イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイカツスターズ!:第20話『情熱とプライド!』感想

千里の道も一歩から! 地道な積み重ねが未来をつくるアイドルアニメ、今週は女優・如月ツバサのお話。
若くひたむきなツバサ先輩の情熱が、見学に来てたゆめに学びを与え、燻っていた老優に火をつける……って話なんだと思うけど、あんまスマートな運び方とはいえなくて、狙ったところに落ちていない感じを受けました。
あんま良くない意味で『普通』というか、大人のマイナスポイントをアイドルがゼロ(もしくは微プラス)にする話は、達成感が薄いですね。

今週はツバサ先輩に重点を置いたお話でして、最高に感じ悪い太陽さんが頑張るツバサ先輩を認めて、もう一度俳優業に燃え上がるお話。
なんだけど、太陽さんが腐っている理由が具体的に説明されなかったので、そっからの復帰にカタルシスが乗らなかった感じがします。
一年生組の誰かがファンだとか、過去プロ意識のないアイドルに引っ掻き回されたトラウマがあるとか、もうちょっと具体的なフックがあったほうが、ツバサ先輩がどういう偉業を成し遂げたのか、より分かりやすかった気がする。

前回のゆず&劇組話ほどトンチキな元気の良さがあるわけでなし、関係性が見える気持ちよさがあるでもなし、シンプルな筋立てと言うにはちと味気ない感じで、正直もったいなかったです。
ツバサ先輩が乗り越える試練も人事を尽くしたけれども襲い来る感じではなくて、露骨に予算とスケジュールがネックのB級アイドル映画であり、『そら太陽さんも腐るよな……』と変に納得してしまったのは、多分お話の狙いではないと思う。
ステージノルマが変な形で入ったのが、最高にアイドルフィルムっぽさを上げててなぁ……いい曲なんだが、ハードなアクションモノの主題歌は合わんだろ正直。


一年組が現場に行く理由はセリフで説明されてましたが、そこをはみ出してツバサ先輩に助け舟を出す要素が一切なく、ただのお客さんだったのも残念でした。
確かにアイドル一年生のゆめ達が、初めての映画撮影の現場で『見学のお客さん』以上になるのは難しいかもしれないけれども、あの子ら一応主役なので、何らかの形でお話の流れに寄与して欲しかった所。
今回手に入れたコネなり経験なりを別のエピソードで活かすにしても、棚ぼた式に手に入れたモノより、ちょっとでも能動性を発揮して掴みとったモノのほうが、見てて心も動くと思うが……。

ツバサ先輩自身は『努力と勇気の人』というキャラクター性を活かして、真っ直ぐに役者道を歩んでました。
あの人の凡人な所も、『アイドルの天井』だからと言って世界全てを動かせるわけではないところも、作品の味として僕は好きです。
ツバサ先輩の話としては癖なく直球で悪くないんだけど、シナリオヒロインに当たるたいようさんとか、ツバサ先輩から学ぶ立場であるゆめ達まで目配せが効いていない、どうも横幅の狭い話だった気がするなぁ、今回は。

そんなわけで、あんまり切れ味鋭いとは言いかねるエピソードでした。
ロングスパンで話を回していく以上、仕上がりにムラが出るのはある程度以上当然なんだけど、シリーズ全体の中でその話が存在している意味みたいなものを、努力して読み取るのではなく自然に感じ取りたいなぁなどと、贅沢なことを思った。
来週はローラVSゆめのライバル対決回になりそうですが、劇場版のブーストもあって美味しい題材です。
キャラの魅力を引き出しつつ、新鮮で横幅広いな切り口で料理して欲しいなと思います。