ハクメイとミコチを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
そろそろ幕が見えてきた9cmスローライフ、今回は夜と風呂と酒のお話。温泉に入りそこねた腹いせに自宅に露天風呂を作ったり、奇人の姉がドデカ大根と一緒に襲来したり。
まったり出来ると思えば一荒れ来て、ドタバタの後に静かな楽しみが待っていて。人生の起伏に満ちた回。
というわけで人数を絞り、どっしり取り回す回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
前半で作った露天風呂が、姉妹の交流を支える舞台装置になる繋ぎ方も良かったが、とにかく『緑』が目に眩しい。
天に伸びる青竹、家を包む新緑。先週の『水』も良かったが、鮮烈にして清らかな『緑』の色彩が、エピソードを貫通していた。
騒がしい昼と、しっとりと落ち着いた夜。同居人二人の打ち解けた時間と、珍客にかき回される日々。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
二編の色合い、一遍の中のムードはかなり移り変わるが、綺麗なんだけど冷たい感じのしない、生命の通った緑色が画面に写り続けることで、それが物語の一側面であり、全部違って全部いいことを教える。
色んな話をやりつつ、統一感を出す。オムニバスを貫通しているテーマがなんなのかは、なかなか言語化が難しいけども、やっぱ『喜び』なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
温泉に入れなかったら、作って入る。トンチキな姉の襲来も、そのまま楽しむ。いろんな出来事を鷹揚に受け止めるタフさと、楽しい何かを見つける視力。
ポジティブな方向に話を進めていくための、強さと賢さと優しさがこの作品にはひっそりあって、それは全話に共通している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
それを増幅させるためのメディアとして、酒も飯も風呂も、皮膚i感覚的な快楽は大事に大事に描かれる。お風呂見て『エロい』より『気持ちよさそう』が先に出るのは強い。
もちろん物語は固有の顔を持っていて、Aパートの風呂作りは大工ハクメイ本領発揮の面白さがある。Bパートをミコチに譲る形になるので、職人全開である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
肩透かしでがっくり…で終わるのではなく、『作る』方向に行く辺り、ほんとタフである。クラフトマンシップが太い、というか。
Aパートはやはり、青竹が圧倒的であった。Bパートの大根も巨大感があったが、とにかく高く真っ直ぐなものが林立する光景は、畏敬にも似た感情を呼び覚ましてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
こういう風景のスペクタクルは、タフな成人女性二人のいい感じライフと同じくらい、このアニメを見ている楽しみである。
しかし戦いているばかりでは、温泉入りそびれたがっくり感は埋まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
仕事の肩こり直すために温泉言ったはずなのに、もしかすっと仕事よりもハードな作業に精を出す。そうやって作り上げた風呂はちゃんと残って、姉妹水入らずの時間を作るための、大事な足場になったりする。
サブに回ったミコチがいい仕事をしていて、青竹に飛び蹴りしたり、労苦をねぎらうつまみを作ってくれたり、ただの黒髪美少女ではない所を見せつけた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
キャラ記号的には深窓の令嬢っぽいんだけども、ガンガン食べてガンガン働くよね、あの黒髪。そういう所好き。
青竹ゴロゴロ転がして、汗だくになって大鉈振るって、石もジュージュー焼いて。休日のはずなのに大汗かいたが、だからこそ風呂が染みる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
労働と休暇の境界線が曖昧なお話ではあるが、その混じり合いは不快ではない。成り行きに流されつつ、そのコントロールを自力で掴み取るタフさがあるからか。
そんな二人の夜の酒が飲み干されて、また次の日が来る。ミコチの姉、アユネの来訪である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
気のしれたミコチにも見せない、肉親だからこその砕けきった反応がいい。トンチキなれど憎めない、むしろ強く影響されてきた身内にだけ見せる表情が、ミコチの新しい魅力となる。
Bパートは仕草の細やかさが凄く鮮烈なエピソードで、大根を刻むミコチの手際と姉の不器用、しかし片手マッチでパイプをくゆらす堂の入り方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
キャラクター性を動きで見せるだけでなく、姉妹の心根の違いまでしっかり乗っかっていて、ドラマを飲み込む補助線として、芝居が機能していた。
アクシデントを楽しみに変えるハクメイのタフネスはこっちでも健在で、かなり強火の変人にも自然体で付き合いつつ、同居人の姉への心象をよく見つめている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
朗らかに付き合いつつ、『二人きりで話させたほうが良いな』と判断して風呂に行く心配り。やはりよく出来たニンである。
ミコチもそういう気遣いは理解していて、アユネとの時間をしっとりと味わう。昼間に演じられたドタバタから、スーッっと空気が冷えて真面目な話をする時間に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
ホームコメディをしっかり楽しく仕上げたことが、終盤の穏やかなシリアスとの対人もなり、また土台ともなる。
楽しく喧嘩して、一緒にふろふきを食べて。そういう構えない付き合いが出来るからこそ、ショットグラスを媒に、本音を交換しあう時間も作れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
Aパートとはまた違う角度で、キャラクターが生きている時間をどっしり追う作りになっていて、非常に良かった。
元気に本筋を追う話もいいが、ゆったりと話を展開させつつ行間を読ませる今回のような仕上がりも、また良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
美術と芝居が良いので、読むべきスペースはたくさんあるし、それはただの空白ではない。色んなメッセージが秘められた無言の書物であり、それを勝手に読みほぐすのは楽しい行為だ。
目を三角にして見なくても、非常に繊細に作られたこの物語の空白は、色んな意味を伝えてくる。そういう靭やかな主張をしっかり埋め込みつつ、前に出て積極的に読み、味わうスタンスも許容してくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
そういう懐の深さが、日々を乗りこなす二人からよく見えるエピソードでした。
Aパートでハクミコ二人の熟れきった関係を見せておいて、Bパートにアユネという異物を混ぜ込んで風合いを変える。そうして見える、別の良さを楽しませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月16日
そういう構成の妙味も堪能できて、とても楽しかったです。残り二話、どういう景色、どういう喜びを見せてくれるか。楽しみですね。