刻刻を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
状況は動き続ける。父の威厳を取り戻すべく、孫を暴力の現場に引っ張り出す貴文。打算と情念で繋がった者たちの連携と、追い込まれつつも冷静な佐河の孤高。暴力を失ってなお冴え渡る、言葉という鎖。
いろいろなものが少しずつ動きつつ、じわじわと内圧を上げていく感じの繋ぎ回。
というわけで、バトルと並列してキャラ個人とその関係性、もっと大きなモノが切り取られる、刻刻らしい回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
クソ親父のサイコエンジンは絶好調にブン回り、真はそれに導かれるように無邪気な暴力を振り回し、ヤクザは切れ味鋭いティーバッティングを叩き込む。やっててよかったバッセン通い。
貴文は『父の威厳』という空っぽの冠をかぶり直すべく、自分の力ではないものを自力と偽り、何も知らない孫をだまくらかして鉄火場に向かわせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
殺人代行までノータイムで行わせようとするあたり、流石ノー躊躇で殺意出せる男は違う。良心がないというか、想像力がない。凄く生っぽい悪。
カヌリニ操作に覚醒した真と、ヤクザと家族の連帯が切り札になって、佐河の超パワーは封じ込まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
生きるか死ぬか、善悪が剥き出しになる戦いの意味を、幼い真は知りえない。貴文はそれを握り込んで、自分のいいように使う。『父の威厳』のために。
子供の無垢さが静止した世界で、致命的な過ちに繋がる。真が歩いている細い線は、かつて樹里と間島が幼少期に落っこちた止界に繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
あそこで間違えた結果、間島は家族を失って人生をふいにし、樹里はその過ちを忘れてしまった。
貴文のエゴに付き合っていたら、真もそうなっていただろう。
オヤジが『父の威厳』と下らんダンスしている間に、ジジイは家庭を顧みなかった過去を、樹里は幼い自分が取りこぼした価値を、それぞれ鑑みた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
止界にアクセスできる血の特権が、どういう意味を持っているのか。その特殊性と、どう向き合うべきか。体を張って学んだ結果、彼らはマトモに判断する。
家族に向き合わなかった過去は精算しなければいけないし、何も知らない子供に危険な力をふるわせてはいけない。人殺しを代行させるなどもってのほかだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
貴文がまだたどり着けない場所に、樹里とジジイはたどり着いていて、自分たちが間違えた過去を繰り返さないよう、いろいろ頑張っている。
そういう必死の『人間であろう』という足掻きが、詰めの甘さとなって佐河を逃したりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
削って潰してハイおしまい。そういう割り切りが出来ないからこそ、主役は主役なのであり、そういう決断を何の躊躇いもなく果たせてしまう貴文の異常性が際立ちもする。
幼く、周囲の始動でどうとでも染まりうる真が異能に目覚めたのは、逆に良かったのかもしれない。今の貴文だったら、何も考えず殺し、異能を濫用していただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
それは佐河と同じだ。『俺はただの凡人だよ』と、時間稼ぎかもしれないが吐露した彼のほうが、まだヒトに近いのかもしれない。
何しろ主役とラスボス、一対七の超ハンディキャップマッチなので、どっかで不安定な部分を用意してないと圧勝できてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
貴文はサスペンスを担保する身内の爆弾であり、それは無能さと同時にある種の有能さ、身も蓋も倫理もない選択肢をためらわない強さにある。
ただ殺し合いに勝って、佐河を潰せばハイおしまい、という戦いを、ジジイも樹里もヤクザもしていない。この異常な世界の異常な戦いを、どう『人間らしさ』を残したまま生き残るか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
オヤジと翼以外は、闘いと対話をを通じて共有しているこの認識に、貴文も入り込むことが出来るか。
そこがクライマックスに向けて、大事になるのだろうなと思わされる回だった。ぶっ飛んだ超絶異能アクションと、ありふれた崩壊家庭の再生物語が共存している所が、このアニメの面白いところ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
貴文が『父の威厳』への空疎な憧れを捨てて、血の通った良心を駆動させないと、話は収まらない気がする。
真に迫る佐河を体を張って止めたあたり、まだ帰還できる目はあるのだが、ほんとにノーモーションで共感のない行動を取るので、『勝つ』のはなかなか難しそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
その欠損を奇妙なコメディに仕立てて、緊迫した空気を抜くのに使ってくるのも、面白い運びだが。ほんとオヤジはショーがねーなぁ…。
家族とヤクザの連帯で、かなり追い詰められたラスボス・佐河。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
静止した家族の団らんに乱入ぶっこいて、手巻き寿司をモッシャモッシャくったり、カヌリニの臓物をバークバクくったり。やはり『食』を通じて怪物性が強調されていたが、同時にあくまで冷製で理性的な『人間』でもあると見せてきた。
主人公サイドが軒並み欺瞞された貴文の嘘を、一発で見抜いたり。異形の体を削り取られ、壁際に追い込まれてもなお言葉と分析力で仕掛けてきたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
怪物的な身体に同居する、理性の怪物としての顔は、相変わらず元気だ。チンポ剥き出しなのに聞かせてしまう話術は、さすが教祖って感じ。
唐突に過去を語りだしたのは、人間性の発露なのか時間稼ぎなのか、なかなか読めないところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
佐河の思考も行動原理も異様なんだが、同時にそのロジックに一定の説得力があることは、これまでも描かれた。今回の言語戦も、そこから繋がる回想も、佐河というキャラが持つロジックの、延長線上にある。
宗教に取り囲まれ、そこに理想を見ていた少年は、剥き出しの『性』を叩きつけられ怪物を目覚めさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
セミの小便で射精と、自分を支えていた『柱』が崩れ去る呆気なさ、無価値差を暗喩してくるラストカットは、なかなかにエグい演出だった。こういう乾いた詩情があるのは、このアニメの強みだ。
少年の世界を支えていた敬虔と友情は、汚れたセックスをぶちまけられて折れる。その先に佐河の怪物性があるにしても、途中経過は気になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月15日
思わず聞かせる過去話に引きずり込まれてしまうが、それがどんな致命を引っ張るか。状況はまだまだ予断を許さない。こっからどう転がすか、来週も楽しみ。