イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第76話『ハッピーバイバイXマスなの』感想

電子で再構築された楽園に子女が舞い踊るアニメ、今週はあろまげ回。
『四人目まではいい塩梅に埋まったけど、五人目の天才いうても全員BAKAかGOBIに入れちゃったよ!』というひびきの嘆きを受けて、あろまの株を上げる話でした。
おかしい……あろみか話なのに湿度が高くない……。

今回の話は五人目としてあろまを向かい入れる理由をひびきが積み重ねる回でして、同時にネットリした共依存関係にあるアロマゲドンを穏やかに切り離す回でもある。
第46話以来の登場となったあんこみるくの園児コンビは、今回もあろみかのシャドウとしていい仕事をしてくれました。
ここであろみかが直接別れるとなると、またみかんのニンフォマニアとあろまの介護依存が大爆発してスゲー面倒くさいことになるので、代理人に離別させるのは巧い手筋だ。

『運命の糸で繋がってるから、お別れしてもOK』というのは園児に向けた言葉であり、同時にあろみかの離別を問題なく着地させる魔法の言葉でもあります。
常にセットで描かれるあろみかは奇妙な湿度と相互依存の空気が張り付いていて、チャーム(もしくはタカトミ様)の都合でチームを分けるとなると、色々面倒くさい。
それが魅力でもあるわけですが、今のメインはあくまでひびきの天才チームであって、あんまり時間を使って小学生女児の心に深く食い込んだ愛と依存を描いてる尺はありません。
なので、『運命の糸』という印象的なワードとキチった展開を巧く使って、コンパクトに爽やかにまとめた今回は、テクニックを感じる良い回だったとおもいます。

園児の面倒を見ることであろみかのお姉さんっぽさが出ていたのも、お話しの都合にキャラ描写をしっかり乗せる手管を感じてグッドでした。
お別れを肯定的に受け入れられる精神的成熟と同時に、闇の中であろまを感じる濃厚な関係も描写されていて、あろみか推しとしても安心の展開だったな。
あのシーン、ガチでオカルト的な能力が発現していたとも取れるし、視界ゼロの中であろまの声を頼りに定位しなおしたみかんの天才描写とも取れるし、面白いシーンだった。
ていうかみかんはあろま好き過ぎだし、あろまはみかん好き過ぎだ……コンビ回ってそういう濃度が必要なので、すっげーありがたい。


唐突にカラスが出てきて、唐突にハンググライダーする流れはプリパラらしい良い雑さでしたが、空を滑っていくシーンの気持ち良さが、爽やかな別れという今後の展開に巧くつながっているように思いました。
自由に空を泳ぐあろまの闊達な姿を視聴者が体験することで、まほちゃんチームに入ってもなんか良いことありそう! という錯覚に繋がるのはいい演出導線だ。
そういうことは特に考えず、『思う存分キチった展開がしたい……あろまに脈絡なくハンドクライダーさせたい!!』という欲望から生まれた可能性も、このアニメプリパラなんで否定出来ないけど。
マジ言い訳レベルで突っ込まれるライセンスと航行法許可とか、女児アニらしいゆるさで素晴らしかったな。

あろみかがいい具合に熟成してくれた空気をちゃんと拾って、ジョーカーとしてのみかんに納得していくまほちゃんは、話の都合がよく読める良いキャラだった。
『語尾嫌い・バカ嫌いを強調しすぎたせいで、グランプリの参加条件を満たせない』というのは長期シリーズらしいキャラの暴走なんだけど、そういうアラにちゃんと目配せをして、急ごしらえとはいえ物語的言い訳をしっかり付けるのは、プリパラらしい落ち着いた話運びだ。
すごい勢いで『みかんが天才チームに参加しなければいけない理由』を自発的に積み上げる姿に、ストーリー進行に超協力的な優良PLの姿を幻視するぜ。

そんな感じでウィンターグランプリに向けて、天才VS努力の構図がようやく整う回でした。
あろみか回としても満足の仕上がりで、コンビで投入されたが故の人格的癒着が少し剥がれ、精神的成長を感じ取れる爽やかな展開が良かった。
残りの尺とひびきの掘り下げを考えると、冬は天才チームが取ると思うわけですが、大事なのは勝ち負けではなく、どう勝たせるか、どう負けさせるかという中身だと思います。
かなり丁寧に積んできたみれぃの曇りフラグを活かせるような、今後に繋がるグランプリになって欲しいですね。