アイドリッシュセブンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
TRIGGERにアイドルのトリガーを引かれ、本気で走り出したアイドリッシュセブン。9人からのスタートとなったファーストライブを、波乱含みながら見事に乗りこなし、順風を瀬に受けて飛び出す…と思いきや、なエピソード。
順当なサクセスと波乱のトラブル、交互に来て良い
というわけで、話も折り返し、ここで一発カロリー高めのライブ回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
アイドルちゃんのパワーだけでなく、裏方の努力、客席の空気をうまく切り取ってきて、説得力のあるライブになった。
挿入歌の使い方も、荒い粒子のモニタから入って停電、環のダンスから壮五につなぐ盛り上げと素晴らしい。
環のダンス力は、ちょっと悪目立ちするくらいに過去話でしつこく強調されてきたところなので、ここでそれを活かして場をつなぐのはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
そこから壮五への引き継ぎも劇的で、後半二人がクローズアップされる展開に納得が生まれていた。物語のタネをちゃんと発芽させるアニメは、いいアニメ
同時に咲かせた花を巧く活けるのも、いいアニメの条件。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
先週のドラマを真ん中で引っ張ってくれた陸を、あんま目立たかなった三月お兄やんが受け止めるシーンは、お兄やんのお兄やん力がズガンと目立って、激しくグッドだった。
『兄』においていかれることを何より嫌う『弟』をちゃんとケアできる男…
三月は『お兄ちゃんなのにチビ』というビジュアルが、『アイドルを強く求めつつ、アイドルに愛されない』というキャラ性に説得力を出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
ので、普段は身長差を活かした描写になるんだけども、陸とフラットな関係を作る対話シーンは、画面を斜めに傾がせて身長差を消していた。
そんな超絶劇的にズガンとねじ込んでくる使い方はしないが、このアニメの心理主義レイアウトは要所要所をしっかりシメて、視聴者の心にちゃんと狙ったイメージを作っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
『なんとなーく、でもしっかり』で判るってのは、実は非常に難しいことだ。ハードル下げつつコアを残すわけで。
無論劇的な絵も、大変うまく使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
普段と質感が違うモニタの荒い粒子から、群舞を見せていってブラックアウト。TRIGGERから受け取ったプロ意識を大和が言葉にして、気合を入れて環が前に。それを引き継いで壮五が出て、群舞に戻ってアイナナサイコー! までの流れは、非常にアツかった。
環と壮五は『イイコ・ワルイコ』の関係性を見せるべく基本セットで扱われていて、後半の対立もその流れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
なんだけども、感情のぶつかり合いで不安になりすぎないよう、事前にステージで魂の交流を見せていたのが良かった。『あそこで心が通じ合うなら、まぁぶつかり合っても大丈夫でしょう』つう。
じっくり尺を使い、舞台裏を走り回りステージを成立させている無名の人たちをちゃんと切り取ってくれたのも、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
停電後、真っ先に『怪我ありません!』という報が入ったの、地味だけど安心したところだな。『あ、マトモだ』みたいな。
そういう人達の汗だって、アイドルと同じくらい尊い
裏方代表のマネジ紬CHANGも、カカシ扱いを返上する八面六臂の獅子奮迅。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
冒頭、幼稚園児・環を巧くノセるパーフェクトコミュニケーションから、どうにかステージを繋げるべく前線指揮官として頑張る姿まで、なかなか頼もしい仕事ぶりだった。
あそこはバックスの奮戦、フォワードの機転が噛み合って奇跡が生まれてるシーンなんだが、『前に出る』というチョイスを一番幼い環がやって、『一旦下がる』という選択肢をステージプロデューサー・一織が見てる所は面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
結果として、恐れず前に出るチョイスが未来を掴んだ形だ。
成功が連れてきた不和への対応にしても、怜悧な計算に基づいた一織の支配力がほころび始めている感じを受ける。完全に読めているなら、宇宙の停電も織り込んでセカンドプランを作っておくだろうが、そこまでスーパーではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
それでいいと思う。一織も演出機械じゃなくて人間でアイドルなんだし。
ハードな試練が襲いかかることで、グループ内部での各キャラクターのポジション、果たすべき仕事も見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
大和お兄やんがほんと良くリーダーをやってて、仏壇に飾って奉りたいくらいにありがたい。
ホンマ環くんな、お兄やん達がいてこそのキミのワガママなんやぞ、判っとる?(まだ判ってない)
かくしてパワフルに舞台を切り抜け、アイドリッシュセブンは飛躍の時を迎える。前回は燃え尽きた陸が、ハプニングあっても余力を残した対比が、個人の成長、集団の変化を巧く見せたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
が。
禍福は糾える縄の如しで、偶然中継に抜かれる形になった白髪コンビだけが、アイナナ代表みたいな形に。
ここまで仲良しグループの部分を表に出してきたアイナナに、ここで波風立つ。そういう感情も込で人間なわけだから、バチバチぶつかり合うのは僕としては好みだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
大和お兄やんが『まぁ男七人集まってんだし、そのうち殴り合いくらいは起こるよね』という態度でどっしり見ているのも、非常に良い。
環の出演願望は、作中のキャラには『子供じみた目立ちたがり』と取られ、神の視線からパーツを俯瞰し、統合できる視聴者からは『失った家族に繋がる糸を、必死に手繰り寄せている子供』と見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
さいしょはガキ臭さに反発も覚えたが、流石に六話付き合うと愛着も湧いて、『おう、頑張れや』となる。
作品内外の視差が『判ってやれよオメーら!』という苛立ちにもなるのだが、ちゃんと『なんでだろ?』と疑問に思う描写があったのは良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
細かいところなんだが、こういう導線を引いておかないと、問題解決に至る筋道が唐突で都合良く見えるからな。
さりげなく、でもちゃんと。アニナナっぽい。
エゴ剥き出しで吠える環に対し、壮五は過剰に『イイコ』であろうとする印象を受ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
集団にとっての都合の良さを見れば、エゴを抑圧してくれる壮五のほうがありがたい。でもその抑圧は本当に、アイナナを前に進めるのだろうか?
七色の光がそれぞれを高めあったライブの後に、良い疑問を刺してくる。
前に出たい環、後ろに下がりたい壮五。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
両方正しくて両方間違っているが、少なくとも仲間に事情を話せない腰の弱さは、早く解決しないといけない部分だろう。
陸のときと同じく、伏せ札を公開する勇気が、彼らが抱えた重荷を削ってくれるはずだ。
ここら辺の解決策を、巧妙に先取りして視聴者を迷わせないガイドとして使っているのは、親切かつ丁寧だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
壮五は『みんな』を強調するが、アイドルは人気商売、『みんな』を成立させるためには強烈な『ひとり』がいなければ成立しない。格差は絶対にあって、それを前提に『みんな』で居続けるのだ。
雨中のライブでは、明らかに環と壮五はスターだった。それは偶然ではなく運命によって、スポットライトが当たった瞬間だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
その幸運を掴んで『ひとり』が前に進むことが、『みんな』を引っ張ることにもなる。既に起こってしまっている風に抗うのではなく、その価値を肯定して欲しい。
環もまた、自分がなぜ『TV出演』を求めるのか、心の奥底を見せる必要がある。子供にとって(大人にとっても!)、素直に自分を見せるのは恥ずかしく、恐ろしいことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
でも、事態は『みんな』のものになっている。環のガムシャラな欲望がどこから出てくるのか、それを見せなきゃ対処ができない。
そういう問題点と、それを乗り越える心のつながりを、巧く予感させるライブシーンでもあったな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
あのライブはカロリー入った『強い』シーンなのだが、それを単発で終わらせず、緩やかなドラマを加速させるニトロとしてしっかり使い切っているのは、非常にクレバーだ。
ライブをやりきるプロ意識を、アイナナに埋め込んだTRIGGER。彼らの軋みもまた、巧く挟み込まれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
独断と個性をいい結果に結びつけたアイナナと、『オッス! 俺が全部悪いんで俺を憎め!』と額に書いてあるオッサンに、良いように支配されてるTRIGGERの対比が、なかなか面白い。
あの小西声のオッサンは、楽くんのオヤジであり、ここでもまた『家族』が軋みの原因となっている。『母親不在も、ヤバさの源泉ですよ!』と、細かく台詞で説明してくれるわかり易さが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
ファンの自由意志を尊び、あくまで独力で勝負したい(あと弟も守りたい)天くんを輝かせる、良い悪役だ。
そのオッサンが、ギクシャクすれ違う環&壮五に声をかけてきた所で、次週に続く、と。『小鳥遊め…ッ!』とか言ってたんで、アイナナにハメ手仕掛ける個人的理由が、なんかあるのかなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
TRIGGERはアイナナに出来ない場所から『アイドル』を輝かせる役なんで、汚れ役は別に用意しないとアカンよね。
一難去ってまた一難。成功が軋みの原因ともなり、それを乗り越えることでより強く、正しく、美しくなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
障害の出し方もスムーズだったし、それがどんなドラマを含んでいるかを分かりやすく見せる手腕も鋭かった。
非常にアニナナらしい、熱量とクレバーさのあるお話でした。来週も楽しみ。
追記 いつでも探しているよ どっかにSTAR☆ANISを
しかし今回のアニナナ、停電からの機転のきかせ方、ファンへの視線、裏方の頑張りで場を繋いで、『華』の映えるみんなのステージでグッとフックという流れで、かなりアイカツ!第41話『夏色ミラクル☆』だったな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
テーマとモチーフ、熱量と方向性が似てるんで、ある種の収斂進化だとは思う。
追記 多層性ファミリーアフェア
アイナナ追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
事務所の仕事が小鳥遊家の家族共犯にも見えるのは結構なヤダ味だと思っていた。
が、出て来る連中軒並み『家族』に問題抱えて、それが物語の推進剤になってるところを見ると、小鳥遊家という円満な『正解』を置いておくことが、話を安定させてるのかな、とも感じた。
特に問題なく対話できて、仕事もスムーズにお互いを尊重しながらやれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
八乙女家のギスギスしたビジネス/家族関係とそれは露骨な対比で、それに乗っかって八乙女のオッサンが『小鳥遊』を憎むのも、納得の行く線のヒキ方である。『マトモ』な関係を構築できている親子仕事への、秘められた憎悪。
小鳥遊パパは直接ドルに触ることはないが、彼と娘の距離感がある種の『正解』となって、家族という腫瘍を切除できないまま膿ませているアイドルたちに、マネジが接近し切開し治癒していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
『家族』の歪さを規定するフレームとして、小鳥遊一家は『仲良く仕事する』必要があるのかもしれない。
家族に問題のあるアイドルを抱え込んだ小鳥遊事務所は、血縁を超えた巨大なホームであり、そこに入ることでドルは崩壊した家族神話を体感して再生している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
そのためには道糸となる『正解』が絶対に必要なわけで、小鳥遊家のある種呑気な円満さ、健全さは、歪なアツさの対比物として大事なのだろう
しかしそうなると、小鳥遊家に『母』が不在であることが気にかかる。(父子家庭が家族の『正解』でない、ということでは当然ない)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月28日
今開けられてる『家族』の札も、軒並み『父・兄』との関係だしなぁ。マネジ(≒プレイヤー)以外の女性を排除して没入感を上げる仕掛けか、何らかの意図があるか。さて