バンドリを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
最後の盛り上がりに向けてガッツリ話のメインエンジンをぶっ壊し、レストアのための準備をする回。
無敵のパンクス・戸山香澄も(これまで示されていたように)人の子であり、血を流す存在なのだということを確認する話でもあった。
さらば、無垢であることが許された青き日々よ。
香澄は好きなキャラではなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
常時エンジン空吹かし、勢いと情熱があるのは判るが配慮が足らず、特に有咲の優しさを踏んでいる感じを受けながら、僕は序盤を見ていた。
主人公である以上、香澄がいなければ話は始まらない。全てのキックスタートは彼女がやっていた。しかし、欠損を感じていた。
話が進んでいく内、何も考えずに走り続ける彼女だからこそ担当できる仕事があり、それはとても大切なものであることが見えてきた。じっくり時間を使った沙綾加入エピソードで、その強さは決定的なものになったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
しかし、だからといって香澄の危うさと弱さが消えてなくなったわけではない。
今回の正面衝突は、そういう部分がオーナーの言葉で表に出てきて、現実とぶつかった結果だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
明るく元気で無敵のパンクス。他人のことなんてお構いなし。そう見えていた戸山香澄は一つの事実であり、社会の中で己を確立するための演技でもあった。
バンド仲間と妹の前、『家』での態度の違いから、それが透けて見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
むせ返るような『熱気』で走り続けた香澄はすっかりオーバーヒートしているが、それを癒やしてくれる『冷たさ』はまだ仲間にはない。
反目しつつ時間を共有してきたあっちゃんしか、香澄を冷やしてはくれないのだ。
考えないことで己を維持してきた子供が、『よく考えろ』と言われて己のスタイルを見失っていく過程を、バンドリらしいじっくり加減で今週は追いかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
考えても考えても、バカなパンクスは今まで通り『頑張る』ことしか思いつかない。それで突破できてきたもの、突破させてくれた世界が破綻していく
それは幼い万能感が蒸発し、子供ではいられなくなる、ということだ。堂々ときらきら星を(震えながら)歌うことが出来なくなるということ、己の未熟に恥を覚えるということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
トップ2でいうと、『あがり』を迎えてエキゾチックマニューバが使えなくなるのと同じ、主人公の資質、無敵感の喪失。
僕は香澄が現実を思い知り、視野が広がる展開を待っていた。自分を許してくれる世界にも、優しくなってほしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
歌を失ったのは、その切っ掛けになるだろう。『いい勉強』ってやつだろう。
ただ、それを望んでいたはずなのに、ひどくしんどい。正直早く終わんねーかなこのタメ、と思っている。
それは香澄のパンクスっぷり、何も考えない幼い子供であることが、周囲にもたらしてきた影響、そこから生み出される輝きを、この亜に目は結構ちゃんと見せてきたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
それを生み出すために、香澄が結構周囲を見て、心を配っていることを慎重に描いてきたからだ。
そういうものを見ることで、僕は香澄が好きになっている。なんにも考えないパンクスのまま、観客を喜ばせるパフォーマンスを手に入れて、友達の心を土足で踏まない優しさを手に入れて欲しいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
『変質』ではなく『変化』して欲しいと思う。もしくは『成長』か。
香澄に欠けているものが周辺視野であり、己が聴いた星の鼓動をバンド仲間に、観客と共有していく対話可能性であることは、チスパのオーディションからも判る。沙綾編でのチスパの献身にここで報いてくれたのは有り難い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
彼女たちは『バンド』であり、ポピパは今一歩『バンド』になりきれていないのだ
そのことをオーナーは言葉では教えない。へし折って自然治癒する可能性に賭けたのは、香澄のことを買っているからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
バンドの仲間が、香澄に与えられた活力を、優しさを彼女に返して、初めての挫折から強さを獲得することを願っているのだと思う。それは非常に『大人』な態度だ。
オーナーが望むハッピーエンドへの道は、今回すでにある程度敷かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
香澄が己の無力さを知ること自体が勝ちへの準備とも言えるが、これまでと同じように、バンドで一番人間の感情に聡く、対応が早い有咲の描写が、最も大きいだろう。
沙綾がバンドに戻ってきたときも、有咲はあまり意外な表情をしてこなかった。無敵の主人公をしてきた香澄が初めて傷を受け、血を流すシーンに居合わせる特権、そこにバンソウコウを巻いてあげる立ち位置は、これまで積み上げられた市ヶ谷有咲から外れていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
そういう一貫性は、結構好きだ。
有咲は蔵弁慶のぼっちちょろ蔵で、香澄によって人生変えられちゃったバンドメンバーの中でも、一番衝撃を受けた子だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
なにしろ、香澄と出会ってなければ今高校通ってないかもしれないわけで。
そういう子が『バンド楽しい!』と言えるようになったのは、香澄が香澄だからだ。
今、香澄は香澄ではない。自分を見失い、歌を失い、星の鼓動が聞こえなくなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
自分は結局自分で取り返すものだが、その道筋は愛しき『誰か』によって整えられるものだということも、過去の描写(特に紗綾)がすでに果たしている。
マジドン曇りだが、道は見えている。じっくり進むかな?
香澄が無自覚なまま世界に振りまいてきた活力と優しさが、彼女に返ってくると良いなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
有咲やりみやたえや沙綾が、頼れるリーダーの一大事にかっこいいところ見せてほしいなと思う。
魔法がなかなかかからないこのアニメを見続けて、そういう気持ちになれたことを嬉しくも思う。
俺結構、バンドリのアニメとそこに息づくキャラクターのこと好きになってんだなぁと思い知らされた、どっしりとした青春の蹉跌でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
香澄の天才性も、それが生み出す摩擦も、受ける傷も。
新人バンドの範囲でじっくり描写していく語り口が、バンドリアニメの味なんだと思う。正直、大好物だ。
追記
バンドリ追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
バンドリは結構印象主義というか、光と影のコントラストとレイアウトで心情を語る画面が多い。
今回は香澄が世界の暗さに初めて向かい合う話なので、そこら辺はビカビカ分かりやすかった。オーナーと話すシーン、有咲との対話、家で一人で練習しているところ。軒並み影が濃い。
そういう『下げる』機能を持ったシーンでも、有咲だけがタテで向かい合ったところから横の向かい合いになり、対等に心を通わせる特権をもっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年4月1日
人情の大逆転ホームランで香澄を戻すお膳立ては整っているので、デカイの一発期待したい。ここで場外まで飛ばすのは、有咲とあっちゃんの仕事だろう。