現実的な正義の味方が法律の隙間をすり抜けていくアニメ、今週は楽しい鉄ヲタの愉快犯罪……と思いきや、遂に世界の都合の悪い部分が牙を向いてくるお話。
『前回巨大ロボットで今回鉄かぁ……正直、あんま鉄分は教養ねぇから分からなんなぁ……』とか思いながら見ていましたが、あれよあれよというまに被疑者は死亡、稲城さんが仕えてる議員先生は自殺(?)と、苦々しい結末で終わりました。
遂に死人が出たことで、お話しの方向性がガラッと変わりそうな予感ですな。
お話の方は人造物全般に情熱を燃やすオペレーター・星宮はるかさんの個別回……なんだけど、犯人とのつながりになる無機物への情熱が巧く翻訳されていなくて、正直良くわかんなかった。
前回『巨大ロボット』というネタを『滅び行く存在への郷愁』という一般的な感覚に巧く接合し、ネタ知らなくても飲み込めるように料理していた分、今回は素材のまま叩きつけられるゴツっとしか感触が目立ちました。
お話が暗い方向に舵を切るタイミングと重なってしまい、前回のようにある意味脳天気な展開ができなかったってのもあるんでしょうが、正直少し惜しい。
ただ、久々に政治的なゴニョゴニョを口八丁手八丁で言い負かし、アイた隙間で自分たちの仕事をする展開が来たのは良かったです。
ウィルウェアという夢っぽいアイテムと現実の世知辛さの組み合わせは、"パトレイバー"や"ダイ・ガード"などの先行作で既に使われた要素ではあるんですが、同時に何度見ても楽しめるベーシックで力強い要素でもある。
航空法を持ちだして都知事の腹案をやり込めたと思ったら、より大きな陰謀に事件後と丸呑みされる展開含めて、良い苦さだったと思う。
ロゴス(というよりもその一員であるドック)にしてやられたダイハチですが、意味ありげに緑川光を使ってる稲城議員秘書が顔を出したり、彼が使える議員さんの自殺がきな臭すぎたり、より大きい闇を感じさせる展開でした。
掘り下げようにも縄張り意識と捜査権限が邪魔をして、なかなか核心に迫れない描写が入る辺りこのアニメらしいですが、都知事がまるっと得をする今回の事件が、どのくらい偶然でどのくらい陰謀の結果なのかは、今後明らかになってくるでしょう。
ドックの独断専行(という表現もおかしいか、ロゴスの実態は自由な犯罪サークルなので)にミュトスがイラッと来てた描写もありましたが、敵サイドも今後荒れてくるんでしょうかね。
いつものように脳天気な展開と思わせておいて、一気に潮目が変わる回でした。
これまでの話も楽しく展開しつつ、『ダイハチが立ち向かっている敵は、重たく黒い』ってことはしっかり描写してきたので、急という感じはあまりしません。
よりハードさを増すであろう展開に、海千山千のダイハチメンバーがどう対峙し、どういう顔を見せてくれるのか。
気になる所です。