ドリフェスRを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
かつての天才子役も、流れ流れてアイドル稼業。昔はホームだったドラマの舞台には、アウェイの冷たい風が吹く。
クールな青担当、及川慎の過去と現在に、どっしりと腰を落として彫り込むエピソード。個別回としての切れ味だけでなく、いろんなものをすくい上げる手並みが見事。
第1話で『仲いいだけじゃ、カワイイだけじゃダメだ。個人として輝くパワー見つけないと!』と、シリーズ全体の見通しを立てたドリR。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
今回はその流れを受けて、慎くんの個性を掘り下げていく回である。同時に、アイドルの半端さと強さ、子役という職業、仲間のいる意味なども掘る。貪欲で的確な回だ
とは言うものの、お話の強度は主役である慎くんにかかっているわけで、そこはキッチリ掘る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
クールで、近寄りがたくて、天才子役の自分を未だ引きずってて、マジメで不器用。及川慎というキャラクターの構成要素を、巧く取り出して再配置し、一つ一つ掘り下げる構成になっていた。
仲間のアツさに当てられ、仏頂面のクールガイであることを止めた慎だが、人格の根っこはそうそう変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
お洒落なハンバーグ食事会に参加できない不器用さは、巧く過去回想と重ねられて、純哉との回転寿司に繋がる。KUROFUNEのとんこつラーメンといい、飯屋がいい仕事するアニメだ。
自分の現状を冷静に見つめる眼の良さ。道が見えないながら、なんとかしようとする真面目さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
迷える慎は弱さだけではなく、独特の強さもしっかり描かれている。道に迷う理由になった誠実さが、最後の局面で逆転ホームランの起爆剤にもなる。長所と短所が背中合わせな面白さを、ちゃんと描く筆がいい。
圭吾との因縁もあって、慎というキャラクターを書くとき『子役』は大事な要素だと思う。あの挫折と再生があってこそ、今の慎がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
しかし過去に引きずられすぎても、現在を否定することになる。今回は挫折した過去に一期では始末をつけれなかった慎が、『アイドル』を肯定するまでの物語でもある。
キャラテーマだけでなく、実際の経緯描写でも、一期で掘らなかった部分をちゃんと掘っているのはいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
社長の助け舟、アイドルになりきれない慎、そして純哉の踏み込み方。相変わらず純哉クンの人間力の高さが異常で、見てて安心する。
過去二人が出会ってた描写が、最後のステージに繋がるのも良い
最終的に慎の悩みに風穴を開けたのは純哉だが、早乙女先輩の嘘のない言葉が最初の一手になっているのも、存在感があってよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
アイドルの先輩として、慎が直面するアウェイ感をより早く、より多く感じている早乙女。しかし答えは言わない。それは自分でたどり着かなければ意味が無いからだ。
『お前はエンガワ、俺は卵』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
ちょっとトンチキで、でも問題の根っこをしっかり捕えた比喩で笑いながら支えてくれるシーンは、温もりがあってよかった。ああいうジャブで腹筋崩しておいて、いいセリフで本命入れるの巧いよなぁ
突き放す早乙女と、同じ釜の飯を食う純哉との対比も、ピリッと光るしね。
慎の悩みは慎個人のものであると同時に、アイドルという職業全てに通じる疑問でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
一個人の人生の物語をアツく、手触りと匂いを込めて掘り下げつつ、そこを貫通した広いテーマに接触できるのは、ドリフェスらしい眼の良さ、腰の強さだな、と思う。縦に深いと同時に、横にも広い。
『アイドル特有のキラキラ感』『アウェイでも、アイドルとしてやりきる』という答えも、しっかり悩んだだけあって納得力の高いものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
最後のキラキラアクション(SEが卑怯)でしっかり火力出して、選んだ答えを映像で補強していくのはやっぱ良いね。論理と感覚、物語の両輪が接地している感じ
感じ悪いママンを最後にデレさせることで、『壁を超えた』充実感を醸し出す運びも、とても安定していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
ママンがちょいポチャながら美人なのが、なんか自分の中で妙に良くて。あんだけ悪口言っておいてドリカ捧げに来るあたり、良いデレの作り方してんなぁと思った。
シナリオヒロインの颯太くんも、沢城先輩の芸達者が最大限生きて、糞ガキから健気なプロフェッショナル、そしてか弱い少年へとイメージが移り変わる、いいキャラだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
完璧な天才に見える彼も、当然人間的な震えや弱さを抱えたただの子供だ。不器用な天才子役だった慎が、そんな彼の望みを叶える。
それは慎が『アイドル』としての自分を肯定し、『子役』としての自分にポジティブに決別できた瞬間である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
同時に、自分は挫折してしまった『過去』を颯太に投影しつつ、別の道を本気で歩く『現在』で救う展開でもある。あの時、慎は颯太の夢だけではなく、置いてけぼりにされた自分も救済したのだ。
そういう風に、『アイドル』(そして人間)は時間を超えて自分や他人を助け、変えていくことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
『子役』という要素で主役とヒロインを繋ぐことで、より大きな可能性、そこにたどり着いたキャラクターの強さを、説得力を込めてかけていたと思う。色んな要素を盛りつつ、ちゃんと連動してる。
さらに言えば、慎と純哉が今回果たした成長は、『仲間だけどライバル』なディアドリ全体に波及する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
尊敬していればこそ、負けたくない。奏が決意を込めてつぶやくカットを入れることで、将来のエピソードへの足場ができる。マジ蓄積って感じで、今後への期待がパンッパンになります。
というわけで、慎の過去と現在をディープに掘り下げつつ、その深さが様々な横幅を呼び込む回でした。いろんなことやってんだけども、各要素がしっかり連動してるから、過積載って感じなしで語りきれてる。凄くドリフェスらしい、真っ直ぐでテクニカルなエピソードだったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
こういう個別エピが来ると、『個としての答えを見つけることが、全員を輝かせる』というグランドテーマも分厚くなってきます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月4日
黄色と青が混じり合った今回に続いては、紫と緑を掘り下げる回。今回に負けないアツさと真摯さ、笑いと感動で、しっかり二人の『個』を書いてほしいと思います。楽しみだ。