執行が行われたり、ヤトともっと絡んだりする次回以降見えてくるところだろう。
散々『神も人間も亡霊も妖も、みんな揃ってみんなクソです！！』と描写されてきた世界なので、神様のキラキラした暴力も相当ろくでもないんだろうなぁ……。
振り回されつつ恵比寿のことを心配し、かばい続ける大黒ゴッドが天使すぎて眩しい……。
ヤトが必死こいて戦う中、その心の拠り所一号は記憶がどんどん薄れていった。
『まるでKeyのゲームのヒロインみたいだぁ……』と身もふたもない感想を抱いたりしましたが、信仰で生き延びている神様にとって、忘却は即ち死。
それを知っていてもなお、一ヶ月合わないだけで記憶が塗りつぶされていく辺り、ノラガミ世界のルールはマジで残酷だ。
前の話でヤトの過剰な寄りかかりを見せているのが効いてて、一概にこの状態が悪いと言い切れないのも巧い。
『人と神の間に一線を引くべき』という正論の代弁者が道真公で、彼にとってこの忘却は好ましいので放置するわけだな。
ヤトが冥府ダンジョンを下りバケモノをぶっ殺す派手な姿と、制服も変わって友人と穏やかに過ごすひよりの日常との対比は、二人の距離をうまく見せていました。
人間と殺しの神という生まれの違いは、彼らが身をおく世界自体に、痛ましいほどに強く刻印されている。
それを乗り越えて出会った二人の思い出も、たった一ヶ月合わないだけど薄影のようにぼやけていく。
それでも繋がる気持ちを縁にヤトは戦い、ひよりは思い出そうとする。
楽しいはずのパレードがうっすらと遠い演出とか、ひよりパートは非常に繊細に運営され、荒々しいヤトパートと綺麗な対比になっていたと思います。
そこに付け込む毒蛇ッ！！
いやまぁね、妙に艶めかしい表情がラッシュで来てたから、ガブッと行きたくなる気持ちもわからいでもないが、弱ってる獲物に噛みつくのはハンター的にはNG。
先輩からはひよりが心を寄せる彼岸の出来事は見えないし、ひより自身も言葉で説明できるほどはっきりと忘れているわけじゃないところが、奴の暴挙を正当化しにかかりよる。
これまでのヤトひよを見ている（そして好ましく思っている）視聴者としては、いきなり横合いから噛み付いてきたヴァイパー野郎は認めるわけにはいかんのよ。
しっかし思い出せぬ記憶で悶えるひよりはエロカワだったなぁ……ああいう色気のある作画が出てくると、ヒロインとしての説得力がグンと上がってグッドナイスだ。
しかし先輩、本当に彼岸のこと知らない一般人なのかな……？
この話の要はどう考えてもひよりなので、ヤト曇らせ隊が狙ってくるのは彼女だろうし、"ととさま"って隊長もいるしで、謀略の匂いを感じずにはいられない。
ヤトたちが属する彼岸と、ひよりがいるはずの日常両方を大事に描写しているアニメなので、日常サイドの何でもない一ページとして処理される可能性も無きにしもあらずだが……うむむ。
ここら辺も次回以降を見ないとわからんが、あんまひよりに酷いことしないで……僕あの子好きなの……。（多分叶わぬ願い）
そんな感じで、日常と非日常、二つの岸に別けられつつもお互いを思う二人のお話でした。
雪音くんとメガネが仲良くなったり、えっべさんの萌えキャラっぷりが加速したりしつつ、次回以降への種を大量にバラまく回だったかな。
恵比寿の行動の理由とか、先輩の背景とか、二人の行く末とか、気になる力が非常に高まるエピソードでした。
しかし毒蛇は許さん……マジ許さん。
