色づく世界の明日から を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
風は、海の外から吹いてきた。
内気魔法少女・瞳美を60年前に送り込んだ猛烈オババ(60年前の姿)が、ついに姿を現す。明朗快活、猪突猛進な暴風を前に、瞳美は時を超えたシンパシーを感じていた。
一方、部員が増え本格始動した魔法写真美術では恋の火花が静かに…。
そんな感じの、序破急の”破”開始、という第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
物語全ての起因となり、瞳美成長のカギを握るだろう琥珀を、あえて海外にパージして進んだ序章。静かで、美しく、ナイーブな恋と青春が色鮮やかに踊る様子は、独特の美意識と世界認識で楽しませてくれた。
しかしそれだけでは、あまりに静かに進みすぎる。同じ”月白”姓を持ちつつ、陰気と陽気、消極と積極、創造と破壊、正反対な祖母と孫をぶつけることで、物語は爆発力を手に入れ前進する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
そんな予想を立てていたのだが、実際に描写された琥珀オババ、結構常識的である。
いや、教室をSLの煙で満たしたり、常時グイグイ来たりと元気ではあるんだが、それがルールを破壊する方向というより、みんなの幸せを増す方向に行っているのが、とても良いと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
『思ってたよりいい子』なのだ。そういうイメージを作るよう、不在時は情報を制御してたんだろうけど。
琥珀は血縁と魔法使いのシンパシーでもって、内気な瞳美にもグイグイ迫る。瞳美の才能もそんな働きかけに呼応して、存在するはずのないSLを魔法のように出現させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
教室と夜空、美しい汽車が”二回”出てくるところが、詩情を掻き立てていていい。それは幽き幻ではないのだ。
そんな琥珀のアクションは、色んなモノを点火させていく。それこそが彼女が舞台に上がった理由であり、これまで出番を抑えていた理由でもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
多分このアニメは、最初に景色を見てほしかったのだ。静かで、美しく、色に満ちた(そしてそれが損なわれた)世界を。
人の営みが入る込む前の、イデアルな美に満ちた世界。写真も絵画も魔術も、それを見つめそこに近づいていく営みだから、目で捉え肌で感じ、瞳美たちが青春を走っていく長崎の風景に、視聴者も飛び込んで欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
そのためには、瞳美と唯翔クンの持つ静けさが必要だったのだろう。
しかしそれだけでは、物語は活動していかない。(植物的にただ静かに、美しいものを追い続けるアニメも僕は大好きだけど)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
『このアニメはこういう場所で進み、こういう色をしている』という大体のイメージが出てきたところで、静けさとは別のものを担当するキャラが投入され、化学反応が始まる。
先週ほんのりと予告されていた、魔法写真美術部の恋模様。琥珀がいろいろ突っつくことで、各アクターが複雑に向け合う視線の行き先が、グッと際立ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
現状見る限り、瞳美-唯翔-将-あさぎ-琥珀の複雑な五角形と、胡桃と千草の安定した一対一が、恋のシェイプとして目立つ。
あさぎがクラスメイトとして、瞳美に親しくしつつも、将の視線が瞳美に吸い寄せられる姿、それを目で追いかけてしまう自分に戸惑う姿が、今回とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
”部”として幼馴染として繋がりつつも、それだけで満足できない。踏み込みたい欲望と、今の関係を壊したくない怯え。
将クンがジェントルボーイとして瞳美の世話を焼く姿にも、ただの親切以上の情熱が宿って、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
部長として年長者として、非常に視野が広い好青年なんだけども、あさぎちゃんの熱視線だけが死角になっているところが、愛おしい傷でとても良い。
そんな将クンのライバルである唯翔くん。積極-寡黙という対比軸は、瞳美と琥珀によくにてるんだな、ボーイズ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
好きな子は名前で呼べないピュアネスに、オッサンは思わず『オイオイオイ純情かよ~ヒュ~ヒュ~』と囃し立ててしまいましたが、いやーまじ酸っぱい。青春ど真ん中味だ。
似ているようで違っていて、だからこそ惹かれ合う。凸凹青春群像劇も、琥珀の登場でぐっと熱量を上げてくる感じでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
そして恋だけでなく、アートとの関わり合いも切れ味は鋭く。内気な瞳美が秘めている美才を、琥珀がギュッと抱きしめて解き放ってあげている姿が凄く良い。
サプライズなSLにしても、夜空に描く魔法の汽車にしても、60年前に飛んでからの瞳美ちゃんは、自分にしか見えない世界、作れない美しさを形にしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
色彩を失い、みんなと違ってしまったことで損なわれた自尊が、”部”として、美術家として活動するうちに回復される。
琥珀はそんな瞳美の回復と表現を、家族として同年代の友人として見守り、抱きしめ、背中を押してあげる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
活動力の中に秘めた優しさと賢さが、確かに色のない世界を変えている感覚があって、祖母と孫の時を超えた抱擁は素晴らしかったです。
颯爽登場した琥珀がどんな人物で、彼女が加わることで世界はどう色を変えるのか。そういうモノをやはり静かに、愛おしく丁寧に描ききる、このアニメらしいエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
世界を美しく、価値あるものとして愛でる目線が様々な表現に溢れてて、優しく靭やかなところが好きですね、このアニメ。
けして焦ることなく、穏やかに、しかし着実に進んでいく奇妙な青春。”部”として、一人の人間として、少年少女はお互い触れ合い、心のパレットを豊かにしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月27日
その足取りが、今度はどんな美を見つけるのか。世は万色に満ちて、風は甘く柔らかく。来週も楽しみです。