メガロボクスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
Gearless。
社会の歯車になることすら許されない番外地から、世界のてっぺんに拳を突き立てるべく、少年は矛も楯も捨て去る。己の生命しか張るものがないど底辺、渾身のイカサマ。
だが、大勝負を前に体は震る。
鋼鉄に強化された拳、素裸の自分。孤独を前に、顎に喰われるか。
そんな感じの初試合&チーム番外地結成回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
地下の生暖かい八百長ではなく、全てを賭けて勝敗が決まってしまう世間の冷たさを前に、震え上がるジョー。『鮫』という敵のトーテムと、自由を奪う緊張感を『海』で表した表現が重なって、なかなか面白い仕上がりだった。
ジョーはここまで不敵で自由な、ツッパった表情が魅力的な主人公だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
しかし今回の作画はちょっと柔らかめの表情を前面に押し出し、プロ一戦目のグリーンボーイ、ただの少年でしかないジャンクドッグをしっかり見せる。柔らかい視線、必死の逃走。
今週のジョーは、ただのガキに見える。
それは武器であり防具でもあるギアを脱いで、剥き出しのパンチに身を晒す恐怖が生み出した表情だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
ただ強ければのし上がれる。そういう理屈が通用しない興行の世界へ、どん底から殴り込みをかける。何らか広告塔になるフックが必要で、そのためにはギアを脱ぐ必要がある。贋作の見立ては正確だ。
しかしそういう無茶苦茶を押し通すためには、ギアに頼らない鎧と武器が必要になる。素っ裸のジョーはただのガキで、さんざん磨き上げたステップワーク忘れて、ドタドタと不格好に走り回る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
勇気と信頼。心の鎧を分厚くしなきゃ、サイバー世代のノーガード戦法は成立しない。
贋作もまた、大舞台を前に震えている。どう戦えばいいかをすっかり忘れて、ジョーの素顔をちゃんと見れなくなっている。歯車は噛み合わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
熱くなって反則を行う対戦者にかけられた『相手は自分自身だぞ!』という声は、バラバラのチーム番外地にも投げかけられている。
ジョーはただのガキ、贋作は業突く張り。八百長に縛り付けられた過去に戻ったように、決意を忘れてしまった二人に、サチオが水をぶっかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
二人の戦いに『あした』を見つけた底辺代表として、ジョーも贋作も一人で戦っているわけではないことを、涙とともに叩きつける。
ヒロイン力高ぇ…。
ギアを外したことで、メカニック属性のサチオの仕事がなくなるんじゃないかと思っていたが、一番弱いからこそいちばん大事なものを思い出させるいい仕事を担当し、素晴らしい見せ場だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
ジョーの試合はアブハチや藤巻のもとにも届く。ストリートのガキもポスターを張ってくれる。
自分の命が鋼鉄のハンマーの前に晒される、孤独なリング。しかしだからこそ、ジョーは一人で戦えないし、一人で戦っているわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
その無謀な挑戦に惹きつけられ、『あした』を見る人が必ずいる。贋作も、ジョー自身も、そんな背中に引き寄せられて、無謀な勝負に打って出た。
サチオがぶっかけた冷水は、そういう原点を思い出させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
贋作は一度挫折し、勝負の世界を知る先輩…『オヤジ』として、恐怖との踊り方を教える。お前のことは、一番俺がよく判ってやれる。一緒に汗を流し、踊り方を教えた男の手が、優しくジョーの体を撫でる。お前はひとりじゃない、と。
この時、ジョーの幼さを強調していた作画が、贋作の優しさ、擦れっ枯らしのイカサマ野郎に残った温もりを見事に表現していたのが、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
致命的な弱さは、時に優しさに繋がり、それは弱さを強さに変えていく。ジョーが贋作の手で立ち上がったように、贋作自身もその優しさで変わっていく。
前回ロジックのあるジョーのボクシングを一回見せ、それが緊張で崩れる様、仲間の支えで復活する様子をしっかり伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
アクションシーンがしっかりメッセージを持っていて、昂奮と同時に意味も届けてくれるのが、見ていて心地よい。
ジョーはようやく、震えを噛み締めて昔を思い出せたのだ。
ギアで高めたパンチ力が、そのまま相手に跳ね返るカウンター。背中を向けて逃げ出して、攻撃を誘って交わす。牙をタメた弱者が、『階級』に守られた強者に食らわすための戦い方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
2Rまでの迷走含めて、ジョーたちの戦いそのもののような試合展開が、丁寧に積み上がる回だった。
その後第4戦まで状況は一気に進むが、第1戦で確かめたチームの絆が、メシと特訓、寝床と研究を共に行うことで強化されていく描写が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
定番といえば定番なんだが、やっぱ泥臭い衣食住を共有し、生きることの根っこを預けあう運命共同体の描写は、キャラを視聴者にグッと近づけてくれる。
ギアレス・ジョーの快進撃は、贋作の狙い通りセンセーションを巻き起こし、てっぺんで待つ白都のお嬢まで届く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
お嬢もなにか考えがあってメガロボクスに投資してるっぽいが、番外地サイドの話が落ち着いたら、こっちも掘るのかなぁ。上には上の苦しみがあると書くと、作品に遠近法が生まれて良いな。
しかし今重要なのは、ジョー側の事情を掘ることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
ボクシング、戦うこと、生きること。ジョーにないものを与えてくれる、頼れる『オヤジ』。イカサマ野郎に堕ちていても、なにか光る過去を感じさせる南部の描写。
第4戦の相手は、そんな汚れちまった黄金に光を当てるボクサーのようだ。
今回柔らかさのある作画で、その色気と弱さを見せた南部贋作。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
ジョーが今回『初めて』に震え、それを乗り越えたのに対し、彼が向かい合うべきなのは捨て去ってしまった『かつて』だ。
ベクトルは逆でも、向かい合うことでしか『あした』は来ない。その戦いもまた今回のように『一人』ではないのだろう
傷だらけの兵が、いったい贋作の何を顕にしていくのか。過去という鎖を断ち切るために、チーム番外地は、そして贋作自身はどんなステップを刻むのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月27日
グイグイのし上がる勢いも借りて、更に面白さを増していくメガロボクス。来週も楽しみですね。