鬼平を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
木内さんの極渋演技が堪能できる、小柳主役回。
出だしの出産&死亡シーンの超お辛い感じが巧く効いて、生死の奇縁、人間の情が複雑に噛み合う、いい幕末"走れメロス"だった。
鬼平軸に据えなくても、しっかり話が回っちゃう腰の強さは、やっぱこのアニメの武器だなぁ。
今週はとにかく小柳の存在感が支えている話で、木内ボイスのしっとりした落ち着き、その中に秘められた"熱"を感じることで、エピソードにぐいっと引き込まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
妻子との別れにも感情を出せず、ただ己を苛むように身体をいじめるストイックさが、兎にも角にも良い。
己を出さない小柳のスタイルは、話全体を見事に貫通してて、女を助けても、とんでもない越権行為をぶちかましても、裏切られても、表情は変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
しかしその裏には文字通りの死ぬような覚悟があって、何も感じていないわけでは、けしてない。静寂が、荒れ狂う感情を逆に引き立てる。
妻子を失った姿を印象的に描くことで、小柳がなぜ無茶をしたのか、それをすることで何を取り戻したいのかが、よく見えるようになっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
盗人と火盗改メ、生者と死者。立場が違っても求めるものは同じで、それは無言のうちに響き合う。
言わずとも伝わるものを、大事に運んだ回だったと思う。
物を言わずとも、目を見ればわかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
これは小柳と鬼平の間でも発生している感情で、黙って小柳の独断を見逃し、沙汰をギリギリまで引き伸ばして、盗人最後の情と誇りが形になるまで待ったことが、小柳を職場に、生きる側に引き戻すことになる。
信じることで何かを取り戻したのは、鬼平も同じなのだ
先週印象的に回っていた風車が、今回は回転しないのは面白い演出。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
死人は元には戻らない。不器用な小柳は、女の素性を聞き出し、過去を取り戻すことは出来ない。
回らない風車は、そうやって『取り返しのつかない過去』を巧く暗喩しているように、僕には思えた。
その上で、信じて待つことで事態は前に転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
『取り返しのつかない過去』自体は回復できなくても、そこにとらわれていた心を解き放ち、少し善い側に人生を転がすことは出来る。
そして、信じるということは命がけで、危ういことでもあると見逃さない目が、甘い話をビッと締めている。
絶望から信頼、希望へと転がっていく話を静かなトーンでまとめ上げ、穏やかな心持ちで着地させてくれる、鬼平らしいお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年3月28日
小柳が完全な博愛主義者ではなくて、どうしようもない喪失の痛みを癒すべく、身勝手に自己投影しているところがほんとに良い。善行に血肉が通っている感覚。