バンドリを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
夢に出会った主人公がアクセル全開! 目につく女は全員倒す!! とばかりに青春超特急するエピソード…と思わせておいて、ギター損壊から一気に温度を冷やして良いところに落ち着けるお話。
攻略対象である有咲の描き方が非常に丁寧で、攻める香澄の良さ強さもくっきり見えた。
今回の話は女二人の距離が縮まったり離れたりする話で、その真中にバンドがあり、ギターがあり、ロックがある。かすれてしまった幼い憧れがあり、
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
優しさに素直になれない思春期があり、時には失敗もする危うさがある。
色々なものがあるが、真ん中にあるのは『星』である。
香澄は夢に出会えた嬉しさに舞い上がり、非常にテンション高く走り回る。待て→よし!のやり取りに見えるように、星を追いかける無邪気な犬のように、星型のギターを求め、その持ち主である有咲を求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
その姿は周囲を一切見ていない無神経のように、一見見える。
のだが、香澄はギターという物体ではなく、バンドに感じたときめき、それを実現可能な仲間、顔があって名前がある有咲を常に求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
興奮に浮かれているが、感情の伴わない皮相ではなく、すれ違って痛みを感じる実体を常に見ている。だから、かなり早い段階で有咲を名前で呼ぶ。
それは蔵というパーソナルスペースにズカズカ踏み込む無遠慮さと癒着しているのだが、同時に有咲本人も向かい合えない気持ちを代わりに発見・体現する鋭い視線でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
星のシールを貼り付けていた時には感じていた素直なドキドキは、薄れてはしまっているが、なくなってはいないのだ。
伸びた背丈のことを忘れて、色々複雑になってしまった世界のことを見もせず、ようやく出会えた星に夢中な香澄の危うい歩み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
複雑化した世界に絡め取られ、祖母と食卓を共にできなくなってしまった有咲。
幼さと成熟の歩幅は違うので、二人の歩みはギクシャクと衝突する。
しかし、そこには真実がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
有咲をしつこく追い回す香澄は、星型のギターだけではなく、有咲が見失っている、もしくは意固地になって見えないことにしている星を、バンドをやることで(というか友達になることで)一緒に見つけよう、と頑是無く誘い続けている。有咲ちゃんあーそぼ、とばかりに。
その無防備さと優しさは有咲から消え去ってしまったわけではなく、ツンツンしつつも卵焼きは食べるし、ギターを置くときはそっと扱うし、蔵に入ったからと言って激怒するわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
香澄の幼さは有咲の中にもあって、次第に二人の歩幅があってくる。ここらへんを橋の同ポジで見せる演出が好きだ。
一人になれる場所を手に入れるために、有咲は蔵を必死こいて片付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
一人で大人になる作業はしんどく大変で、でも素直に『助けて』とはなかなか言えない。そのプライドがあればこそ、大人になりたいと尖るからだ。
香澄は有咲のツンツンを幼い鈍感さで攻略して、粘り腰で側に居続ける。
重い荷物がシンドいと認めた瞬間、蔵に入って同じものを一緒に持った瞬間、有咲は頑なさの鎧を外し、香澄に屈服する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
それは星のシールを探していた自分の幼さを認めることであり、バンドに胸輝かせる自分を認める、ということである。主人公のアタックが実り、ヒロインが己に出会うシーンである。
面白いのはここで終えず、ギターが損壊する(と思い込む)シーンを続けることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
香澄の一直線な幼さは、世界を好転させていくだけではなく、不注意で危うくウザいものだ。大人になろうと背伸びしていた有咲はギターを丁寧に扱い事故は起きず、無造作に取っ手を持った香澄は落とす。
自分の幼さが洒落にならない被害を出す。その事実に香澄は叩きのめされて、言葉もこれまで話を引っ張ってきた前向きさも失ってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
その瞬間、有咲は香澄を名前で呼ぶ。名前で呼ばなければ、(香澄が最初からそうしていたように)無防備に相手全体を認めなければ、香澄はショックから帰還できない
それはつんつん尖って、頑張って背伸びをして世界に壁を作り、大人になろうとしていた有咲の強みだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
失敗もあるし、ままならないこともたくさんあるけど、そこで足を止めないでどうにかする手段もある。それを知っているから、一緒に呆然とするのではなく、名前を呼んで解決法を探す道を選べる。
かくして二人は再び重い荷物を持ち、雨でずぶ濡れになりながら『楽器屋で修理を頼む』という解決策にたどり着く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
蓋を開けてみれば、3000円という手頃な値段で、壊れた夢は治る。そこまでシリアスじゃない。
オークションで30万という数字を出しておいて、その手軽さを印象づけるのは上手い。
エピソードを引っ張ってきた香澄の幼さを全肯定するのではなく、不注意から損傷につながる流れ、ショックに対してあまりにシリアスな傷を見せる弱さを盛り込んで、色んな顔を見せたのはとても面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
それをカバーしケアすることで、有咲の背伸びもまた、別の強さを見せてくれる。
ギターが落ちるショッキングな音で、物語内部における牽引役・牽引される役が綺麗にひっくり返って、ウラとオモテが逆になっているわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
幼さと成熟の潮目である青春の話として、その結節点がこうも明瞭に見えるのは、凄く良かったと思う。メインキャラがそれを背負っているのが判ることも。
ギターが、そしてそれが象徴するバンド活動のかけがえなさが修理されると同時に、香澄は幼さを取り戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
オークションの手数料も払えない、ひたむきさしか持っていない危うい存在に戻る。それは失敗を内包した危ういスタイルだが、修復も効くし、手に入れるものも多い。
かくしてキーボードを仲間に引き込んだ香澄だが、バンド形式にはまだまだ人数が足りない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
僕は"七人の侍"形式でバンッバン仲間を増やしていく途中経過が大好きなので、"ハナヤマタ"くらい全員揃うまで時間使ってくれると嬉しい。あそこまで女の子がめんどくさくないので、もうちょい早いかな。
香澄が持っている青春エンジンは熱く強いので、既にメンバーにはグイグイとコナをかけ、攻略エピソードへの足場は着実にくんでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
内気な牛込さん、姉御肌の山吹さんを青春超特急が度う攻略するか。今回のツンデレ殺しはそのテストケースと言えるか。期待大の大成功だったと思う。
思いの外楽器にしっかり触り(その結果、損壊させたとしてもそれは触らないよりも意味があると思う)、バンドになっていく様子をしっかり描いてくれる二話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月29日
ギャルゲっぽい派手さが少々騒がしいが、それもテイストの一つ。星を探す少女たちの物語は、さらにBPMを上げていくだろう。楽しみだ
追記 2019GW、再視聴の感想
バンドリちゃんねるでバンドリ一期が再放送してたので、第二話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
有咲と香澄の間合いが詰まっていくエピソードである。
色々見た後だと、埋め込まれた情報、アニメ一期独特の間合いを見つけ直すことが出来て楽しい。
やっぱ一期は生っぽい会話独特の”タメ”が心地よい。ホント独特。
見返すと蔵という有咲の私的領域に、最初無神経にぶっこんでた香澄が拒絶を経てジリジリ近づき、歩み寄り、有咲もだんだん受け入れていく様子がフェティッシュに積み重なっていることが判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
一歩、また一歩。非常にナイーブな市ヶ谷有咲の怯えを、探り探り詰めていく暴走機関車。
ギター落とした後の取り乱し方から判るけど、香澄は空元気ぶん回しつつも脆い子で、感受性も強い。そういうナイーブさで足を止めないように、無理にブン回っている部分もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
学校変えたのも、キラキラドキドキを求める足を止めないための、結構な強がりだったのかもしれん。
有咲は蔵から引っ張り出してくれる”誰か”を待ち、星で誘い、ピアノが楽しかった黄金時代の再来を夢見て動けない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
ギターという物質、銭金という価値に自分が代返されてしまう哀しみから距離を取るべく、ツンツンした態度も取る。寂しがり屋のハリネズミみたいな女だ…。
そんな有咲の思春期に手を差し伸べたくて、しかしなかなかうまく接せられないばーちゃん。香澄という闖入者によって、停止していた市ヶ谷家の時間はうねり始め、孫は可能性に向かって歩み始める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
そらメシも食わせるし、家にも上げる。孫が外に出るラストチャンスかもしれないのだ。
ばーちゃんは相当ポピパと香澄に感謝していると思う。自分が働きかけても、有咲は蔵を片付けて自分の領域を作ることも、蔵から出て可能性と喜びに踏み出すこともしなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
させられなかった己の無力を噛み締めつつ、怯えながら距離を測っていた時間は、多分重たい。
香澄はそこら辺の事情な~んも考えず、ズカズカ踏み込み、結構気を使った距離計測の後、ランダムスターがぶっ壊れる不幸を幸運に変えて、有咲の手を掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
それはばーちゃんが掴めなかった手だが、彼女が見守り、支えなければ繋げなかった手、踏み出せなかった足なのだろう。
そういうのがゆったり描かれてて、『やっぱ俺一期二話好きだわ』と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
二期はサンジゲン謹製のピカピカ作画、多人数を見事に捌く業前、爆エモラッシュの揺すぶりと、上手くて強い。それに比べて、一期が見劣りするという意見も解らいでもな…やっぱそういうこという奴らは、バットで殴る。
実際クセも強いし作画もヘロるけども、最大公約数を狙いに行かなかった(行けなかった)が故のオリジナリティ、真ん中を見据えると死角になる場所への優しい目線があって、好きなアニメだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
少女と少女の間にある空気の、しなやかな可塑性。良くも悪くもなりうる可能性を、凄く暖かく見守ってる感じ。
それが劇的な色合いではなく、凄く穏やかに展開している二話はバンドリ一期の味わいを色濃く煮出している感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年4月29日
同ポジを重ねながら、香澄を次第に受け入れていく有咲、距離を測る香澄の変化を定点観測する演出とか、やっぱ好きだなぁ…。
未見の方、GWのお供にどうですか?