ダーリン・イン・ザ・フランクスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
少年たちはかくして、最後の決戦へと挑む。それが終わればすべてが叶う、約束の決戦へと。
暴かれる真実、砕かれた大地が、そんな虚飾を剥ぎ取っていく。ガラスの天蓋を弾き飛ばして、世界は高く、高く、成層圏の彼方へ。
さぁ、宇宙がリングだ。
というわけで、ドワオ! とスケールがデカくなっただダリフラ。ぶっちゃけ超不安である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
これまで少年たちの小さなサークルと、無慈悲で無関心な世界とのバランス(あるいはアンバランス)で成り立っていた世界は、比較的コンパクトだった。人間が生きて死ぬ、ごくごく当たり前の、箱庭の中のお話。
おれでお話が収まるものだとばかり思っていたら、超古代文明と宇宙からの侵略者の猛烈バトルが唐突に公開され、主人公が再度の不能に陥る中でビームが飛び交い、ほぼすべてのキャラ置いてけぼりで叫竜の姫とVIRMの二人が好き勝手絶頂に大暴れである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
そらまぁ、不安になるわマジ。
デカい話になったのは悪いことばかりではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
どうにもやるせなく、どうしようもなく終わりそうだった物語が『敵をぶっ飛ばす』というわかりやすいカタルシスで、一応収まる目処が付いたのは、悪しき神様が空から降りてきてくれたおかげではある。
答えの出ない問、答えを出してくれない世界と取っ組み合いをした結果、命を使い果たして、灰の中のダイヤモンドのような煌めきだけを慰みに物語を見終わる覚悟をしてきた視聴者としては、何かガキどもが生存し、生存を維持していけそうなムードが出てきたのは喜ばしい…部分もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
しかしスケールがデカくなるのは良し悪しで、宇宙神が出てきて『星の生命の象徴は、宇宙の規律を乱すので盗めないなら爆破する』みてーなデカいことを言い出すと、んじゃあ地べたに這いずって生きるの死ぬの、産むの殺すのやってるデミ虫の悩みはどうなんのよ、となってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
肥大化したスケールが、ここまで地道に、それこそ裏設定をチラ見せする余裕もなく全力で地道に走ってきた人間の証明を、ちっぽけなものにしてしまいかねないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
今回の当惑には、唐突さ以上にそういう不安がある。少なくとも、僕はそうである。
ロボットアニメ特有のアガる展開を蹴っ飛ばし、暗くてウジウジして隠微で複雑な描写が絡み合う、ポストアポカリプス青春群像劇が肌に馴染んだ身としては、ここでもう一度『のんきなロボアニメ』になって、今までの話が軽んじられてしまうと、ちょっと困るのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
過去に『ダリフラに”ロボアニメ”を期待してたボーイズは、相当当惑してるだろうな(俺は違うけど)』みたいなことを書いたが、その発言がブーメランになって額に突き刺さっている状態である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
いやまぁ『APEの『人類』への冷淡さは、世代間というより種族間闘争だろうね』とは読んでいたけども。
んじゃあココロが『街』でお母さん小冊子拾う代わりに、『別冊ムー 超古代叫竜文明と異質知性体VIRM』みたいな本見つけて、疑問を持って世界の謎に挑んでいればよかったかというと、またそれも違う気はするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
ココロちゃんがあの本拾ってからのグネグネした青春曲り道、俺大好きだしさ。
ダリフラの引用主義も不安な心を加速させてはいて、『生きる力こそがカオスの源泉、エントロピーを乗り越えるべくお前らは死ね!!』とかは、まぁグレンラガンとゲッターでやったじゃないですか。他にも色々あるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
そういう手垢がついたオチで収めるには、ここまでの命ガタリは勿体無いと思う。
ここで分かりやすく非生命・非人間が出てきて、『人間』であるヒロ達がそれ否定すれば作品のテーマを拾いきれるってのは、ちーっと安楽に過ぎる感じはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
当然、そうなるってわけではないけども、今回拡大した世界観とバラまいたネタを見ると、そういう不安は強くなる。
この不安感は、状況に主人公たちが一切コミットしていないことも関係してる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
ゼロツーはポイ捨てされて血まみれ、ヒロは縛り付けられて第1部以来の去勢状態。13部隊の戦いも、舞台裏がバレれば当事者性が薄くなる。叫竜も子供も、量産可能な兵器のじゃれ合いなわけで。
それは勿論、神様がビービービーム打ち合うスカした戦場に、赤い血みどろの一撃を主役がぶち込むべく用意された軛ではあるんだろうが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
この『やりたい事は判るが、ほんとにそこまでイケるの…?』感は、第一部を見ていた当時を思いだし、懐かしくもあり不安でもあり。
デカい道具立てをどう使い、今まで語ってきた地道な生き死にの葛藤に答えを出すか。それは先を見ないと分からない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
ただまぁ、スケールと感情に手触りを巧く馴染ませて、キャラの心理が見てる視聴者にしっかり収まるようなお話を、やってくれると嬉しいなぁ、とは思う。やって欲しいなぁ、とも。
地球を下に見るレイヤーまで話が拡大せず、ガラスの天井を下から見上げるお話で終わるなら、後味は悪いし話はコンパクトだが、結構納得行く形で終わったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
異質な世界、異質な倫理、異質な生き物の話だったけど、とても普遍的でありふれた生と性の話であると、自分の中で収まりそうな期待と予感
しかし製作者サイドはスケールを引き上げ、ヒロたちを押さえつけてきたガラスの天井を、人間の小さな手ではとても届かない成層圏まで一気に押し上げてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
そこをみっしり埋めて、超常でなおかつ納得の行く生き死にを、描ききれるのか。
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やっぱり僕は、そこが不安である。同時に、少し楽しみでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
デカいスケールにまでヒロとゼロツー、コドモたちの当事者性を拡大できるなら、デカさに見合った興奮もあるだろうし。過去作で、そういう曲芸を走りきった作品が、無いわけでもないし。
(という実例を探るために、”トップをねらえ2!”を見返したら、やっぱりいいアニメで色々言いたくなったので、このあと言うことにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
しかしこの感想はあくまで、リアルタイムのTVシリーズアニメの感想として、独立して切り分けることとする)
デカくなったスケールで見落としてしまいがちだが、これまでのダリフラを支えてきた地道で神経質な描写は、今回も元気である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
映像を管理する手腕が投げ捨てられたわけではないことが、話の軸が大きく変わった(ように感じる)としても、全て投げ捨てる気にならない大きな足場となっている。
例えばココロが悪阻を起こして、『ああ、ミツルはスパロボ出たら確実に”必中”持ちだね』という、最悪の感想が頭をよぎった時。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
水を受け渡す/受け渡しに失敗するという描写は、第5話や第17話で幾度も見られた、共通の描写である。
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そこで受け渡されているのは心の平穏、あるいは潤いであり、指輪を外したココロはそれを取り落とす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
あるいはもっと露骨に、破水を先取りする描写か。水が足元に落ちて膝をつくアクションといい、なかなかエグくて良かった。
消された記憶が、『名前』を呼ぶことで蘇生する描写。(その背景には、ヒロの名付け…救世主的洗礼がある)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
あるいは、少年たちのサークルの戦闘にゼロツーが立ち、価値を蔑する9sに立ち向かう描写。
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話のスケールが成層圏外までぶっ飛んでいっても、そういう静かで地道な描写の継承は、いたるところで生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
フランクス博士が地面に縫い留められるシーンも、前回と同じ構図である。ホントオメーは成長しねぇな…人類最後の生き残りがコレか。
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そんなフランクス博士が焦がれる叫竜の姫・01は、ヒロの唇を強引に奪い、13部隊ではすっかり無くなってしまった『支配的なセックス』を演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
ボトムに沈むこむ時、死亡フラグバリバリに立てながらゼロツーとやさしいキスしていたのとは正反対である。
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01と02のキスは立ち位置が変わっているのも面白くて、仕掛ける側/受け入れる側(非常に抑圧的な言い回しだと『男役/女役』)が変化していることを、スタンスと色で見せている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
01のキスは捕食というか咀嚼というか、冷たくて感情が伴わない。正に蛇女のキスである。
13部隊が到達した対等なパートナーシップを見せるためか、今回少年と少女達は常に、モニタに機体を反射した形で対話する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
バックからズコズコする絵面はあまりにエグいんで、写すと子供らの清潔感汚れちゃうからな……。
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これは同時に人機一体、陰陽和合の境地を演出もしていて、ミツココを心配そうに見守るミクの目線は、人体ではなくフランクスによって表現される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
サイズ比が画面に面白さを生んでいるシーンだが、アルジェンティアの瞳はとても優しい。
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ここまで20話、世界の成り立ちやでっかい(でっかすぎる)戦いを押しのけてでも、このアニメは小さなサークルの中の心理の変化と結合を、丁寧に追ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
その結果生まれたものは、激戦の中でも少年少女を守り、力を与えている。全てが無になったわけでは、当然無いのだ。
しかし風雲急を告げる戦いは、より強く死を引き寄せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
近くて遠い未来を語るゼロツーとヒロは、明るい明日の話を約束しているのに、非常に薄暗い陰りの中にある。まるで、空を飛ぶ夢がかなわないかのような、不安定な魅せ方。
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このアニメの中で『影』が親密さや秘密の共有、静けさや優しさや癒やしを含んだ、必ずしもネガティブな象徴ではなかったことを考えると、悲観ばかりが出てくるわけではないが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
やはり不安である。ゼロツーは絵本のラストページを、一体どうするつもりなのか。そういうことが気にかかる。
光と影の複雑な淡いの中で切り取られてきた、同じように複雑で繊細で、普遍的な人間心理。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
やっぱ個人的な趣向としてはそこを大事にして欲しくて、ビームズバズバやるド派手展開よりも、地道な演出に目が行った。ロボアニメ向いてないんじゃないのアンタ……。
どっちにしても、物語を結末に引っ張っていく特権は視聴者ではなく作者にある。それを見て良いの悪いの、面白いのつまんねぇの感じる権利は視聴者にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
だから、古いものと新しいもの、期待と不安が入り交じる中でこのアニメがどうなるかは、やっぱ見守るしかない。
それを『信じて見守る』といい切れるほど、やっぱ僕はこのアニメと巧く寝れてなくて、どうにも体重を預けきるのに躊躇はしてしまう。少し揶揄の混じった感想にもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
しかし同時に、どうなるにせよ見届けようという気持ちにも、このアニメはさせてくれているのだ。
デカレリチアで大反撃かと思いきや、地球をぶっ壊すウイルスが仕込まれてたのが判ってさぁ大変。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
お話はここまで転がったけども、そこに主役とヒロインが一切手を伸ばしてないでしょ! っていう状況だ。そこら辺の違和感や当惑、結構キャラが台詞にしてるのは面白い。『規模がでかすぎる!』とか
ネタ方面でいうと、釘宮病を極限までこじらせて最高に気持ち悪いフランクス博士が最高に最悪で、おまけにAPEの真実まではたどり着いてないんでこいつも蚊帳の外で、色々面白すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
自分勝手な美学で状況を進めて、拒絶されたらションボリするのは悪いオタクだなぁホント…。
ハチ兄さんも涼しい顔で『本当の』ナナをかくまっているようで、飼い犬の叛逆に期待が高まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
しかし量産型ナナと隠されたナナの差異を、そこまでガリガリ彫り込まない人間観念は、ヒューマンSFとしてのダリフラの弱さかなあ、と少し思う。
過去作を尊重してか、保守的なのか。結構既存の『答え』をなぞっているように見える部分が多々あって、せっかく攻めた話やってんだから作品独自の、あるいは既存の常識に反する『答え』を出してくれても、結構飲める気はしてんだが…これは最後まで見ないとどうとも言えんな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
とまれ、色々あった回でした。こっから舵がどう切られ、何にクローズアップして尺が使われるか。何が語られていくかが大事なわけで、家事が切り替わった事自体に文句言ってもしょうがねぇかな、とは思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
いやビックリしたし、難しくなった感じは受けるけども。どーなんだろうねホント。
ビッグバン級に拡大する作品世界に、ちょっと置いてけぼり気味な主人公とヒロイン。次回足場を取り戻し、狂い咲く人間の証明を神様気取りの蛇と猿にぶち込むことが出来るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月12日
全く油断ができなくなったダリフラ終盤戦、来週も楽しみですね。