SSSS.GRIDMANを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
序章が終わり、物語は次なる動きを始める。
見えてくる謎、深まる謎。変化する関係性と、失われた記憶。
霧の奥で静かに日常がうねり、恋が始まる。その深奥から、静かに怪獣と非日常が牙を研ぐ。
まだ、世界がその真相を見せずとも。
というわけで、仲間も出揃って物語がセカンドステージに進む第四話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
少ハリ第23話が印象的な藤井辰己の演出力が見事にうねり、不穏と平穏、日常と超常が不思議に同居する世界を、見事に彩っていた。暗喩とアングルの使い方が好き。
新世紀中学生も出揃い、白紙の記憶にも不自然な街にもある程度慣れ、ぎこちなさを残しつつ動き出した、裕太達の日常。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
怪獣も黒い服を着た異物達も当たり前の日常に馴染みつつ、しかしその異物性を消し去りはしない。BGMがない日常の中で、状況は静かに進行していく。
今回は一足先におとなになっちゃいそうな六花ちゃんと、それにヤキモキする裕太のラブ・コメディを主軸に据えつつ、色んなキャラクターの現在と変化を描くエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
新世紀中学生のメシ描写が多く、馴染み加減がよく判る。
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普通に食べて、普通に話す。六花ちゃんのナチュラルな対応含め、ノーマルであることの強みを強調してくる正義サイドに対し、アカネちゃんを切り取るカメラは歪む。
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後の惨劇を暗示するように、印象的な赤。死に至るミスコミュニケーション。
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YouTuber罪で死刑とは、またアカネちゃんも沸点低いが、そんな彼女の歪みをレンズ効果がうまく切り取る。カメラの前にモノを挟む実相寺アングルもよく冴えて、サラッと描くとスルスル流れすぎる日常の中に、良い異物感を埋め込んでくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
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冒頭、バスによる登校シーンで過去を匂わせた、六花とアカネ。
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二人の少女は同じ場所を共有しつつ、やはり対比的に描かれている。
ポスターで警告されている、携帯電話(コミュニケーション・ツール)の不適切な使い方。
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人を傷つけない、マナーを守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
当たり前の題目をアカネちゃんは守ることが出来ず、居住空間も食事の仕方も、他人との繋がり方も歪んでいる。
世界を認識する窓(眼鏡と携帯のディスプレイ)はひび割れ、そこには歪みを訂正してくれない、悪い大人が巣食っている。
世界の実相が見えないので、アカネちゃんがどの程度救いようなく歪んでいるかは、いまいち判断しきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
PC越しに召喚され、過負荷がかかれば処理落ちしてしまうグリッドマン。上書きされる死の事実。霧の街は仮想空間なのか、はたまた変容した現実なのか。
それによってアカネちゃんが撒き散らす歪みと死が、取り返しのつかない過ちなのか、一瞬の妄想なのかも変わってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
そこら辺を小出しにしつつ、キャラの魅力でぐいっと惹きつけ、サスペンスとして機能させているのはなかなか上手い。
可能なら、アカネちゃんにも救いがあってほしい。
そう思わせるような、生臭く人間っぽく、どうしようもなくて見捨てられないキャラクターに、アカネちゃんも育ってきている気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
根っこの部分は裕太と同じだけど、接触してきたメンターの違いで善悪別れちゃった感じ…共通点と差異点の魅せ方が上手い。
アカネちゃんの対になる六花ちゃんは、第2話の流れを継承しサムライさんに善導される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
訳のわからない世界のルールを自分なりに飲み込んで、自分に出来ることをする。ウザいナンパ野郎でも死ぬほどじゃないから、警告し助けようとする。
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対話シーンの引き気味の構図が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
六花が足を踏み入れている世界の薄暗さ、ヤバさを、赤信号がうまく締める。チャラ男が身を置く、安全で白けた世界に霧がかかり、アカネが振り回す暴力が接近してくる。
それは良くないものだから、六花は立ち向かう。無力な細腕を振り回すのは、無駄ではない。
そう保証してくれたサムライさんは、やはり颯爽と登場し、命を守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
衣装も立ち居振る舞いも異物だが、生き死にの倫理を共有できるなら、人は隣り合える。新世紀中学生と霧の街の高校生の交流は、記号を超えたつながりをよく見せてくれる。
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これは裕太とブリッドマン、マックスさんも同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
宿主と同じく、自分の記憶が白紙だと、それでも果たすべき使命だけは判ると告白する、電子の戦士。
記憶喪失の少年の甘酸っぱい恋を、まどろっこしく思いつつも、嫌いではないと背中を押すマックスさん。
電子世界の友人たちは、メディアや外見の違いを乗り越え、子供たちと心を通わせる。愛と善を教え、共に正義を戦う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
姿勢のシンクロをうまく使うことで、彼らの心が通い合っている様子を見せる”絵”の力が、今回なかなか太い。
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一方アカネちゃんは、自分の思い通りにならないアンチくんを冷遇し、都合のいい美辞麗句を並べ立てるアレクシスと共鳴する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
アンチくんがバカ忠犬力高すぎて、初期命令を忠実に守った結果、アカネちゃんの無軌道な殺戮に協力しなかったのは、なかなか面白い描写だった。
アンチくんは自分を怪獣と任じているし、それ以外の生き方を肯定してもらえる環境に無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
電子の友人に正義を保証してもらえる裕太達とは違う立場なんだけども、結果として善に似た行動を取る。悪い親を持った子供も、自力でレールを外れることが出来るかもしれない。
そういう可能性がアンチくん…ひいては彼を作り出したアカネちゃんの前にも広がっているのは、希望か、はたまた絶望の種か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
そこら辺も、今後話しが転がっていく中で見えるだろう。アンチくんホンマ何も知らんだけなので、あんまヒドい末路は勘弁したげて…。
自分なりに日常を生き、小さな正義を果たしている六花。白紙の記憶に、素直な理想を刻み込んでいる裕太。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
彼らに比べると、将はイマイチ倫理的前進に欠けるキャラとして、停滞して描かれている。『特撮あるある!』といちいち吠えて、現実を飲み込みきれていない描写とかね。
この足踏みは多分意図的で、今回バリバリに意識してたアカネちゃんと絡めて、今後描写があると思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
裕太やグリットマンの記憶喪失のように、白紙は余白であり、停滞は前進の準備運動だ。将も今後、なんか良いところが見せれると良いな、と思う。
六花ちゃんの柔らかで等身大な倫理、正義を描く筆がすごく良いので、おんなじ前向きさと着実さを、将にも向けてあげてほしくはなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
演出の全体的なトーン、テーマ性の使い方含めて視力のいいアニメなので、そこを見落としているとは思わんけども。さてはて、どうなるか。
BGMが抑圧された世界の中で、戦闘以外で音が生まれるのが、マックスさんとの恋の相談なところが、結構好きなんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
裕太たちを取り囲む、シラけた嘘の世界。そこに音楽を取り戻せるのは、恋と戦争だけなのだ。正しく青春特撮ジュブナイルだなぁ、と思う。
ゴテゴテに盛った上半身からの、まさかのキックで怪獣は打破された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
当たり前のように戦いは続き、死者はなかったことにされる。そんな日常の中で、少年少女は少しずつ、己と世界を学んでいく。
そんな物語に各キャラクターがどう関わっているか、静かにスケッチするエピソードでした。
こういう定点観測的なエピソードの表現力が高いと、キャラの内実、それらが組み合わさって生まれる関係性、それを素材に描かれるテーマがよくみえて、とてもいいと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年10月28日
今回作った足場をどう活かして、今後ミステリとアクションとドラマを展開させていくか。来週も楽しみですね。