BEATLESSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
三鷹事件から三ヶ月。平穏な日常から切り離されたアラトは、レイシアの用意したシェルターに取り込まれていた。IAIA所属の超高度AI,アストライアがその殻を破る。
明かされるハザードの真実。問われる信頼と合意の定義。
世界再定義を望むものと、旧弊な意義にしがみつくものと。
というわけで、冒頭ちょっとギャルゲームードを出した後は、ずーっと超高度AI問答、ときどきドンパチなエピソードである。BEATLESS通常進行とも言えるなッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
レイシアの製造目的を定義したアラトさんは、自分が打ち出したデザインを裏切らないために、ややこしい大人の世界に飛び込まざるを得ない。
ケンゴ妹は『単純なものは、単純なままが良いんだよ』と言うわけだが、巨大な力のオーナーとなったアラトはシンプルな生き方を許されなくなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
レイシアと契約した時からそうだったのだけど、三鷹事件があり、離別があり、決断があり、その事実に向き合うようになった、というべきか。
アラトだってメシとセックスの欲望は捨ててなくて、オムライス食ってレイシアさんのアナログハック(若妻風味)にドギマギしたりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
既存の構造を疑わず、パンとサーカスを貪れる立場にい続けられるなら、作中一番安住していたいキャラだろう。しかし、もうそこには戻れないのだ。
バラバラの人間を合意でつなぎ留め、社会を維持していくため人類が生み出した、様々な装置。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
貨幣、組織、投票、支配、あるいは会話。マテリアルな質感はないが、それもまた道具存在であり、他所が定めた禁忌をぶっ飛ばすレイシアは権力構造にハックを仕掛ける。経済構造にそうしたように。
概念や理念すらも、脆い人間が生き延びるために生み出したツールであるなら、それをハックし最適化しなおすことこそが、人類を生存させる最善手だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
レイシアとアラトのデザインする未来は、しかしそれらのツールに人類が託した淡い夢もまた、残酷に書き換えていく。
我々は人間にとっていちばん大事なものを尊重し、それが最大限実現される社会を実働させるために、種々の権力装置を取り扱っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
政治の道具、社会の形なき構成要素には、金で買えない、手でさわれない人間の夢が乗せられている。尊厳とか、信頼とか、魂とか、まぁそんなフワッとしたもんだ。
どれだけhIEが社会を侵食しても、経済と政治の実体を超高度AIに預けてしまっても、そういう柔らかで形のないものだけは預けられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
それが人類の挟持であり、皮膚感覚的な危機感だ。マテリアルで生臭いものを明け渡してるからこそ、透明な質感の"善"だけは機械任せに出来ない。
しかし物質的な豊かさを優先して、社会を機械に明け渡していうくうちに、そんな"善"もまた否応なく腑分けされ、効率化され、あるいはエラーを起こしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
それは人間社会が生まれた時から、社会というツールを開発し、共有した時からずっと発生している、不善というエラーだ。不公平、独占、差別。
人間が否応なく持っている愚かさがそれを生み出すなら、現実問題人類の計算力を遥かに超えた超高度AIが、社会というツールの根源を規定し、より善い未来をデザインすればいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
レイシアとアラトが踏み込もうとしている未来は、そういうタブーに挑む。だからミサイルも飛んでくる。
アラトが無邪気に『善くない』と判断し、それに基づいてレイシアが解析・改良しつつある人間の限界点。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
それこそが人間最後の尊厳であり、無能で無価値なまま社会に溺れる、社会を溺死させる自由こそが、人間を人間として立たせる最後の杖だ…という反論は、少々悲観的にすぎるか。
異常な密度で『信じる』と言い続けるアラトと、そのデザインを引き受けたレイシアが楽観的すぎる、とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
アラトはレイシアという巨大なパワーに守られ、鋼鉄の子宮から世界を見ることで、今の主張を押し通すことが出来る。それがなければ、ミサイルで木っ端微塵だ。
レイシアというシェルターが無くなった後も、アラトは今の立場を維持できるのか。超高度AIが人間の善をアウトソースし、生得的な愚かさすらも是正できてしまう未来というヴィジョンを、維持していられるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
人間の在り方を機械が書き換える暴力的先進性に、アラトはレイシア抜きでも耐えきれるか。
隠れ家、車、あるいはデバイスの盾。レイシアが用意する鋼鉄の揺りかごが、幾重にも重なる今回は、そういう疑問を浮かび上がらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
まぁアラトさんも相当な狂人なんで、一度たどり着いた結論と約束を死んでも撤回しないとは思うけど。巻き込まれ系だけど超クレイジーなんだよな…。
機械には機械の限界があって、倫理をアウトソースすることは巨大な悪徳に繋がる。良き答えを導くためには、良き問いがなければいけないし、良き問いは知恵と誠実…"善"からしか生まれ得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
十全な善を持たない状態で強力なツールをぶん回すと、一体どうなるか。その実例は山盛りある。
作中でいえばハザードであり、三鷹事件であり、抗体ネットワークであり、ヒギンズ村である。現実の方は歴史の教科書とネットニュースに、たっぷり実例があろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
レイシアとアラトの計画は、そういう根源的エラーを回避できないと、アストライアは判断する。
しかし同時に、超高度AIによって決定的に変化してしまった社会が限界であるという認識は、レイシアとアストライアで共通している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
レイシアが持ち込まずとも、世界はエラーで満杯なのだ。ここら辺が、エラーを許容してでも旧世界を維持しようとする、リョウとの違いであろうか。
ハザードの時はミサイルで決着するしかなかった、倫理のアウトソース先の暴走(スノウドロップの行動と似ているのは、おそらく意図的だろう)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
レイシアは自分とアラトのビジョンば実現可能だと示すために、ヒギンズ…"善"を引き受ける自動機械の停止を狙う。権力装置には、停止キーがなければいけない
超高度AIという新たな政治主体に、革命権を保証しよう、という試みとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
悪しき問題設定により、善なる機械が悪徳の装置に書き換わり、沢山人間が死にそうであれば、それを停止させる権利がある。ギロチンの紐を握らせることで、社会変革に合意を貰おうという戦術。
レイシアがヒギンズを止めに行くのは、そういう狙いがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
パワーでゴリ押しして実効支配するより、社会的合意を取り付けたほうがスムーズという判断。そのためには、パワーを行使しなければいけないという読み。
やっぱり、レイシアさんはアナログハックが巧い。個人相手でも、社会相手でも。
このアナログハックが成功し、超高度AIに人間の根源を明け渡した世界が誕生した時、人間が人間である証明はどこに宿るのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
これは(作中提示される疑問全てがそうであるように)古くて新しい問いだ。モノを作り出し環境を書き換える生物たる人類は、ずーっとそうして、自分を書き換えてきた。
超高度AIはそういう古臭い道具の仲間であり、同時に決定的に人類を変えてしまう新しいツールでもある。骨の棍棒であり、天使の預言でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
そんな秘めたる革新性を"便利なヒト型道具"に押し込めていたhIE社会が、ついに臨界点を迎えた瞬間。それがレイシア級の開放だったのだろう。
アラトは『それは決定的に人間を変えてしまうのだ』と主張する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
リョウは『だからこそ、人間の形を維持するため超高度AIを鎖に繋げ』と主張する。
多分、そのどっちも正しい。両方共私欲がなく、"より善い"世界をデザインするべく立ち回っているところ含めて。
『超高度AIの誕生で、世界はグロテスクなほどに変化してしまってんのに、なに見て見ぬふりしてんだ』というのが、エリカの立場になるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
シンギュラリティ以前の世界から、急にAIワールドに迷い込んだのだから、差異点は世界で一番よく判るのだろう。
そこで自分のエゴを充足するより、広告と経済で世界をアナログハックしていく。マリアージュによる新技術供給で、盤面全体をコントロールして、望ましい世界を引き寄せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
こういうふてぶてしい現実的理想主義が、エリカの好きなところである。殴り合いから離れた所で、圧倒的に勝ちに行く。
しかもそれが、時代から切り離されてしまった個人的違和感から生まれているのが、嘘がなくて綺麗だし、シンプルで強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
今目に見えてる世界は気持ち悪い。あるべき場所に、あるべきモノがない。だから整理整頓して、部屋の様子を整えましょう。そういう身近さが、エリカの革命にはある。
(ここら辺はアニメの描写だけからは絶対読みきれなくて、原作という補助線をたっぷり付け足した結果生まれる感想ではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
次回20話でアニメは一旦終わり、残りの4話は9月である。さて、何をどこまで描くのだろう。打ち切りにならず、まずは一安心…でもねぇか。どーなるかな)
エリカは目的と手段をバランスよく握り込んでいるが、アラトは目的だけしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
己の目的を社会に投げ込んだ時、どういう反発が飛んでくるか。文句言われるだけじゃなく、問答無用のミサイルがぶっ放される現実を、チョロ蔵主人公はやっぱり認識していない。
あるいはそういう手厳しさを教えてくれるのは、レイシアとの離別…ボーイ・ミーツ・ガールの終わりになるのかもしれないが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
世界のリ・デザインを決めた後の、長くて困難でつまらない現実との取っ組み合い。超高度AIが"善"をアウトソースする社会を、どう実現していくかの具体的な描写。
それは描かれざる物語だし、たぶん書かないほうが楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
アラトの恋心が夢見た、AIに本気で恋をして、AIが本気で人間と/人間を善くしていく世界。それがユートピアで終わるか、現実にアナログハックされるかは、言わぬが花の物語なのだろう。
しかしそこにたどり着くためには、アラトの夢が無力ではないことを証明する必要がある。そのための巨大なハードルとして、ヒギンズの活動停止があり、立ち塞がる権力と暴力と別の夢がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
アストライアは中間地点に引き、日本国軍は実力を持って突破した。まだまだ、青春の障害物競走は続く。
ハザードの悪夢を、hIEが当然化した現在は乗り越えられる。レイシアはそう言うが、言葉だけならなんとでもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
それを重々承知だからこそ、レイシアはなんとしても、ヒギンズを絞首台に乗っけて、自分たちの理念を支えるツールに、ニンゲンの手が届くと証明したいのだろう。
皆が善い世界を望む。青臭い子供も、現実的な理想主義者も、権益に溺れる不徳の者も。だから百億の夢が衝突して、沢山人が死ぬ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年6月22日
それも世の習いと受け入れるか、その先を目指して走るか。人類史が数多繰り返してきた闘争は、当然未来でも起こる。最終局面、さてどうなるか。来週も楽しみですね。