ハイスコアガールを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
さらば、夏の残影。
去りゆく少女との思い出は、強すぎる日差しで焼き付けられた印画紙。無邪気に遊んだ一瞬が、思い返せば宝石の煌めき。
素直になれない気持ちも、背中を押してくれた仲間も、全てを背負って。
嗚呼。少年が行く。いつだって、ゲームが味方さ。
というわけで小学生編完ッ! な第三話である。ノスタルジーとファンタジー、悪魔の二刀流で肉塊になるまで殴ってくる、真正面パワー勝負の切なさ乱れ打ち回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
驚異的な完成度を誇る原作一巻を、完璧以上にアニメートさせた序章であった。全部ひっくるめて二億兆点。
前半は土井くんプロデュースの遊園地デート。冒頭、真っ白な夏に飲み込まれていく大野さんが、リアルの酷暑とシンクロして染み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
気温は今ほど暑くないが、思い返せば小学六年生の夏、今よりもアツかった気がする。一瞬一瞬が特別で、でもその特別さに気づいていない時代。
失われることが約束されたイノセントを、贅沢に蕩尽しつつ恋は踊る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
珍妙なアフロ少女と、吹き上がった土井の妄想で笑いなど作りつつ。
デート部分はただただ火力の強いロマンスを、ビシバシ投げ込んでくるストロングスタイルだ。
ラブコメは照れずに真っ直ぐ強い球。正しい勝負の仕方である。
大野さんの潤んだ瞳と、ハルオの超絶エスコート力がラッシュをかけてきて、思わず『抱けー!』と吠えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
影を背負った大野さんに、ワーワー言いつつも気遣いを見せ、喋らない彼女の代わりに饒舌で場を埋めてくれるハルオ。ナチュラルなラブコメ打撃筋肉(ヒッティングマッスル)が強え。
幼いハルオの心には恋の気配すらなく、ただただゲームバカらしくゲーム仲間を気遣い、一緒に楽しんでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
大野さんはそこから半歩先に出て、言葉にならない恋に揺れつつ、イノセントボーイの優しさを咀嚼している。あの季節にだけ許された、幸福なすれ違い。真正面ロマンス勝負である。
大野さんだけでなく、土井くんのメンツまで気にかけるハルオの人間力がほんと良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
『こういうところがあるから、ヒロインはあんたと同じように主人公を好きになるんだよ…』という語りかけが、キャラの立ち回りから匂い立つ。遊園地ゲーセンの完璧な再現力含め、静かな表現暴力で殴ってくる。
小学校時代のハルオはゲームとそれ以外のバランスが案外取れていて、グダグダ言いつつミラーハウスやお化け屋敷も楽しむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
大野さんはゲームも好きだが、なによりハルオが好きなので、色んな思い出を心に刻みたい。ハルオはそんな心境に気づくはずもないが、彼女の思いを無碍にはしない。
しかし素直になれない小学生マインドも持ち合わせていて、唐突な別れには憎まれ口も叩く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
自分の心に嘘をついて、決定機を逃そうとする時。ホントの事を教えてくれるのは、いつだってゲームだった。
テーブル筐体からゲームキャラクター達が語りかけるシーンは、見事な現代版フェアリーテイルだ。
姿形は普通じゃないが、心清らかに本当のことを教えてくれる隣人。かつて妖精に託されていた物語は、直撃世代のノスタルジーと思い入れにより、現在ではゲームキャラが背負う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
”シュガー・ラッシュ”や”マイケルファンタジー”などとも共有する、”ゲーム”そのものへの憧憬、特別さ。
持ちキャラであるガイルだけじゃなくて、憎らしい敵であるダムドもハルオの背中を押すのが、あのシーンほんとに良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
ゲーマーは敵役もひっくるめて、ゲーム体験の中でキャラクターを愛する。殴り殴られ立ち塞がり、だからこそ面白い。ハルオはそういう役割の大事さに、ちゃんと敬意を払っている。
人生の大事な局面で、ハルオに語りかけてくるのはゲームだった。サッカー少年ならボールが、ピアノ少女なら音符が、それぞれ語りかけてきただろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
かつて下らないと笑われたけども、なぁ理解ってくれるだろう。それくらい、ゲームは特別で、全部を乗っけて全部が帰ってきたんだ。
ハルオにとっての、そして過去と現在と未来のゲームキッズにとっての、ゲームの特別さ。それを、ゲームキャラが背中を押してくれるあのシーンはしっかり見せてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
圧倒的勝負どころなので、ワンポイントリリーフでも本家声優陣を並べる。杉田さん、直撃世代なんでダムド楽しかったんでは?
愛すべき不思議な住人に背中を押され、ハルオは駆ける。憎まれ口を引っ込め、自分の気持を素直に伝え、思いのこもった指輪をプレゼントする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
圧倒的に”勝ってる”立ち回りで、『ホンマハルオくんはラブコメ筋が強いで…』となるが、ここは正面勝負で押し切るところだ。テレない監督が偉い。
ハルオの思いを受け取った大野さんの号泣もいいし、祝福(あるいは呪い)の指輪をソッコー左手薬指にブッこむ重さもいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
大野さんがその口から発する、ほぼ唯一の”音”。ハルオと、ハルオの背中を押した”ゲーム”が生み出したものは圧倒的に特別だ。そしてそれは、すぐさま消えてしまう。
大野さんとの別れを2D作画で仕上げる所は『よっしCG回収!』という塩梅だった。ぜってー芹香派だよな押切先生…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
お互いの魂に決定的に刻まれた、ゲームが隣りにある青春。青春を燃やしてくれたゲーム。魂の色合いを致命的に決めてしまう、幼年期が終わる。
というわけで、一話に必要な描写、感情、エピソードをみっしり塗り込めた、小学生編最終話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
照れずにラブコメ、ゲームは特別。作品のコアに真摯に向き合い、いかにアニメーションで魅力を伝えるか。必死に考え抜いた血と汗で描かれた、とても優れた物語だった。
小学生編は全ての基点となり、ハルオと大野さんがどんな感情で動くか、その原点を見せる場になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
なので、こうして三話しっかり構成され、熱量と感情がみっしり詰まった爆弾に仕上がったのは、とても良いと思う。これを見れば、キャラの行動は理解ってしまえるのだ。
あまりにも美しい、夏の残影。これに呪われ、逃げ水を追いかけるようにハルオの青春は推移していく。そこにもまた出会いがあり、成長があり、そしてゲームがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
そんな2つ目の舞台も、しっかり描ききってくれるという信頼感。それが、三話までを見た僕にある。あなたにもあるだろう。
作中の時代は激しくうねり、第一次格ゲーブームが来る。餓狼やサムスピやワーヒーや超人学園ゴウカイザーやファイトフィーバーの時代が来るのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
日進月歩でゲームという体験が進化し、その只中に己がいた時代の空気を、どう切り取るか。(いや、今でのゲームは日進月歩でフレッシュな体験だけどさ)
中学校へステージを変えての第二部、いったいどういう風に魅せてくるか。期待がもりもりと高まる、見事な第三話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月27日
いやーホント、勝負するべきところで圧倒的に勝負しに来た眼の良さ、勝ち切る腕前に信頼しかねぇ。良いアニメ化だなぁホント…素晴らしい。