BEATLESSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
ツクバ・オブ・ザ・デッドの惨劇が開け、それぞれの立場が揺れる。ぬるま湯のような日常、激変する環境、明かされる遺志。契約者達が見据える現在と未来は、温度差を孕みつつ平穏を演じていた。
新展開を前にしての状況整理回。ギャルゲー主人公アラトの浮きっぷりがスゲェ。
というわけで、比較的穏やかに進む回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
アラトとレイシア、リョウとメトーデ、エリカとマリアージュ。マスターなしの紅霞とスノウドロップを除外して、それぞれが置かれている環境をスケッチし、最後の立食パーティーでまとめ上げる感じか。
渡来さんのダイイング・メッセージも、前倒しで公開。
メカゾンビ禍に巻き込まれ、目の前で死人が出てもアラトの日常には変化がない。レイシアとイチャコラし、妹とヌルい掛け合いをして、平穏でゆるぎのない日々が過ぎていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
しかしその周辺には嫌疑と監視の渦が唸りを上げている。警察だって、当然バカじゃない。
未成年という壁、レイシアの情報工作に阻まれて、法権力の荒波はアラトにまで届かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
だからあのヘラヘラ顔でセックスするのしねーの、ジュブナイルポルノめいたやり取りを世紀の大問題であるかのように、ギャーギャー喚き立てることも出来る。
しかしだからといって、レイシア級hIEが持つ意味の巨大さ、存在するだけで世界を歪めてしまうような質量が消えてなくなるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
隠され、守られ、見落とし、あるいは意識して見過ごして。アラトのラノベめいた緩い世界は、孤独な楽園のように幸福の維持され続けている。
アラト周辺のロマンスを徹底的に軽薄に、不穏にやり続けているのは、アニメ版の良いところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
リョウは会社組織の巨大な歯車に組み込まれ、悪魔と契約した。ケンゴは犯罪者としてマークされつつ、出口のない部屋から出ることは出来ない。
友人との温度差は、狙ってやっているのだろう。
世界全てを信じられなくなるほど傷ついた妹に、リョウはかつての自分を重ねる。社内政治の歯車としてぶっ殺され、鬱屈した自己へと強制的に整形されてしまったのと同じうねりが、妹を壊した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
リョウは小児期に刻み込まれた無力感を、相手を変え形を変え、より激烈な形で今も叩きつけられ続ける。
道具として使い潰される運命を乗り越えるべく、悪魔と契約する。海内兄妹は非常に似通ったモチベーションで、メトーデと契約し袋小路に追い込まれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
アラトがのんびりギャルゲしている内に、生きるか死ぬかの権力サスペンスの主役だ。だが、二つのゲームは完全に切り離されているわけではない。
一個人の意志をすり潰し、歯車として機能させる権力機構。そのど真ん中でゴリゴリされつつ、それでも『自分』でいたいと思える強さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
リョウにそれがあるのは、過去の爆破事件で世界に絶望しても、自分に笑いかけてくれたアラトがいるからだ。だからアラトが、AIの便利な道具になるのは耐えられない。
そして巨大な存在だからこそ、置いていかれるのは耐えられないし、意思を失った歯車としての自分を晒すのも耐えられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
リョウのアラトコンプレックスは一方通行で、かなり激烈だ。メトーデとの契約はもちろん、社内政治を逃げ延びる緊急避難だが、アラトに誇れる自分を維持する意志もあったと思う
メトーデと契約することで、リョウもレイシア級オーナーとしてアラトに横並びした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
お互いの視線に見えているのは、機械の女の子と幸福にラブラブできる理想郷と、機械も人間もそれぞれの喉笛を狙うむき出しの荒野。
どっちが『本当』かと言えば、後者なのだろう。
リョウが見据え、当事者でもある荒野。アラトには認識されない経済と政治と司法は、人間社会を維持する強力なフレームとして常にそこにあり、構成員を監視し、支配している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
子供が考えなくても良いはずのそういうリアリズムに、アラトもリョウもずっと巻き込まれている。
リョウはそういう世界を認識し、アラトはしていない。優しい日常の壁がぶっ壊れて、アラトが淡い夢から醒めるとき、ようやく二人は対等になれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
その日はあんま遠くないだろうな、というのは、司法の遠巻きな監視からも見て取れる。ヤベーってアラトくん。
リョウもとっとと、自分が巻き込まれているキッツいリアルにアラトが落っこちて、同じ世界を見て同じ言葉で喋って欲しいと思っているようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
それでも、チョロい友人が作り出す嘘っぱちの平穏が暖かくて、それでギリギリ魂を保ってもいるのだから、なかなかに複雑だ。
ハードさを増す世界を前に、リョウは積極的にアラト的なヌルい世界に決別して、血も涙もない歯車に自分を追い込もうとしている。外界への適応と変化は、何もレイシア級の特権ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
そんな事しなくても生き延びられる主人公特権に守られ、アラトは微睡む。いつまで続き、目覚めた後にも夢はあるか
一方エリカは、レイシア級と的確なパートナーシップを作り、手持ちのリソースを最大限活用して情報アドバンテージを握り込んでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
物語の始動因を独占的に知ってるの、かなりのアドだよなぁ…初期状態が判ると、色々予測もしやすいだろうし。招待状を送れる時点で、かなりのアド差ついてる。
渡来さんの遺書は、レイシア級の後ろにいるヒギンズ、それに取り込まれたミームフレーム社を強調してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
二本の足で歩く管理サーバー。人類技術を超越した未来のカタチ。レイシア級の設計図と開発計画を送りつけることで、ヒギンズは人間をアナログハックした。
『実験室のデータじゃ、このウイルスが人類進化の特効薬になるか、大虐殺引き起こすかわかんねぇ…だから事故装ってバラまこうぜ!』みたいな、渡来さんの初期衝動。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
神様からもらった未来の地図が、本来のスペック発揮できないなら、既存の人類定義がぶっ壊れてでも先を見たい。マッドだなぁ…。
それは渡来さん個人の暴走であると同時に、時代の必然、人間の宿業でもあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
先を見たい、世界をより良くしたい、もっと楽したい。人間の奥底から湧き上がる変化への欲望は、火を手に取ったときから変わらない。『とにかく見たい』というプリミティブな欲望は、シンプルだからこそ強い。
人間が生み出した技術や道具は、その思惑を超えて独自の意味を持ち、想定を超えたかたちを生み出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
火や車輪や蒸気機関やAIが積み上げてきた、いびつで当然の技術進化史。人間定義すら技術化する超高度AIも、そのツリーの先端にある。
リョウが環境に挟み込まれつつ『オレはオレでありたい』と願い、メトーデと契約したように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
ヒギンズもまた、神様の設計図を未来から手渡すことで、何らか己を発露する戦略を駆動させているのか。末娘たるレイシアの高度なアナログハック能力は、その延長線上にあるのか。
そこら辺は機械知性サイドの情報が伏せ札なので、まだ分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
ただ、渡来さんは己の中の資質をくすぐられて、機械知性が人類社会に拡散する扉を開け放つ役を背負った。
それは自由意志であり、アナログハックによる操作でもある。その境界線は、常に曖昧なのだろう。
どっちにしても種子は撒かれ、ギャルゲーっぽい日常とか、テロリズムとか、メカゾンビの逆襲とか、色んな芽を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
財力的にも精神的にも、オーナーで一番自由と力を所持しているエリカは、渡来のメッセージと一緒に『一番状況を知っている役』も引き継いだ形か。
エリカはサトゥルヌスにマリアージュという名前を与えることで、その方向性を変化させた。渡来が持っている初期情報とは違うスペックを、マリアージュは発揮している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
能力と意志によって、レイシア級による人類変化ゲーム(それは自己変化ゲームでもある)は、刻々とその姿を変えていく。
リョウが噛み砕かれつつある『会社』を、エリカはオーナーとして所有し、適切に運用している。レイシアを広告塔にした、世界規模の商業プロパガンダ戦術は、彼女が承認したから動く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
ここら辺の器と状況が、各オーナーで多層なところが、マルチプレイヤーゲームとしてなかなか面白いところだ。
情報、財力、人間としての経験値、レイシア級とのパートナーシップ、確固たる自己イメージ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
エリカが握り込んでいるアドバンテージは多層かつ膨大で、な~んも気づいてないギャルゲ主人公とか、会社に殺されかけてる必死ボーイとは、ちと違う位置にいる。そこからメッセージが降りてくる。
エリカは渡来の遺志を継ぎ、あるいは己の感情と欲望に従って、レイシア級を開けた存在にすることを望む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
社会に接合され、変化し変化される存在。法的拘束や経済圧力や暴力も含めた様々なアプローチを、堂々と繰り広げる一主体として、世界を撹拌させることを望む。セカイ系の時間はおしまいだ!
エリカの宣言がなくても、レイシア級とそのオーナーは常に社会的・経済的・司法的な存在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
戦いは不可思議な結界の中の妖しい殺し合いで終わらず、警察に調査される。オーナー権限は複雑な所有権法の中に取り込まれていて、レイシアは金と圧力でそれに切り込んでいった。
その上で、エリカは『そっち側』に踏み込めと誘う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
リョウが必死に隠蔽し、スノウドロップを生贄に切り捨てようとしている真実を、世の中に晒せ、と。
それで壊れるもの、崩れるものは、変化のために必要なスペースだ。というか、シンギュラリティ以降、それはもう壊れて空っぽなのだ。
眠り姫として、AI以前の世界を鮮明に記憶するエリカには、超高度AI以降の世界の歪が良く見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
普通人にとってはジワジワと進んでいった見えない変化は、タイムリーパーにとっては鮮明なのだ。すっかり変わり果ててしまった、違和感まみれの超未来。
アンティークとなったキティちゃんグッズを身近において、ノスタルジーを個人レベルでは保持しつつも、レイシア級オーナーとしては全力で、公開と前進に舵を切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
そこで抗体ネットワークのような、ネオラッダイトの方向に行かないところが、エリカのクレバーでヤバいところだ。
超AIに満ちた世界はもうどうしようもなく変化しきっていて、最後の針の一刺しでプツンと弾ける寸前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
なら、弾けさせてしまえ、というのがエリカのスタンス。
なら、一刺しだけは止める、というのがリョウのスタンス。
え? そんなんなってんの? というのがアラトのスタンスか。
そういう世界に、人間サイドとhIEサイド両方から置いてけぼりにされているのが紅霞とケンゴのコンビ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
ドンパチがいくら強くても、最後は政治と経済とコミュニケーションで決まる戦いだということが、今回嫌ってほど強調されていた。単純兵器でしかない紅霞ちゃんには、かなり分の悪い勝負だ。
これはレイシア級で唯一、警察にマークされていることからも判る。偽造IDを餌に使われて、レイシアさんを隠す煙幕にされた形だなぁ…エゲツない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
メトーデはミームフレーム社、マリアージュはエリカ。他のメンバーが持ってる組織的後ろ盾がないのも、ディスアドバンテージだし。
抗体ネットワークは紅霞を積極的に守るオーナーではなく、あくまで兵器として使い潰す。鬱屈した一大衆でしかないケンゴと契約しても、突破口は開かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
なかなか詰んでる状況だ。そんな彼女でも、『私は私』というメッセージを刻み込みたい欲望は…あるのかな?
望むべき未来のカタチを、エリカはレイシア級とオーナーに問う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
それが既存の人類定義の維持でも、AI生命体による人類絶滅でも、虚飾を剥ぎ取った新世代の到来でも。あるいは不定の霧の中で定まらなくても。
二本足の原子炉とも言うべき危険性を持ったレイシア級を、政治も経済も司法も放っておかない
機械と人間が望む、世界と自分の形。それは個人の魂に安住するものではなく、自動的に社会に接合され、必ず強力な圧力に捻じ曲げられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
その必然を前にして、アクター達がどんな状況にいて、何を見据え何を見落としているかを確認するエピソードでした。
『お前らが思っとうより、世界は鋭く見張ってるし、殴るための棍棒を複数用意してっから』と告げる回だったわけだけども、それへの返答は今後、アクションとドラマの中で個々告げてく感じかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日
『単純ドンパチでは勝てませーん!』と言われて、メトーデと紅霞に死亡フラグが立ったわけだが、さて。
それ以外の連中もみんな結構焦げ付いてて、主役だけが三界火宅の現状に気づいていない。甘い午睡を打ち破るのがいつになるか、その周辺でどんだけ焼け焦げていくか色々楽しみなんだが、来週特番か…このアニメ自体も当然単独で存在するわけじゃなく、経済と接合され続けてるわなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月14日