シンフォギアAXZを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
ウォーターフロント大決戦は、敵の首魁の心二一発入れた響の活躍で水入り。対策の対策を張るべく愚者の黄金を探す奏者に、三級錬金術師が襲いかかる! という回。
ハッタリやや薄めな分、色んなキャラのユニゾンが描かれる回。未来を使って日常の強さを描いたのが良い。
というわけで話数も折り返し、結社の幹部と殴り合い&追いかけっこしてた物語もそろそろ別の側面を見せてくる頃合いである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
それには敵さんの事情に踏み込まなきゃならんので、今回響は心で勝ちに来る。理屈はよく分からんが、そこに流れる感情の熱さと暗さは判る。だっておんなじ経験してるから。
サンジェルマンが持ってる革命家の独善は、殴って正されるべき危うい思想だ。理想に踏みつけにされる犠牲者を必要経費と割り切る強さは、かつての自分も踏みつけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
想像力と共感…優しさの不足が理想の根本を揺るがし、危ういところに押上ていくってのは、シンフォギア共通のラスボス描写だな。
共感出来すぎてしまうのが彼女の脆さでもあったのだが、三期のグダグダを経てバランスを取り、他人を頼ることを覚えた響は安定している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
倫理的・精神的に優越している上に、一番痛いところをついたのでサンジェルマンは撤退する…のだが、もうちょっとアクションの説得力がほしくもあったか。
世界全体を測りに乗っけたデカい話の後に、学校の宿題して、飯食ってお嫁さんと話す、非常に手触りのある日常シーンを繋げたのが今回良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
サンジェルマンの理想世界に、ああいうシーンの出番はないのだ。響が一番守りたいものは、僕らが見知った当たり前の、つまんねー日常そのものだ。
未来さんも脳みそ改造されてヤンデレ殺傷兵器になったり、バビロンの蔵を投槍で焼き尽くしたり、色々超常的経験はしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
しかし思い出すのは響が戦場に身を置く前、当たり前の悪意と必死に戦いつつ、ごく普通の優しさで風船取ってた時代である。そこと戦場は、いつでも地続きなのだ。
未来と繋がることで、響は超絶パワーを持ち世界を何度も救ってきた自分に溺れずにすむ。当たり前の人間としての哀しみや喜びを守りつつ、大きい世界をどうにか良くしていく欲張りを、危なげなく歩いていくことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
響の主人公としての足場、作品の立脚点を確認する、いいシーンだった。
日常というミクロコスモスと、戦場というマクロコスモス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
無茶苦茶圧縮された新プラトン主義オカルトで説明されるアンチイグナイト対策は、響が確認したものの変奏である。
巨大すぎて極小を忘れた錬金術師のロジックは、個人を忘れず世界を変えようとするワガママで破れる! というわけだ。
今回は「主人公がなぜ勝つか」を説明していく回なのだが、そこで描かれるものが敵役にも投影されているのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
アダムが強要する生贄は、サンジェルマンが世界に要求しているのと同じ痛みを持っている。名前も顔もないモブはいくらでもぶっ殺して良くて、自分の身内は捧げられないってのは不徹底
…なのだが、そこは超えてしまえば帰れない一線でもある。既にバンッバン人間殺している三幹部だが、彼らなりに絆があることはこれまで描写されてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
熱い思いを語って死亡フラグをガン立ちさせたプレラーティにしても、手を取り合う余地はある。それが身内の外に拡大できないのが、問題なのだ。
狭く閉ざされた個人的な絆を持っているのは、敵も味方も同じ。そこを足場に、他者を養う形で極大に繋がっていくか、他者を踏みにじって破壊と再構築を目指すか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
いろんなユニティを描くことで、肯定されるべき主役側のロジック、否定(あるいは改変)されるべき敵側のロジックは見えてくる。
すごい勢いで二人で先走り、すごい勢いで二人で勝ちに行った切調も、今回描かれたユニティの一つか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
物語が中盤に差し掛かり、三幹部が『強大な壁』から『対話可能な人間』に変化しつつあるので、戦闘面でも弱体化が著しい。心が正しければ無限のパワーが生まれるアニメなので、ある程度は仕方ないが
響と未来のユニティ、戦士にとっての日常の意味をじっくりやった分、切調が強くなるロジックの描写がやや薄めになったのは少々残念でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
もともとカップル前提のキャラなので、そこら辺は過去やった話の再演にもなるのだが、もうちっと踏み込んだ描写が欲しくもあった。
とは言うものの、仲間を思いつつ手を取り合えないプレラーティと、キネクリ先輩が遅延阻害を頑張った結果2-1状況を維持しきれた切調の対比自体は鮮明でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
あれは数で押し切ったというよりは、狭い絆を適切に拡大していく方法のあるなしが、勝負を分けた戦いだったのだろう。
アダムがティキと見せているユニティも今回強調されていて、筋肉親父と小動物系ロリのキャイキャイを見るのが三度の飯より好きな僕としては大変眼福であった…が、やっぱアダムが胡散臭すぎて信じきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
あからさまなラスボス候補に疑念を抱けるよう話を進めるのは、やっぱ大事だなぁ。
アダムがド外道のクズ人間であるのは別に良いのだが、ティキは本当に純真に思いを捧げている。その幼い真っ直ぐさは、あんま踏んでほしくないなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
そう思っているということは、これをグッチャングッチャンに踏みにじることで『ぜってぇアダム許さねぇ!』となる、最高の燃料でもあるわけだが
まー、ティキの器物由来の危険なイノセンスってのも、100%肯定されるべきものとしては描かれていないわけだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
人間ではない存在故に、人間世界の倫理と価値観には目を向けない。使用資格者であるアダムだけが世界の全てで、アダムだけがいればいい。器物の恋はいつでも危険だ。
序盤謎に包まれ(つつ、隙間から上手いことムードを漂わせていた)三幹部の人間性と弱さは、ここに来てグッと前に出てきた。お話が進めばキャラの役割も変わり、見せるべきものも変わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
AXZはそこをよく抑えて展開している。ので、アダムの内面も話が進めば、インパクト満点で公開されるのだろう
そこに全てを踏みにじる独善があるのか、なにか譲れない光が宿っているのか。個人的には後者のほうが好みだし、シンフォギア的かなぁとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
さてはて、どうなることやら。三幹部の革命はメタ的にも二期で乗り越えちゃってるポイントなので、なんかビックリドッキリなネタ隠してると思うんだよねぇ
世界の有り様を問う極大と、隣りにいる人とつながる極小。大きなものと小さなもののバランスをどう取るべきか、各キャラクターはどう取っているか(あるいは取れていないか)を、人と人の繋がりを画材に描くエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
キャラとドラマを通じてテーマを描いたほうが、上滑りせず食べやすいなぁ
しかしあれだな、男性の精神を女性の身体に内蔵させることで『対極物の融和』を果たすという、錬金術的理屈が歴史人物TSに乗っかってるのがシンフォギアらしい生真面目さだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
極大は極小と、男は女と繋がり、ウロボロスは己の尻尾を噛んで無限を為すのだ。
ここら辺のオカルト知識は特に今回、濃厚に話を支える背骨になってんだけども、べらべら喋ると『お歌全開で熱いヒーローアクション』というシンフォギア『らしさ』を損ないもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
メインは奏者のアクションと感情のドラマに任せ、調べ上げたオカルトはスパイス程度に抑えているストイシズムを尊敬。
今回のサブタイトルにしても、タロットの始まりである『愚者』≒響の身近なところから拡大していく健全な歩みと、過大な革命意識で完璧な『世界』を求め過ぎ、正しくない道(21番からの逆走)を歩いているサンジェルマンを対比しているわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
ポップな外装にコアなオカルトを詰め込んでいる。
『精神の純化』という意味での黄金錬成が、世間的には卑近な財産稼ぎと受け止められ、詐欺師呼ばさりされ続けてきた錬金術師の苦闘とかも、プレラーティの独白から見えたりするし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月12日
やっぱお話をしっかり作る上で、『積み上げて捨てる』勇気と目の良さは、大事なんだと思う。来週も楽しみ。