HUGっとプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
犬と猫、アンドロイドと少女、ハリハムとハクビシン。身体構成要素が異なる異種族は、果たして愛で繋がれるのか。
そんな深甚なテーマを、夏のプリキュアらしい緩さに乗せて描くお話。過積載なくらいたっぷり乗ってるのは、いかにもHUGっとらしい。
というわけで、可愛いワンちゃんネコちゃんの恋バナにかこつけて、死ぬほどえみルー、死ぬほどハリビシするお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
メインエピを進められない夏のワンポイントリリーフ…で終わらせず、今後主題となるテーマをライトに扱って、足場を組んできた印象。もぐもぐの物語もちゃんとやってんだが。
異なる者同士は、手を取り合えるのか。過去プリキュアが幾度も問い、今年もメインになりそうなテーマである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
それを問うためのダシにされたもぐもぐ…と見せかけて、存外複雑な犬だった気がする。もぐもぐの恋は、犬と猫の恋であると同時に、虚構と現実の恋だからだ。
りりーちゃんはCMの中の美少女猫。乞い願っても届かない、遠いあこがれである。もぐもぐはオーディションという狭い門を通って、虚構を現実に引き寄せようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
オシマイダーの乱入で、虚構への門はご破算になってしまうわけだが、そこで見せた勇気がりりーちゃんの飼い主を助け、想いが届く。
犬猫の種族差が表に出ているけども、実は現実-虚構のギャップと、そこを乗り越えるための空回りの努力、虚飾を脱ぎ去った真実の描写が、結構強い話なのかな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
無力な子供のために、震える足を隠して前に出る。第1話の(そしてこれからの)野乃はなに繋がる描写は、結構好き。
もぐもぐを勝たせるためのトンチキ特訓は、いかにも夏のプリキュアだなぁというユルさであった。それで24分埋めずに、色々盛り込んでくる所がHUGっとの圧縮率であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
とにかくえみルーが濃い。原液血管に注入されて、死ぬかと思った。
えみルーは春の大型新人として盛大にプッシュされ、個々のキャラクター性、二人の関係性は丁寧に描写された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
『感情が分からない、分かる資格がない』と震えていたルールーも、物言わぬ獣の恋に己を重ね、胸に隙間風を吹かせる成熟を見せる。白紙なだけに、成長が見えやすいキャラだ。
種族差を気にするルールーを前に、小学生のえみるはある意味のんきに『大丈夫!』と太鼓判を押す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
世間の世知辛さを知らないが故の、無邪気で無責任なめくら判…とも言い切れない。家の抑圧、兄との対立、””女 の押し付け。えみるは小さい体で、結構世知辛いものと戦ってきた。
そういう自分の痛みを鑑みて、なお『大丈夫!』だという。『大好き!』という。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
過去描写されてきたえみるのヒロイズム、前に立って堂々と真実を言い切る強さは、今回も健在である。ちびっこえみるが、人格面ではルールーより”上”なのが好き。
そんなえみるのヒロイズムを引き受ける形で、ルールーも『大好き』を公言できるようになる。感情表現が苦手なアンドロイドが、好意を堂々と、的確に言葉にできるようになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
そういう変化を捉える回でもあった。欠点設定が明瞭なので、そこを補う変化の描写もクッキリだな、HUGっと。
犬と猫、少女とアンドロイドの恋は、生殖には(たぶん)至らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
今回の話は非常に繊細な形で、前回描いた生殖の尊さの影を埋めていると思う。
男と女が子供を作るオーソドックスは、文句なく尊い。しかしそれだけを押し出してしまうと、押し潰されてしまうモノも出てくる。
メインターゲット層に合わせて、ソフトで曖昧な表現を使っているものの、今回の話しは『実がならなくても花は花』という、芯のあるメッセージを出してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
それは前回力強く押し出された『花から生まれる実の尊さ』を、丁寧に補完する物語だったと思う。
えみるが楽観する、アンドロイドと人間の種族差。現実に身体の組成が違い、寿命が違い、生殖方法が違うズレは、様々な軋轢を生むだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
そういうリアリズムにどの程度踏み込むかは、今後のメインストーリーを見ないと分からない。
おとぎ話の特権を守って、あえて踏み込まず夢を語るか。
それとも生臭く、なかなか答えが出ない領域まで踏み込んで悩んでいくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
それははぐはぐの物語がライトに終わった後、メインであるえみるとルールー、ほまれとハリー、はなとジョージが傷つきながら答えを出す物語なのだろう。今回のお話、その序奏でもあったと思う。
えみルーの光に対置される形で、ハリーとビシンの激重感情もうねっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
かつて家族として繋がりつつ、今は別れた二人。クライアス社に身体を書き換えられたという意味でも、ルールーとビシンは似た者同士である。
しかし、社という巨大な”家”への対応は、正反対である。
ビシンくんは厳しい環境で親代わりに、自分を守ってくれたハリーに強く執着している。生き残る力をくれたクライアス社にも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
ビシンくんにとって身体改造は、惨めな自分を強くする”良いこと”なのだが、ハリーにとっては優しく有りたい自分を損なう”悪いこと”だ。
そしてそれは個人の身体でとどまらず、社会と世界に拡大していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
ジョージの求める静止した永遠は、未来のカタチを変化させてしまう。それに協調するか、抗うか。
ハリーがクライアス社(ビシンくんの”家”)に帰らないのは、改造手術の犠牲者をコレ以上増やしたくないからでもある。
ハリハムとハクビシン。種族は違えど、絶望の未来で肩寄せあい、必死に生き延びてきた二人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
それははぐはぐとりりーちゃんの、平和でのんきなラブコメディとはまた違った、シリアスな異種族ファミリー・サバイバルだったと思う。繋がったものは離れ、愛は薄暗い色彩を帯びる宿命にある。
ここら辺は今後、ビシンくんの物語が進展する中で色濃く描かれるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
先週ドクターとルールーの親子関係を暗示したように、ビシンくんがハリーという”父”であり”兄”でありもしかしたら”恋人”でもあるかもしれない存在と、愛憎のへその緒でぶっとく繋がっている様子が、異種族テーマでよく見えた。
庇護と安心を与えるフリで、その実心を搾取する。クライアス社という”家”から一足先に出た三バカは、今週も元気だった。善オチしても根性汚い所、アタシ好きよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
恋に敗れてのに下ったパップルさんから、再び”春”が逃げていくのはあまりに残酷ではあったが…そのうち、いい人と出会えるよ…。
ビシンくんもあの三人のように、のんきに日常を謳歌できるようになるのだろうか。自分を縛る愛憎の鎖から解き放たれ、なりたい自分を引き寄せる事ができるのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
その時”異種”であることが、どれだけの障害となるのか。同じ立場にいるハリーも、その壁を乗り越えなければいけないのか。
そういう未来への問いかけを、地味に作る話でもあったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
ほまれの初恋と合わせて、ハリーに埋め込まれた怪物性、”敵”としての側面は、しっかり扱って欲しいところだ。
HUGっとは答えが出たように思えるネタを、更にディープに掘り下げて別の答え見つける作りが巧いので、色々期待しちゃう。
というわけで、夏休みのゆるっとプリキュアと思わせて、色々未来に照射する話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年8月19日
えみルーの未来、ビシンくんの檻、ハリーの決意。後半戦でもう一度爆発しそうなネタですが、憧れのドルと繋がれた勝ち犬・はぐはぐのラブコメディが、その足場をしっかり整えてくれました。次回も楽しみ。