サクラクエストを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
自分たちに始末をつけるためにやった廃校式が、新しい風を連れてくる。しかし間野山が素直に可能性を受け入れられるのなら、ここまでの苦労はないわけで。洋菓子の甘ったるい匂いも、時には腐臭と同じですよ、というエピソード。
全体的に前向きなだけに、ラストの引きが怖い
というわけで、洋菓子店移転にまつわるアレソレを通じて、商店会と和解し、国王の成長を確認する回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
全体的に薄暗さと光が入り混じった作りで、サクラクエストらしかった。始まりからして、終わってないものを終えた廃校式から芽が生えてくる。カフェもそうだが、ちゃんと終わると先に続くな。
のだが、前向きなムードだけで物事どうにもならないのも、散々確認したところ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
野毛さんを通じて確認した『店主世代は別に困ってない、商店街の衰退』が、別角度から襲いかかる。ああ、生臭い。オシャレなカスタードの匂いと泥臭さを並走することで、妙な存在感があるのは面白い。
今回のシナリオヒロインは、空き家の秋山さん。色々抱え込んでいる内面に踏み込むことなく、徹頭徹尾『みんな』を免罪符に押してくる人の波。善意の顔をした同調圧力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
いかにも日本的なヤダ味が濃縮された展開を、禿げたオッサンヒロインでやるのは好きだ。生っぽさが際立つ。
『みんな』『みんな』『みんな』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
間野山、商店街、国王PTは全て『みんな』だ。弱い人間は集団で蒸れなければ生き残れない。統一された集団意志があるように見えて、『みんな』なんてどこにもない。
それを作りたければ、個別の事情と感情を踏み倒さず、一人ひとりを繋げる必要がある。
一軒一軒、『みんな』のまとめ役として自分の足で踏み込んでいく千登勢は、ずっとそういうことをやってきたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
『みんな』としてしか生き延びることが出来ない現実に適応し、『みんな』を作り、続けるために色々やってきた。『みんな』からはぐれてしまった丑松とは、やっぱ正反対の生き方だ。
このアニメに千登勢がいたのは、とても良かったなと思う。ともすれば『田舎の商店街≒現実』と『都会の国王PT≒アニメ』を綺麗に線引し、片方が片方を飲み込み塗りつぶして終わってしまいかねない構図。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
そこの橋渡しとして、商店街側の『理』をしっかり背負い、凛々子を通じて『情』も見せる。
早苗ちゃんが言うとおり、千登勢の行動はずっとスジが通っていたし、公平な目で国王PTを見てもいた。足場は商店街に置きつつ、そこをはみ出してPTを助けてもくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
それは身内への甘さもあろうが、根本的には千登勢が良く出来た人物だからだ。そういう人がログハウスの外側にいたのは、良かった
そんな千登勢に場所を整えてもらいつつ、国王は『みんな』に飲み込まれず、自分の夢想で『みんな』を書き換える妄想にも支配されず、自分ひとりの意見を言う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
夢の押し付け、実態を伴わない『みんなのため』という夢想。
1クール目に散々振り回された夢と、正式に決別する。
国王の言うとおり、個人が自発的に繋がった結果としての『みんな』は夢想だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
人間にはそれぞれエゴがあり、尊厳がある。それをすり合わせて『みんな』になっていくには、シャバは生臭すぎる。夢を現実にできなかったごく普通の街・間野山は、手遅れのまま死につつある。
ならせめて、棺桶の蓋は自分で釘を打とうか? というのが千登勢の提言であり、まだ死んでない! という反発も当然ある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
ここらへんは、蕨矢集落の『場所としての終活』、教授の『個人としての終活』に通じる部分だ。エピソード終わった後に、死体から芽が出る展開第2クールは多いな。
活力に満ちた夢から、死の引力に引き押せられる現実、そこから再浮上しようとするあがき。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
洋菓子店と商店街、国王PTが混ざり合う現実世界と、舞台上で展開する演劇が並走しているのが、ちょっと奥行きあって面白い。空想は現実の似姿てのは、このアニメでもあろう。
冒頭、ドラゴンきぐるみでガオガオ言ってる凛々子(宇宙一可愛かった)は、状況が生臭くなるのに合わせてジャージになり、国王たちを手伝いつつ、舞台で役割を手に入れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
どうしようもなく終わっていくものから、それでも生まれたものを吠える仕事。消え行く間野山で、国王PTが果たせる任務。
座長兼演出家兼エース役者として、舞台を作っていく真希ちゃんの描写も面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
劇内部での可憐な演技と、演出家としての冷めた提言が、シームレスに展開される。夢と現実を軽やかに渡り、成功を目指して一歩ずつ進む姿は、多分千登勢と重ねられている。国王もそうだが、タフになったなぁ。
終わっていく現実は、アニメ絵の女の子たちが空から降ってきたところで覆らない。その重さに押しつぶされたりしつつ、そこから顔を上げて、等身大の自分に出来ることを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
このアニメが歩いてきた道のりを、もう一回確認するようなエピソードだった。クライマックス前にそういうのやっとくのは大事だ。
個人的には、エリカが投げてしおりが答えきれなかった『間野山のどこが良いの?』という問いかけに、国王がアンサーを返していたのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
それは『私の居場所をくれたから』という個人的なものだが、そういうエゴな喜びが寄り集まる形でしか、健全に機能する『みんな』は生まれないのだろう。
健全な集団は、健全な個人から。みんなが知ってるお題目で、だからこそ実現は難しい。そういう世知辛さに切り込み続けたこのアニメも、そろそろ祭りと終りを迎える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
『俺たち、こんな感じでやってきたな』と確認するムードの中を、黒服がチョロチョロ走り回り、不穏なムードが加速する。
最後のクエストは、行政という巨大なドラゴンが叩きつける『市町村合併』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
コストカットのための大鉈で最初にぶった切られるのは、結果を出していない行政機関…つまり観光協会だろう。名前を取られれば、芽生えかけていた芽を育む土壌も、あっという間にやせ衰えていく。
クソ田舎の商店街一つまとめられなかったアニメ絵軍団が、行政という巨大なリアルを相手に、劇的なホームランを打てない話だというのは、今回確認したとおりだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
では、『私たち一人ひとりに出来ること』はなにか。そこに説得力と希望は宿るのか。最後のクエストは、なかなか大変である。
逆に言うと、これを乗り越えるとお話をまとめ上げる勢いみたいのを手に入れられる、獲得経験点の多いクエストだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
なんか安定ムード漂ってたところに緊張感を取り戻す、良い横殴りだと思う。サプライズでもあり、『ああ、それあったな』という納得感もある。来週も楽しみである。
追記 丑松クエスト
サクラクエスト追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
千登勢が(仮)を消すことで示された、王国と商店街の『雪解け』
大きなイベントで急に解けたというより、じわじわ積み上げていったものが一つの決着にたどり着いた感じがあって、とても良かった。
元々千登勢は出来た人だったんで、決定打は丑松の謝罪か。
千登勢が『目指すべき大人のロールモデル』として描かれているのに対し、丑松は『反面教師』として描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
夢見がちな青春に巧く終わりを与えられず、そこから新しい芽を育てることができなかった存在。あり得るかもしれない、アニメ絵軍団の可能性であり、間野山の未来の一つの形。
そんな彼が不承不承、50年前の失敗に向き合い、遅れ馳せながら終わりを告げたのは、一つのクエストクリアなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月6日
が、そんな彼が黒服と接触しているところでエピソードは終わっている。来週は、丑松の未練の行き所、エクストラクエストの描き方にも注目したいところだ。