小林さんちのメイドラゴンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
勢い重点な一話に比べ、落ち着いた筆運びで彼女たちの日常、出会いの意味をじっくり見せるエピソード。
ACCAもそういう感じに見えたけども、僕がお話と世界に慣れたからか、初手で掴むのが大事だからなのか。多分両方だろう。
太物むっちりロリータ・カンナが投入され、賑やかな世界がより賑やかに! というよりは、トールと同じ立場のカンナがいることで、より縦深をもって人間とドラゴンの距離感が描けるようになった印象が強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
過去を共有する存在がいればこそ、それを知らないものの情と無知が浮き彫りになってくる。
今回のお話は小林さんとトールが、非常に平和で優しい日常を共有していると示すところから始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
トールは商店街という『外部』にも許容され、トールもまた、人間社会での立ち居振る舞いを身につけ、異物ではなく同胞として遇し、遇される。
小林さんが危惧した排斥はそこにはない。
しかしカンナの到来により、トールが殺害・排斥されて人間世界にやってきたことが見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
優しくない世界は存在しないわけではなく、別の場所に存在していて、ドラゴンはそこで傷ついたからこそ、人間の懐で温まったのだ。
優しさを無条件なものとはしない描き方は、凄く冷静だと感じた。
優しさが意思によって選択されればこそ、意味があるという視座は、捕食者・超越者としてのドラゴンと、か弱い人間の対比を入れ込むことからも感じ取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
蟷螂と蝶のように、傷つけ傷つけられるカルマを背負った、ドラゴンと人間。
穏やかな草原の景色の中で、小林さんの視界に残忍が映る。
その上で、小林さんはトールもカンナも己の懐に抱くことを選び、トールもまた人間社会で牙を収めることを選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
そこにあるのは無条件の『反応』ではなく、傷や残忍さを見据えた上での『選択』である。
その先に、蝶が空を泳ぐ自由があり、ぼんやりと温かい小林家の日常がある。
こういうリアリティの入れ方は、視聴者の傷を癒やす幻想として『日常モノ』を描く上では異物だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
ただ優しく、ただ暖かく、ただ柔らかい世界の需要/受容は、たぶん僕が考えているよりハードに強い。
しかしそういう形でしか京アニが描けないってのは知ってたし、その強張りに僕は安心しもする
カンナのいかにも子供な可愛らしい仕草、トールの揺れる胸、小林さんの大仰なツッコミ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
そういう戯画に体温を宿し、声高にではなくしっとりと、人と人(それが鱗の生えた人だとしても、だ)がともにあることの意味を宿すためには、多分こういう語り口が大事だし、僕もまた好きなんだと思う。
カンナとトールは異物としての己を隠しつつ、異能で空を飛んで、小林さんの会社をただ見て帰る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
ストレンジアとしての己を理解し、肩を潜めた慎ましいありかたをしかし、小林さんは見逃さない。ドラゴンたちもまた、小林さんの聖域を乱さず、ホームで期間を待つことが出来る。
その流れから見えるように、この話は優しい話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
小林さんは器量がでかくて、トールもカンナもドラゴン精神をたぎらせつつ人間を尊重してくれる、出来た輩だ。
商店街の人たちもそれを無碍にするわけではないし、ドラゴンたちの正体が暴露され、傷が開くこともないだろう。(少なくともしばらくは)
しかしだからといって、優しさだけが無条件に反応するわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
ドラゴンが超越的生物であり、破壊と死に近い存在なのだということは、リキの入ったアクション作画のからにじみ出ているし、カンナが共有するトールの過去、ドラゴンが排斥される世界も、遠くに、しかし確かに存在する。
異物が異物であることに目をつぶり、語らないことでその不自然さを際立たせてしまうよりも、異物が異物でありながら、他者と世界にどうにかして同化しようと足掻く選択と努力を見たときのほうが、僕は面白く温かい気持ちになるのだと、今回このアニメを見ながら、再確認した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
ドラゴンと人間にだけではなく、差異と異質性はあらゆる場所にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日
それをすべて消し去った場所は、『どこにも存在しない場所』という意味合いでしかユートピアではないだろう。
この話は理想郷の話だが、多分どこかにある物語だと信じられる体温と志を、頑張って作り出していると僕は感じた。
小林さんちのメイドラゴンは、とても面白いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月19日