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— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
先週まとめる話をやったので、ジーンは再び各区への不思議な旅へ。
外部との行き来を遮断し、情報も文化も政治体制も百年前で止まったスイツ区は国の中の国であり、そこへの旅は100年前へのタイムトラベルである。
停止した時間の中の不発の革命、変化の予兆。黎明。
今回はスイツ区で常態化したクーデターにジーンが巻き込まれることで、国全体を覆っている『平和』の実態が感じ取れ、またジーンが巻き込まれている大きなクーデターがどういうものなのか、思いを馳せる回ともなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
国の中の国、クーデターの中のクーデター。入れ子構造である。
このお話全体は正体定かならぬ、大きなクーデターを大きな軸として進行している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
今回の小さなクーデターが一つの縮図であるのなら、未だ見えないクーデターは『上層と下層のズレが引き起こす』『時代遅れを正すための反抗』であり『平和の奥にある不穏を反映』したものなのだろう。
大きなクーデターはお話全体を牽引する巨大なミステリだから、その実態を明らかにすることは出来ない。一つのクーデターを掌握しきったスイツ区長ですら、その実態は一切把握していない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
しかし謎なだけでは視聴者は迷ってしまうので、区単位のエピソードを全体の縮図とすることで、示唆を埋め込む。
今回のお話の仕事はそういう感じだと思うが、同時にスイツという場所、そこに暮らす人々にとっては縮図ではなく己の人生を投影した一つの物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
革命前夜フランスに、おそらく意図して被せられている時代遅れの美術。鬱屈した空の下で、行き当たりばったりに暴れまわる愚かな民衆。
閉じた世界の閉じた事情に、しかし外部民たるウォーブラーは寄り添う。そこで伴侶を見つけ、危険を承知で革命に加担する。実らないとしても種をまく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
それは視察先でもらいタバコをするジーンの、器用な生き方とは正反対だ。閉鎖された100年前に囚われるもの、去るもの。綺麗な対比だ。
時間的にも空間的にも社会的にも逃げ場がないスイツの閉塞感は、灰色の空で巧く示されている。成功しない革命は明かり一つない闇夜で行われ、暴力の灯火だけが無軌道に灯る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
しかしその先には夜明けがあって、何も変わらないようでいて小さく希望が積み重なる。時間経過と天候を制御した演出が光る。
スイツの過去と現在と未来を閉じ込めた空の変化は、やはり区内部の暗喩であると同時に国全体、物語全体の暗喩なんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
大きなクーデターの実態が不明なまま、ジーンへの疑念はどんどん深まり、政治的状況は軋みつつ回転を早くしている。薄暗がりの中を彷徨うように、物語は先に進む。
しかしその先に、無明の闇だけが待っているわけではないということを、ウォーブラーの物語の穏やかな結末は、静かに暗示しているのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
そういう期待を込めた読みをしたくなる、良いエピソードだった。部分への細密な描写、そこから生まれる信頼感が、作品全体へと及ぶような。
出身区を巧く使うことで、サブキャラクターの彫りを深くしているのも面白いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
OPで騎士然とした表情を見せているパスティスは、時間を停滞させている身勝手な貴族勢力の代表なのか。ブールの本性を見抜いているあたり、切れ者ではあるようだが、ではその目は平和の中の不穏には向かないのか
ブールは区と国の関係を照射する役にも立っていて、停滞を強要している特権階級すら、より安楽で活気のある中枢の魔力から逃れられないことを示している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
移動と悦楽の特権は社会の上層だけのものであり、下層はローカルな場所に縛り付けられている。しかしそれは、悪いことばっかじゃない。
失敗した階級闘争をじっくり描くことで、国全体を覆うおぼろげな不満、それを燃料に稼働する(大小両方の)クーデターの顔が少し見える、面白い話だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
個別エピソードをしっかりやりきることで、全体の構図が強まっていく構成は本当に面白いなぁ。ジーンの旅を追っかけてると自然、本筋が進む。
様々な人の視線を集めながら、ジーンの不思議な旅は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年1月31日
平和の中でくすぶる火種を集め、煙草をもらいつつ、冷静さと情の暖かさを両立させながら、彼自身の謎を深めつつ。
区の特徴が際立っていて、個別のキャラとして魅力があるので、ワン・エピソードがとにかく引き込むんだなぁ…面白いわぁ。