イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

チア男子:第10話『君に伝えたかったこと』感想

スポ根男子の生き様は色あり恋あり涙あり! ついに終盤戦に差し掛かってきたチア男子、今週は全国予選と翔の迷い。
お話も最終盤ということで、まずはエースのクエストを解消するべく、堂本パイセンが色々突っかかってくるお話でした。
キャンキャンうるさい花咲くんも含めて、嫌な感じの人間が一人もいないで話が収まるのは、非常にチア男子っぽくてよかったな。

と言うわけで、お話しの序盤から浮き沈みしてた翔のトラウマを、綺麗に解消するお話でした。
匂わされつつもきっちり掘り下げられなかった部分であり、最後のライバルになるSPARKSのキャラを立てる意味でも、ここで一気に掘り切るのは良いタイミングでした。
翔はBREAKERSのエースでもあるので、彼がトラウマを乗り越えればチーム全体のパフォーマンスが上がり、勝てる見込みが出てくるっていう、一種の修行展開も踏めるしね。

翔が追い込まれる過程で『チアーってどういう競技なんだろう』と、再確認も出来る話運びになっていたのは、なかなか良かったです。
完璧なパフォーマンスを過剰に追求するのではなく、心に訴えかける競技という根本に立ち返ることで、翔も自分を取り戻しさくらちゃんに向き合える。
個人のドラマと作品のテーマが巧くシンクロして、物語の全体像を再度実感できるお話になっていたのは、満足感があってよかったですね。

今回の話はヒロインであるさくらちゃんがとにかく魅力的で、伊瀬茉莉也パイセンのドスの効いたヤンキー演技とあいまって、明け透けでキュートなキャラでした。
ああいう前向きな子のために悩んだり頑張っている姿を見ると、男の子の方も応援したくなるのが恋愛展開の良いところだ。
あんま絡みがない千裕ちゃんよりも、翔の挫折と復活に深く食い込んださくらちゃんのほうが、ヒロイン力高く感じるまであるなぁ……もうちょい目立ってもいいよ、千裕ちゃんは。

最終決戦が近いのもあって、ライバルを担当するSPARKSを翔の過去と絡め、一気にキャラ立てしてきたのも面白かったです。
最初心無い言葉をぶつけてくるイヤな奴と思わせておいて、堂本パイセンも花咲くんもチアーを本気で愛する、気のいいやつだと判る起伏が良かったな。
この話の性善説なところというか、善人だけで話を構成しているネアカな所が結構好きなので、ライバルも他人を思いやれるキャラクターだったのは、なかなか嬉しい。
今回グッと内面に踏み込んだ描写をしたことで、SPARKSも書割からキャラクターに変化してくれたと思うので、決勝でぶつかった時もダンドリ感なく対決を楽しめるだろう。
地味だけど、こういうキャラ立てをストーリーの中でしっかりやるのは、盛り上がりのためには必要だし大事だ。


新キャラクターも目立ってましたが、主役二人も翔をきっちりチアーアップし、悩みを乗り越える手助けをしてました。
前回自分のクエストを解決したカズが、いつも通りの人間力の高さを取り戻し、ガンガン踏み込んで解決の道筋付けてくれたのは、頼もしくありがたかった。
やっぱカズが持ち前の目の良さを発揮して問題を見つけて、適切な対処を取ってサクサク話が進む基本形は、テンポが良く進んで気持ちがいい。

ハルも姉ちゃんの凹みっぷりに悩みつつ、翔には持ち前のチアーの才能をむき出しにして、必要なエールをしっかり送ってました。
場が停滞しそうなときに何も考えず、気持ちのこもった言葉を形にして届け、話しを先に進める。
才能型主人公がやるべきことを、やるべきタイミングでしっかりやってくれて、終盤でもハルカズコンビの頼もしさは健在のようです。

翔にとってさくらちゃんとの過去を乗り越えることがメインクエストだったように、ハルのメインクエストは姉を真っ正面から応援することだと思います。
姉を前に堂々と『チアをやっている』と言えれば、ハルの物語は頂点を迎えるのだとこれまでもチラホラ描写されてきたので、ここで姉ちゃんがすごい勢いで悪オチするのはまぁ納得できる展開。
『他人を不安にさせるのではなく、勇気を与える競技』がチアーの本質なんだというのは、今回確かめた部分でもあるので、コンプレックスを乗り越え、一番伝えたい人にエールを届けてほしいものだと思います。


そんなわけで、BREAKERSのエースがトラウマを完全克服し、己の物語をゴールに導くお話でした。
色んな人が過去のわだかまりを乗り越え、『君に伝えたかったこと』を言葉にする展開とサブタイトルが噛み合ったのが、すげー良かったな。
翔とさくらちゃんというメインカップルだけではなく、堂本先輩やコーチのトラウマも解消されて、気持ち良く決勝を迎えられそうです。

とは言うものの、主人公は『君に伝えたかったこと』を、姉ちゃんにいまだ伝えられずにいます。
姉と弟の複雑な関係は、これまでのエピソードでもしっかり積み上げてきた要素なので、思い切り気持ち良く解決して欲しい所。
決勝という大きな頂が迫る中、主人公が自分の物語を走り切った満足感を僕らも受け取れるのか。
残り話数も少なくなってきましたが、チア男子、まだまだ盛り上がりそうですね。