イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-:第11話『ジャパンスタイル』感想

時代遅れのはぐれものが、姿なき征服者にジャックされた日本を取り戻す物語、第1クライマックス開始! というお話。
デジタルインフラを全て抑えこんだロゴスに対し、戒厳令下の混乱に乗じて操作を進めていくダイハチと、それをゲームの駒として遊び倒すロゴス。
混乱の中ですら規約と前例が支配する日本式組織の中で、実は似たもの通しな正義と悪の追いかけっこはどっちに軍配が上がるのやらつうエピソードでした。

今回はこれまで積んできた要素を的確に使いつつ、ストンストンとお話が転がっていくテンポが気持ちよかったです。
捜査で一番目立っていたのがこれまで見せ場の薄かった協会さんだったり、嫌われものの一匹狼だからこそタイムリミット前に動くことが出来たり、待ちに待ったダイハチのウィルウェア全員集合だったり、これまでのお話の中で作ってきた空気をフル動員して、クライマックスを盛り上げていたのが良かった。
ダイハチのウィルウェアは全員能力も外見も違う凸凹感が魅力だと思うのですが、しっかり殺陣を組み立てそれぞれの得意分野が光るように配置したのは、アクションがドラマを作っててグッドなポイントでした。

瞬間盛り上がる楽しい要素を配置しつつ、きっちりした構造を常に意識して話を回しているカッチリした感じは、作品全体に共通するところですね。
細かいギミックにしても、第6話の催眠導入装置とか、第8話のIFF誤認とか、過去エピソードの伏線をしっかり回収していたのが、とても気持ちよかったです。
ギミックレベルでもしっかり過去に言及することで、お話が目の前の事件に収束している感じと、過去の物語が現在と無関係ではない充実感につながるので、こういう細やかさは非常に気持ちが良い。

第6話の巨大ロボット、第7話の鉄道、第10話の銭湯のように、ノスタルジーを具象化するギミックとして『アナログ無線』が使われていたのは面白いところ。
世の中の主流から外れ、厄介者扱いされつつも活躍のチャンスを待っていたというのはダイハチと通じる所があり、モノを単なるギミックで終わらせず、物語的意味を増幅させながら使うこのアニメらしさが、良く生きていた気がします。
電子機器がまともに使えないアナログな状況自体もそうなんだけど、ノスタルジーを過度に賞賛することなく、良い具合の距離感で盛り上げてくれる間合いってのは、なかなか気持ちが良いものです。


キャラの動きを見ると、完全にダイハチの子になっちゃったあさみちゃんが活躍してて、とても良かったです。
横車を押してくれた長官が良い人みたいなムードだったけども、髭の上官の人も最年少キャリアとしてのあさみちゃんを案じて、現実的な対応策を教えてくれてたんじゃないかなぁ……。
この混乱が収まった後、ダイハチの独断専行はまた厄介なことになりそうだけど、どう収まるのかなぁ……ミュトスの最後の一手を跳ね返すのが先か。

バードの凝った舐めプのおかげでダイハチは事件にギリギリ追いつけましたが、ロゴスのゲーム気質が単純に人格歪んでるから生まれたのか、はたまた別の理由があるかはまだ不明。
ここら辺は今回のサブタイトルである『ジャパンスタイル』と関係してんだろうな、ミュトスブツブツうるさかったし。
劇場型のクソ犯罪者に良いように利用され、初恋を思いっきり踏みつけにされた妹ちゃんは可哀想でしたね……ホントクソいなバードめ……。

ダイハチ全員の努力でカタストロフをギリギリ回避、と思いきや、妙に目立ってた美少女マルウェアがリンゴになって計画通りッ! という展開で、次回に続く。
ロコはいい意味で印象に残るキャラだったので、キモいリンゴになってバグった喋りを始めたショックが大きく、ミュトスにしてやられた感じが強くなってました。
現実世界のアプリと連動させる演出もなかなかエッジが効いてて、創作物に夢中させるために色んな手管を駆使してくれるありがたさを感じる。
今回の盛り上げ方が良かったんでついつい満足しちゃいそうだったんですが、こういうパンチのあるやり方で『まーだ終わってないッ!』と分からせてくれると、緊張感が持続できてグッドだわね。

と言うわけで、大激戦の果てに一件落着……に見せかけて王手詰めを仕掛けられた回となりました。
こっからどういう手筋で何が起こるのかと、ミュトスの犯行動機はなんなのかが気になるところです。
二話前まではキモい犯罪者としか思えなかったけど、ちょっとの尺で人間味や共感の足場ってのは出来るもんだなぁ……演出巧いや。
さらなる苦境がダイハチメンバーを輝かせてくれるとも思うので、来週のセカンド・クライマックスが非常に楽しみです。