アイドル事変を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
歌舞音曲と政治の融合。アイドル議員の本懐たるライブ対決それ自体が、政治サイドからの陰湿な罠。
主人公が黙り込んだままどんどん追い込まれる展開含めて、凄まじく不思議なところに突っ込みかけているアホバカアイドル政治アニメ終盤戦。どう落とすんだコレ。
このアニメ、元々ある程度リアリティラインを壊しているアニメで、でないと『アイドルが歌と踊りで政治問題を解決!』という作品の根っこが成り立たない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
そこら辺を飲み込んで『まぁそういうもんなのかな』という認識を作った上でお話を見ていたわけだが、首相がその前提自体をぶっ壊しに来た。
歌って踊っているだけじゃ問題は解決しない、対決に乗っかったこと自体が無能の象徴。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
言われりゃ『そうだよね』というしかないが、それを言ったらおしまいじゃない!? というところにぶっ込んでくる展開で、おいおいスゲーなと。こっからアイドル議員の価値を再構築して、気持ちよく落とせるのか。
アホバカに極振りした展開をぐいっとリアリティ高い方向に振って、両方経験させた上でアイドル議員というキメラ独自の存在意義を肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
おそらく狙ってる着地点はここだと思うが、夏月のサゲ展開が道になっているのはなかなかに面白い。狂騒の世界の中で、夏月だけが正気だから黙り込む。
他のアイドル議員は『アイドル』に過剰に足場を乗せて、特訓だのスパルタだの、アイドルアニメでよく見た展開に体重を預ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
しかし敵の戦術はそのアイドルスポ根ロジック自体を無化するところにあり、『レジェンドアイドルとの決戦』というアツいイベント自体が罠なのだ。
『アイドル議員』がその実、『議員』部分をおざなりにして『アイドル』でしかないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
首相が指摘したのはそこであり、過剰にステージのクオリティにこだわる静の態度はその証明でもある。歌と踊りで勝ったからといって、それが国民の福祉に寄与するわけではない事実に、アイドルたちは気づけない。
それは国民も同じで、世界の一大事のように家に飛び込んでくるボウズも、劇場型政治に踊らされて抗議電話をリンリン鳴らす顔のない大衆も、パフォーマンスとしての政治と、世界をより善くしていくものとしての政治の区別はつかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
頭に『アイドル』が付くかどうかに関係なく、重要なのは外形だ。
なので、一見罠にはめられたように見える『アイドル議員』は実は、ポピュリズムの担い手として同じ土俵で上を行かれただけ、という見方もできる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
プロパガンダ合戦に負けるということは、アイドル議員にはその実、プロパガンダ以外の武器がないという事実の厳しい指摘でもある。世界観がひっくり返る
虚栄しか無い世界から唯一距離を取っている夏月は異物であり、『歌って踊ってアイドルやってても、問題は解決しない』という真理に目が開いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
『盲人の国では、目開きこそがマイノリティである』という転倒に主人公をぶっこみ閉塞感を出すのは、勝負しているなぁ。狂気の国のアリスというか。
アツいアイドルスポ根が繰り広げられる話の中心から夏月は遠くに離れ、新潟でドブ板をさらい、TV越しにアイドル活動を見て涙を流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
華やかさのかけらもない『政治』の現場に唯一身をおいていることで、夏月は話を収まりの良いところに持っていく主人公特権を、傷つきながら主張している。
しかしそれはあくまで予感であって、夏月は静のキツい、アイドルに体重を預けすぎた態度に反発することは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
ただただ黙り込んで頭を下げ、涙を流す夏月の陰鬱な姿は、正直キツい。話全体が下げ調子になるってのもあるが、いつも笑ってたあの子が好きな視聴者としては、単純にしんどい。
世界を無条件に支えていた『アイドル議員』への肯定。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
そこに真っ向唐竹割りでメスを入れ、『アイドル≠議員』であると示してしまった以上、夏月は『アイドル=議員』なのだというルールを、独力で再獲得しなければいけない。もうちょっと無邪気に行くと思ったら、凄いところに切り込んできた。
己のアイデンティティを問い直し、矛盾を止揚した新しい自分を見つけるのは、作品にとってもキャラクターにとっても大事なことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
『議員』と『アイドル』という水と油を、力技でくっつけて成立させた作品世界をまるごと疑問視し、『アイドル議員』の方法論を無化する展開から、どう答えを出すのか。
土壌のひっくり返し、『アイドル』達の負かせ方は(強引なところもあれど)なかなかうまいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
夏月が特別なポジションに居ることも、『アイドル』の枠から認識を出せない静と対比することで、巧く浮かび上がらせることが出来た。
その上でたどり着かなければいけない結論は、相当に難しい。
『アイドル議員』ってなんなのか。なにが優れていて、なにを生み出せるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
『『アイドル議員』は何者でもなく、優れたものも生み出せるものも何もない』という至極まっとうな、それだけに作品世界のリアリティラインをひっくり返す問だけが投げられている状況から、どう説得力を乗せて答えるか。
『ツッコんでったら凄いと思うけど、危なすぎて攻めないよね多分』という領域に、真正面から突撃していった『アイドルの敗北』なエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
夏月がたどり着くだろう答え、笑顔を取り戻せる理由が、この展開にわざわざ突っ込んでいったアンサー、すべてを担うことになる。
文字通り作品のすべてが主人公の肩に乗っかった形になったので、期待は凄く高まっている。この状況で説得力のある答えを出せたら、ぶっちぎりのアホバカアニメという立場を超えて、自作をシビアに掘り返し答えを出した傑作にたどり着けるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
だからこそ、夏月が出す答えへの採点は厳しくもなる。
97年、広末涼子の"MajiでKoiする5秒前"をリスペクトした来週。楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月12日
つーか、俺夏月好きなんで、ずーっと泣いてるか暗い顔でした見てるかばっかなのしんどいんよホント。パーッと笑えてた前半が懐かしく、恋しくもある。笑顔のルールを、はよう取り戻しておくれ…。