あまんちゅ! ~あどばんす~を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
頃合いは秋。少し肌寒い風と高い空が心地よい季節は、いつもの海ではなく夢に潜りましょう。
現実のような夢と、夢のような現実をスイッチしながら、二人の少女が二人に出会う。不思議なテイストを美麗なレイアウトで支える、幻想色の強いお話。
というわけで夏休みも終わり、秋のお話である。妖怪うぴょうぴょ顔はまーた、面倒くさい精神をした存在の心に滑り込み、妖怪黒髪ズブズブは明晰夢を自在に飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
夢と現実、商店街と喫茶店。離れているし相手も違うが、てこもぴかりも年下相手にちょっとお姉さんぶる。
今回のお話はすごく不思議な繋がりで様々なものが連帯する、秋のタピストリのようなエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
現実と夢の境界線が元々薄いアニメであるが、てこの明晰夢はぴかりが足場を置く現実と、変わりのない筆致で書かれる。ソフトフォーカスしたり、輪郭をぼやかしたりはしない。
少女が空を飛ぶ不思議な夢と、少年が悩みを吹っ切る現実は、どちらが優位ということもなく、二つとも同じ調子で描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
喫茶店で隣り合った二人が、夢を共有する理屈も説明されない。兎にも角にも、それはとても良く似通ったもので、通じ合えるものだ、という原則が分厚く場面を繋ぐ。
てこは持ち前の人間力でグイグイ前に出て、こころちゃんの心に滑り込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
ちょっとした鬱屈、綺麗なお姉さんに話しかける気恥ずかしさと照れ。いつものごとくそういうものを踏み倒し、世界の素敵な実相に気付かせる。夢は目を開けても、見れるものだと伝えてくる。
この伝達力と発想力の強さ、素直な認識力の高さがぴかりの強みであり、てこもこころちゃんもあっという間にズブズブにされる足場である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
美少年と美少女の中間点にいるこころちゃんの、ナイーブで美しい表情を丁寧に切り取るカメラが、なんとも甘酸っぱい味わいで素晴らしい。
いっぽうてこは夢の中で、名前も知らない少女にお姉さんぶる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
夢だからこそ、ぴかりのような積極性を発揮して、なりたい自分になれる。誰かの悩みを引き受けて、魔法のように美しい光景まで連れて行ってあげられる。
一見似通った行動をとっているように見えて、やはりそこには差異がある。
ぴかりが『現実』で見せている積極性を、てこは『夢』の中でしか持ちえない。しかしそれは常に憧れる親友の真似であり、夢見て真似することが実際のてこを変えても行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
てこにとってなりたい私…『夢』は、どこかぴかりに似た姿をしているわけだ。手遅れなレベルでズブズブですね。
いつか夢と現実の境界線を超えて、ざっくばらんに他人を背負える立派ンな人になれたら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
そう夢見るぴかりの、一炊の導き。目覚めれば醒めてしまう、夢を共有した少女が隣りにいることにも気づけない、そんな儚い泡影。ぴかりと心ちゃんの絆の強さに対し、少女との縁は目が覚めると消えてしまう。
夢のような現実、現実のような夢の共通点を描きつつ、まだ夢を現実にできていないてこと、夢のような現実をしっかり踏みしめるぴかりとの差異を強調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
ファンシーだが、二人の現状を丁寧に描く残酷な話でもあろう。しかしそれは、ちゃんと繋がっているのだ。
夢とも現ともつかない二つの場面を、絵画的なレイアウトが見事につなげている。顔をあえて映さない、重力の薄い表現。紅葉が美しく世界を覆う秋の風景の中で、世界の分割線は鮮明に夢を描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
©2018 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部 pic.twitter.com/abGkyIewIk
ピッチリ画面を切り取る直線と、しっとりと人体の曲線を撫でる描画の共存。うなじやまぶた、足首や背中の丸さを大事に、エロティックな微温を込めて切り取る肉体表現は、陸に上がっても顕在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
今回は人の街を歩く話なので、特に直線と曲線の対比と共存が見事であった。
特にこの、こころちゃんがぴかりに溜め込んだ鬱屈を告白するシーンは良い。スパッと大胆に、斜めに切り取る線が、奥行きを強調しながら手前に一本伸びて、二人の立場の違い、心境の差異を強調してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
©2018 天野こずえ/マッグガーデン・夢ヶ丘高校ダイビング部 pic.twitter.com/aa8ERFKq3a
『男らしさ』を追い求め、なかなか感性を解き放てないこころちゃんが、無意識に(あるいは意識的に)作り出している透明な壁。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
それをぴかりはぐいっと乗り越え、手をつないで自分の領域に引っ張り込む。てこが夢の中でしか出来ない飛翔を、箒もないのに飛べてしまう。そういう強さが、物語を牽引する
ナイーブな美少年が、明るく面白いお姉さんにあの間合いでグイグイ来られたら、そりゃまぁイチコロである。罪作りな女だなホントおめー…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
美しい世界、美しい人々を丁寧に書く筆が、心がふれあい変化していく歩みもまた、繊細に切り取ってくれる。その小さな波風を見るのは楽しい。
天野先生の恥ずかしいセリフ回しは、簡単に上滑りする。行き届いた構図の意識、細やかな身体と心理の表現があってこそ、キャラが見つけた『素敵な世界』がしっかり届くのだなぁと再確認させられる、秋の日の白昼夢でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月1日
綺麗で良いエピソードだったなぁ…来週も楽しみですね。