約束のネバーランドを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
青白い曇り空の下、大地は死人の顔色をしている。暴かれた真実が、グロテスクに胸を切り裂いていく。
涙は自分の命のためではなく、散りゆく家族への鎮魂歌。そして、胸に燃え盛る決意の結晶。
冷たい母の褥から飛び出して、ネバーランドに行こう。
そんな感じの、反撃準備開始な回。凄まじくクレバーな12歳たちが脱出プランを検証しては潰され、凄まじく不安定で冷たい構図がギコギコ心を揺さぶり、新しい問題が出てきては不屈の意志が光り輝く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
特に具体的な事件が起きない静かな運びだが、画面とダイアログの緊張感は途切れない。
頭脳戦、会話劇の側面が強く、いかに”説明”を楽しく飲み込ませるかが勝負を担う構成のこのお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
声優陣の熱演、サスペンスフルなカメラワーク、ギッチギチに意図の詰まったレイアウトが合わさり、地道な試行錯誤が非常に体温高く展開していく。
前回は前半の穏やかな嘘、それが破綻するまでのサスペンスの制御、コニーの死体で全てが暗転する瞬間のショック、それでも生存を諦めない主人公の強さと、結構上げ下げが強くあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
それを踏まえての今回、お話はデカい暴露は少なく、準備期間が静かに進行する。
これを退屈にしないように、オーソドックスなカメラ運びに奇っ怪なアングルを混ぜたり、画面を垂直で真ん中に割った上で片側にオブジェクトを寄せ空虚感を強めたり、水平線・垂直線をわざと傾がせて不安感を煽ったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
使えるテクニック全てを動員して、子供らの不安と不屈を肌で感じ取れるように進む
遠近法の表現が鮮明かつ美しいので、ピントがクリアに合った画面から急にブレるシーンがよく刺さるし、印象的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
脱出側の主観で希望と現実を確認するシーンに、フッと監視カメラのようない映像が混じりこむ。
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いるはずのない”誰か”の視点が、ノイズのように希望への脱出口に混入している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
この不安感が、誰が敵で誰が味方か、子供でしか無い自分たちに何が出来て何が出来ないか、曖昧な中で生死をかけなきゃいけない主役たちの心情に、グイグイと視聴者を引き寄せていく。心構えの作り方が上手い。
世界の真実を知り、子供ではいられなくなったエマとノーマンは、現状を二人で確認していく。情報をつなぎ合わせ、世界の真相を確認する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
食物でしかない自分を語る時は瓶詰めが。鬼が脳を好むと気づいた時は、脳の詰まった頭蓋が。
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オーソドックスなカメラワークに、異物のように挿入されるクローズアップ。それは会話に潜む絶大なグロテスク、子どもたちが配置された残酷な世界の在り方を、露骨なゴア描写とは別の角度から、屈折させて見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
視聴者が想像力を持った存在であることを、最大限に活かした演出だ。
『鬼は脳が好き』と言われて頭のクローズアップを差し込まれれば、それがバカっと開いて脳髄ディナーにされてるところを、嫌でも一瞬想像してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
そういう不謹慎なオマケを、画面に写ってるものを導火線にして、描かずに描く。想起させ、その罪悪感を足場にさらに作品に引っ張り込むこと。
今時分はタブーを犯し、やっては行けない想像をしてしまった。そういうものが封じ込められた作品を、自分の想像力で味付けしてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
観客席から少し近くに視聴者を引き込み、状況の当事者として心拍を上げていく。サスペンスを機能させるのに大事な仕事を、静かに、大量に盛り込んでいく。
この会話がなされている教室のレイアウトが、最悪に最高でいい。傾いだアングル、真っ暗闇、少しだけ鮮烈に輝く冷たい光。そこに、子供二人きり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
エピソードの初手で子どもたちの寄る辺なさ、それでも前に進む希望の在り処が示される
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エマは情熱の人で、倫理の人でもある。世界が残酷な犠牲を”正しさ”として押し付けてくるなら、それを蹴っ飛ばして新しい世界を作るところまで、彼女の想像力は進んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
その先進性は、あまりに残酷な現実の中では愚者の寝言だ。
かないっこない、もっと現実的な対処法を。大人はそう言うだろう。
そっち側に体重を預けているのがノーマンであり、レイである。彼らのあまりに冷静な頭脳があってこそ、この脱出口は希望を保ちうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
しかし彼らが見据えている”正しさ”は、年若い弟妹を全て見捨て、人間から食料に貶めてしまうこと前提だ。世界が押し付けてくるルールに従順に、生存を掴む道だ。
それでは足りないから、過剰な欲求を譲れないエマが主人公なのだろう。この脱出行は小さな調査と敗北と希望が幾重にも折り重なる、非常に緻密な個人的リアルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
同時に、エマが背負うもの、男の子たちが背負うもの、ママが背負うもの、鬼が背負うものが衝突する、価値観の闘争でもある。
そういう形而上と形而下の遠近法を、調査の中で確認していくのも…キャラクターが背負う物語的テーマ、それを可能にする能力とポジションのスケッチも、第2話の仕事である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
心臓をバクバク揺らすサスペンスを丁寧に積みつつ、ここら辺の描写はスマートで雄弁だ。
無邪気な子供ではなくなってしまったエマとノーマンは、第1話で歩いたプレイフィールドを足早に通り過ぎていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
太陽の光は冷たく緑色に冴え、馴染み深いはずの景色は地獄めいた色合いに変わった。新しい物語の第一歩だ。
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ママと世界が自分を守り、育んでくれる。暖色の妄想がコニーの死骸で残酷に断ち切られたあとの世界は、第1話とは違う色合いをしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
だからママに言いつけられたお行儀の良さをはみ出して、彼女たちは壁に直面する。そうしないともう、生きてはいけない。https://t.co/zanTxVy2S3
木登りのシーケンスが、情熱と倫理以外のエマの特徴を教える。フィジカルが強いのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
ノーマンは感情に流されることなく、非常に冷静に現実を見据える。その強さを描いたあと、木には登れない彼を描く。そんな自分を見せることで、エマに”私の出来ること”を思い出させ、心を保たせる。
重点は木に登ってなお遠くを見通せないエマではなく、登らせたノーマンにおそらくある。彼は賢いし、その賢さを自分だけでなく他者…好きな女の子のために使える優しさも持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
極限状況では時に相争う資質だが、彼は両方大事にしたいと考える。どちらかと言えば”賢さ”に偏る自分を知っている。
エマの視野は狭い。狭いがゆえに強いし、狭くてもどうにかする身体性のヒロイズムを木登りで見せてもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
それは今後、物語が温度と内圧を上げたときのアクションで生きるのだろう。今は静かに、後の爆発のための燃料を注ぎ込むタイミングだ。一切一瞬、そういうのねじ込むの怠けねぇなこのアニメ…
森(ママと鬼が用意した”ハウス”という、形だけの文明圏から離れた自由なる野蛮の領域)に隠れて、反逆の準備をする子どもたち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
そんな悪巧みはお見通し、タグで子供の居場所を見つけるママ。周辺のサークルと、そこから孤立した二人
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今後乗り越えなければいけない障壁がもう一つ増える中、ママは傾いだ水平線をゆったりと歩いて、幼子を人質のように抱える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
一見微笑ましい、愛情の構図。しかしそこには人喰いの残虐が隠れていて、エマとノーマン(と僕ら)はそれに気づいている。隠せばこそのグロテスクがm透けて見えている。
ちっちゃい子どもたちが無邪気に欲しがる、ママの愛情。人間が生きていく上で絶対に必要なものが、その喉を締め上げてくる事実。それを簡単には伝えられない、年長者の苦悩。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
エマ達が見ている世界は幾重にも複雑で、だからこそこういう情報量の多い画作りが大事になるのかもしれない。
とにかく画面を真っ直ぐにして、落ち着いた場所にオブジェクトを配置して、視聴者を安心させる、ということがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
サスペンスなんだから、宙吊りにされた(suspended)状況が大事でしょ? とばかりに、エグい不安定がズルズルズルズル続く。その気持ち悪さが最高に良い。
世界の真相に先んじて気づき、ただ食われるだけの”子供=食料”では無くなってしまった二人を、ママ(と、何も知らない弟妹)が追い抜いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
仮面のような子供の顔、嘘の破綻。対決を告げる雷鳴。
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それを追いかけて、3人目の主役が顔を出す。不自由な窓の向こう、不気味に見据える視線はノーマンよりも知的で冷たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
ここで起点に、話に3つ目の力点が出来る。現実主義者のレイが加わることで、議論が循環しはじめる。
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ノーマンくんはエマすきすき病患者なんで、エマが背負う理不尽をなかなか指摘できない。それを担当し、計画をよりシビアに鍛え直すのがレイの仕事…だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
女の子がいるとできない話を、ボーイ二人でし続けるシーンが結構好き。”男”でいるのも結構大変やねんな…。
さておき、その前にもう一サスペンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
今回は画面中央を綺麗に割りつつ、片側にしか物を配置しない構図が幾度も顔を出す。アンバランスで不気味、心を落ち着けるところがない。満たされない虚無が口を開ける、奇っ怪なレイアウト。
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3枚目の絵にしても、動画はアンバランスが解決するシーン…ママが幼子を伴って椅子に体を預けるところまで描かない。ママは人喰いの鬼で、見た目の優しさは嘘なんだから、そっちのほうが事実の描写だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
端正に整い安定しているように見えて、破綻と裏切りを常に秘めた世界を、片寄の構図が丁寧に紡ぐ。
これは真ん中で均質にバランスを取り、何かが繋がり合って安定したシーンを印象づけもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
それはママのカマかけを二人が乗り切り、結束を確認した場面で確認できるだろう。
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バロックに傾ぎ、光と闇が渾然一体となったカオスの中で、思いはつながりコスモスは回復される。どれだけ世界が嘘を付いても、子どもたちの思いは本物で、良い結果がやってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
そういう予感を、不気味に覗き込むレイで見事に蹴り飛ばす。安心してんじゃない。まだ終わってない…始まってすらいない
ここら辺の”揺らし”が悪魔的に上手くて、全くのっぺりとは見れないアニメである。グラグラ揺すぶられて、何が本当なのか分からなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
何が本当なのか分からないアニメで、そこから残酷とか真実とかがバスバス飛び出してくるのが面白いんだから、しっかりマッチした魅せ方である。
明るいはずのハウスの中を、ひどく不安げに彷徨う二人。そんな中でも心は通じ、逆転の道が見えてきた…ところで、ママが顔を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
ここの”揺らし”も、最高に良い。闇からヌルリと顔を出すママのモンスター力は最高潮だ!
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絶望でショックを与えるためには、完全な暗闇ではなく希望の光を見せるのが大事だ。鮮明なライトの存在あってこそ、それをママが覆い隠してしまった瞬間はよく刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
逆にそれを受け流して、なんとか乗り切った時の希望も、ママの存在感がデカイからよく届くわけだ。メリハリ効いてるなぁ!
エマがママに”食われた”のを、隠れてみているしか無いノーマンの焦燥。それを尻目に、かなり頭脳派でもあるところを見せて演技で乗り切るエマの頼もしさ。逆撃に罪悪感を差し込む力強さ。色んな感情が。色濃く流れ込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
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偽りの抱擁も片側に極端に寄っているし、『上手く乗り切った…!』と思った瞬間に背中をグイーっと引っ張られるシーンのスポットライトも、ママとの断絶を強調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
光あればこそ影が生まれ、それが怪物と人間を隔てる。さて、ママは子供をどう考えているのでしょうか?
ママの人間的な表情が、捕食のための擬態ばかりではないかな、という疑念を僕は抱いている。そっちのほうが裏腹な感情が加速して、話が面白くなるからね!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
…というメタ読みだけでなく、結構表情が鮮明に変わるのだ。
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スーッと冷えた詰問の表情から、慈愛あふれる”ママ”の顔へ。その変化が”真から偽”であると同時に、”真から偽”への変化である可能性を、ちょっと心に留めておきたいと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
このクソみたいな世界で、人間の皮をかぶった本物の人非人が子供らを売り捌いているっていう冷たい現実だけだと心が死ぬ!
まぁマジでクソ以下のクソなんだけどさ、ママのやってること…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
鬼社会と癒着した”大人”の在り方が、まだ子供の小さな身の丈からだと見えきらないんで、ママの心情は眼の前のサスペンスをとりあえず整理してからかなー。
ここに一枚どんでん返しを仕込んでおくのは、常道だし正解だと思うなぁ…。
偽りの明かりを抜けて、子どもたちは再び冷たい緑色に身を投じる。森はママの眼の届かない所、生存のための悪巧みをする所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
細やかな登場予告を活かして、ついにレイが表舞台に上がる。同じ”真実を知る子供”でありながら、大人の冷徹さを兼ね備えた黒髪の少年。
木立ちをフレームに構成された舞台を、主張と信念、それぞれの体が行ったり来たりする。最終的に一つにまとまる未来を予言するように、レイは気安く仲間の肩を抱くが、すぐに離れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
子羊たちに混じった牧羊狼。黒髪の反論者である。
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希望論的実務者たるノーマンが見据えていて、楽観的革命者エマが考えもしなかったこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
壁を超えた先にはもっと苦しい世界が待っていて、そこで生き続ける必要がある。物語を終えたあとも、人生は続く。
それを言葉にする彼は、明るい希望だけが現実を変えていくわけではないというルールを体現する。
黒-白-オレンジ。シビアな現実を前にどういう対応をするか(したいか)という信念で、子供らのヘアカラーが色分けされているのはちょっと面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
レイは弟妹を切り捨てる現実を、まず飲む。エマはそれを否定し、120点の夢を追う。ノーマンはその中間に立ち、レイ的な現実の中でエマの夢にすがる。
非常にクレバーに状況を見据えつつ、それでも自分の中の人間性を、自分の命のためではなく弟妹の未来のために涙を流すエマに託す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
『ほんま12才?』と聞きたくなる成熟した人格と、確かな震え。ノーマンのこと…どんどん好きになっちゃう…。(スタンド”ロマンチック乙女モード”発現)
レイの厳しい指摘がノーマンの”レイ的な部分”を刺すごとに、細かくノーマンがクローズアップされるのが面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
エマが見落とす現実の厳しさ。それを、エマに夢を見るノーマンも見据えている。しかしそれに流される訳にはいかない。
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最初はレイ(が背負うシビアな現実)をせき止めるポジションだったのに、そこに宿る”正しさ”を否定しきれずゲートを開け、エマ(が背負う理想)と対峙させる動きが、真ん中に据えたカメラで丁寧に切り取られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
そこで譲ってしまう自分の賢さ、狂的情熱の薄さが、ノーマンは嫌いなのかもしれない。
オッサン的にはノーマンボーイに暖かくて美味しい飯でも出して『いやいやノーマンくん、君は大したものだしよく戦っているよ…なかなか出来ることじゃあない…もっと食べ給え』と労ってやりたいところだが、彼の冷徹な知性は都合よく、例外を産まない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
自分も世界もエマも分析対象だ。
近代的知性の精髄みてーキャラしてるからこその、細やかな揺らぎ。ひまわりのように希望の光に向かい続ける、エマへの強い感情。『全てを救い、全てを手に入れる』という無茶苦茶な思い一本で、レイを押し切ってしまう強さへの憧れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
Aパートでは強く繋がっていた双子が、実はかなりバラバラである事実
森の中の対話は、そういうものを強調してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
ぜってぇヒデーことになる話なんであんまキャラに肩入れしないほうが良いのは判るけども、ノーマンボーイの冷静と純情がよく描かれていて、これは好きになっちゃうよ…。
大それたお願いだとは解っているんですけども、死なないでほしいですね…。
バキッと安定したカメラで切った三人の対話が終わり、男の子バトルが始まる。知性と情熱、嫌悪と愛着。複雑に揺れる心を表に出すシーンに相応しく、フレームは傾ぎ、生物的なあやふやさが画面に満ちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
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自分があんまり好きじゃない”レイ的な自分”を、自分にない情熱と倫理を備えるからこそ憧れるエマには見えないところで発露させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
そうしないと、レイは仲間になってくれないから。エマの無茶苦茶な願いは、残酷にすり潰されるだけだから。1%の可能性は0%になってしまうから。
ノーマンくんの不安定さ、それをさらけ出す真実味に、レイもカルネアデスの舟板を投げ捨てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
スタンスは違えど同じ光に手を伸ばす辺り、なんだかんだ最高にいい子たちなのだと判る。
知恵も人格も備えていて、その上で選べる道は一つ。見える世界も一つ。狭くて細い。
だからこそそれを撚り合わせて、自分が見えないものは他人に教えてもらいながら、この薄暗い残酷な嘘を乗り越えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
エマの、ノーマンの、レイの。主人公たちの強味と弱味、それを彼らがどう捉え、どう補うべきと思っているかが良く見える、瑞々しい青春のお話でした。
すっげー悪趣味で残酷な世界観だからこそ、人間どんな状況でも殺すことが出来ない魂の透明さみたいなのが大事だと思っていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
凄まじい覚悟と知性を見せつつ、少年らしく怯え震え憧れるノーマン。彼が世界最後の希望とすがるエマの、前進力と危うさ。そこに釘を差し、もう一つの在り方を見据えるレイ
サスペンスやホラーの強さ。世界の謎、脱出計画の成否が一枚一枚表になっていく楽しさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
そういうモノを最大限に駆動させつつも、12歳の少年少女が地獄でも鳴り響かせる青春の鼓動、確かにそこにある感情を見落とさない。
むしろ残酷な冷たさと不気味な不安定に対比させ、色濃く見せる。
そういう作品のスタンスがよく焼き付けられ、非常に楽しいエピソードでした。ノーマンくん”純愛”じゃん…推せるッ! でもマジ死にそう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年1月21日
死地に突き進む無力な子どもたちを、ハラハラしながら見守るしか無い。そういう場所までぐいっと引っ張る、良い二話でした。来週も楽しみ。