鬼滅の刃を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
時は大正、文明開化の光が街を照らし、しかし未だ深山の闇が里に残る時代。
炭焼の少年、炭治郎は”鬼”に家族を殺され、妹・禰豆子を”鬼”に変えられた。異形に始末を付けるべく、迫る鬼滅の刃。残酷な運命を前に、少年は、少女は、何を選び取るか。
そんな感じの大正ダークエピックバトルロマンス、堂々の開幕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
濤法原作未見なれど、非常に惹きつけられる第一話でした。メイン敵であろう”鬼”が一度も画面に写っていないのに、炭治郎と禰豆子、そして義勇さんの人格がグイグイと迫ってきて、『この話を見ろ!』と肩を掴まれた感じだ。
UFOの美麗な作画、凝ったズーム・インやエフェクト、それを活かす雪景色と、シンプルに”絵”が強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
和のテイストを活かし、チェッカー(市松)を刺すことでモダンな雰囲気を生み出すデザインの強さもある。当時の服飾、むっちゃ研究してんだろうな…。
しかしやはり”人”が強くて、このキャラクターをもっと見てみたいと思わせる根源的な魅力がグッと引っ張ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
モノローグで内面を多めに語る作りだが、アクションシーン、あるいは情感を込めた芝居がしっかり無言の描写を重ねているので、喋り過ぎな印象は薄い。
『実質、大正ブラッド・クルセイド』という話だけはTRPG仲間から聞いていたので、ゲーマーとしては色々期待していたが、完璧な吸血鬼ハンター物語、第一話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
人の世を乱す、地に飢えた獣。”鬼”は吸血鬼の文法で描かれているように思うが、それと時代背景をどうマッチさせ描くか。
これは炭治郎くんが戦う力をつけ、”鬼”とのバトルが始まってから見える部分だろう。そこにも期待大だが、派手な本命に行く前に、まず奪われたものの重たさ、炭治郎くんのニンを見せる構成であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
あと雪山の白く、冷たく、無情に美しい風景ね。
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable pic.twitter.com/XVFndmpgW7
やはりUFOの画面処理は天下一品で、人知を超えた深山の無情さ、大きさがズズイと迫ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
その恩恵を受け炭焼として暮らしてきた炭治郎少年だが、その幸福は残酷に奪われる。白く遠い山々は、何も答えてはくれない。ただただ、人の命が純白を赤く染め上げるのみ。
その残酷を前に、どれだけ人間でいられるか。おそらくは、そういうことを追いかけていく物語なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
兄妹は今回よく抱き合い、お互いの命をお互いで庇おうとする。命を奪う危機を前に、それでも人であろうとする。
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この細い灯火は白い雪の中でこそ生えるし、それを無情に食い潰す”鬼”に、顔も見ていないのに憎悪が濃くなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
家族を奪い、かわいいかわいい禰豆子ちゃんを人食いの化物に落としちまって…ぜってぇ許せねぇよ…(亜音速共感おじさん)
『コイツラ”人間”です』と、仕草に圧縮して魅せるのは大事ね。
しかしその優しさだけでは足らないと、義勇さんは吠える。”鬼”はその優しさに感じ入らず、他人を思わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
人食いの人でなし相手に、丸まって守るだけじゃ何も守れない。
「お前ごと貫いても良かったんだぞ!」
あのさ~あなた貫いてないわけじゃない? 兄妹の絆に感じ入ったわけじゃない?
『無敵無窮の”鬼滅の刃”代表みたいな顔して、義勇さん相当な”人間”でしょ…』と、”秒”で判る構成なのはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
人ならざる鬼を斬り殺すためには、人の情は弱さ。それを強い言葉と態度で覆って、無慈悲な刃たらんと己を律する男。
情に流される炭治郎少年とは、対称的に見える。
だがその奥には、”鬼”に変じた少女に残る魂と、妹を守ろうと身を投げた少年の意気を感じる情が、確かに残っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
優しさを強く自分に残すからこそ、強さのない炭治郎に苛立つ。しかし炭治郎少年は戦士としての才気を、確かに宿す男でもあった。義勇さんはそこに、自分の姿を見つけた。
だからツンツン顔で『おめー見込みあっから、鬼狩り組織のツテ作っといてやっから。妹と暮らしてくの大変だろうけど、頑張れよ』と、色々世話を焼いてくれたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
ただ優しいだけでもだめ、ただ強いだけでもだめ。ダークな背景世界に相応しい、ハードボイルドな世界律を上手く背負うキャラだ。
炭治郎くんは柔弱に見えて、鋭い鼻、優しさを強さに変える意志を持った良い主役である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
彼の強みである”鼻”が日常で役に立つ描写を入れて、その上で幸福をぶち壊す血の匂いにたどり着かせる所は、非常に巧い運びだった。幸福と残酷、長所と地獄。全ては裏腹に癒着しているのだ。
妹が”鬼”に堕ちていないと判断するのに、家族ゆえの甘い希望ではなく、状況を冷静に分析して客観で見ているところとかも、才気を感じさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
今後バトル展開になるにつれ、炭治郎くんは秘めた戦士の才覚を顕にしていくのだろうけど、それが唐突にならないよう序盤の描写に混ぜてくるのはグッド。
その御蔭でちょっと内面吐露が過剰な感じにもなったが、何しろ家族皆殺し、妹”鬼”落ちの地獄絵図である。このクドさは状況のドラマティックに、上手く噛み合ってる気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
今後状況が落ち着いてきた時に、モノローグをどう使ってくるかは楽しみである。
禰豆子ちゃんは言葉と魂を暴力的に奪われたが、兄決死の懇願を受け取り、涙とともに”人間”であり続けようと困難な戦いに挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
武器を握らぬ魂の戦いが、一番辛い。
禰豆子ちゃんが今後、人食いでありながら人を食わぬ、狭間でもがくものとしてどう活きるか。注目ポイントだ。
禰豆子ちゃんは”鬼”という異者なので、内面を語る言葉を持たない。なので義勇さんがその鋭い観察眼、”人間”を諦めない強い心でしっかり読み取り、代弁してあげる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
魂の柔軟さを失った鬼ぶっ殺しマシーンなら、ノー観察ノータイムでぶっ殺しそうなところを、義勇さんはよく見て的確に判断するね…。
今後その役目はお兄ちゃんに移るのか、半鬼半人の禰豆子ちゃんを鬼殺しの社会がどう受け止めていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
ココらへんも注目しどころか。全員が全員、義勇さんみたいな人間試験特急合格人間じゃないだろうしなぁ…キツい状況なので、あまり兄妹にひどいことはせんで欲しい。
かくして兄妹は過酷な運命と、苛烈な協力者、新たな世界と出会ってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
状況もわからず流され、妹を背負って雪山を歩く出だし。
兄妹両手をつなぎ、絶望の中をそれでも前に進んでいく終わり。
いい対比の第一話であった。
©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable pic.twitter.com/3C9EC6kKCS
一度死んだ禰豆子ちゃんの、体重を感じさせるおんぶの作画。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
あるいは人故に家族を埋葬しあかぎれた兄の腕と、死人の肌色をした妹との繋がり。
クオリティを的確に活かし、キャラクターが置かれた状況、背負った宿命、宿す感情を”絵”で魅せる強さは、非常にパワフルだ。
この質の高さを活かして、兄妹の運命、”鬼”と人間の宿命をどう描いていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
非常に期待の高まる第一話であった。状況に巻き込まれ押し流された炭治郎くんに合わせて、”鬼”も組織もサッパリ判らんのに…というか、だからこそ、か。視聴者を押し流してくパワーとテクニックが凄い。
僕は”情”を仕草の中に感じるアニメが凄く好きなので、この世に二人きり生き残ってしまった兄妹の情愛、炭治郎くんの優しさと強さがしっかり感じられ、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
義勇さんの超ツンデレ人間っぷりも面白かったなー。最初に接触する組織の人がちゃんと”人間”だと、信頼が強まる。
血の匂いと共に、人の幸福を破壊する悪鬼。
— コバヤシ (@lastbreath0902) April 6, 2019
それに全てを奪われた兄妹は、いかに力を手に入れ、”鬼滅の刃”となっていくのか。
未だ明らかならざる鬼と鬼滅の愁嘆場は、どんな色合いをしているのか。
ここから動き出す物語に、非常に強い期待を抱かせる素晴らしい第一話でした。このアニメ面白いよ!